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同源と潜病(臓象学説)

脊椎動物の胚発生の過程で外胚葉・中胚葉・内胚葉の3種類の胚葉が形成され、各胚葉はその後 動物の全ての組織・器官を形成する。
ヒトの皮膚は表皮・真皮などからなるが、表皮は外胚葉性,真皮は中胚葉性の組織である。
中胚葉から筋肉系,骨格系,循環器系,泌尿生殖器系,結合組織などが形成される。

  

同源与潜病

第一節 同源と臓象
同源とは“同源器官”のことで、生物の進化過程における胚胎の発育する過程で来源が同胞と見なされる器官を指す。
外胚層は脳・脊髄・皮膚系列・汗腺・乳腺等に分れる。
中胚層は心・血管・淋巴・腎・卵巣・睾丸・骨骼・筋肉組織に分かれる。
内胚層は胃腸・呼吸道上皮・扁桃腺・膀胱・尿道上皮・肝・耳・甲状腺等に分れる。
同源器官の間には具有互病という特徴がある。
即ち一个の器官に病があると別の器官も相応じて病いになる。
これを“相関変異”という。
中医の《黄帝内経》にも已に記載されている。
例えば《素問·上古天真論》に曰く:“五八,腎気衰,髪堕歯槁”
これは腎・髪・歯の胚胎は同源であると説明している。
器官の“同源”関系から,人体臓器の間には新しい相関的理論が生れ、それが臓象理論になった。
同源器官からの病理生理的影響によって潜病が預報されることもある。
これが同源同治ということである。

 第二節 同源と潜病の預測
一、副腎と性腺の同源
腎・副腎と性腺とは共に中胚層より発生し、胚胎が同源である。
故に三者間にはしばしば一方が病めば他方も病むという潜病の関係がある。

二、肺と皮毛の同源
肺と皮毛とは同源である。
中医臓象理論では“皮毛が邪を受ければ,必ず肺が応ずる”,“肺は皮毛と合わさる”,“肺は皮と相応ずる”(《黄帝内経》)と強調する。
中医ではまた皮毛を玄府・腠理といい,元真の気が通ずるのと密切に相関する。
例えば《金匱要略》:“腠とは,三焦が通会する元真の処である”。
これは肺と皮毛が同功同源の関系にあることを示している。
臨床上皮毛が受邪すれば肺に潜在的罹患があるといえる。
例えば皮膚に掻痒・黒棘皮病・皮筋炎が出現すれば肺に悪性腫瘤が潜在する危険性があると警惕する。

三、膀胱・肺・皮毛の同源
膀胱・肺・皮毛も中胚層から来る同源器官である。
動物系統の進化史を看ると尿嚢は、爬行類・鳥類及びある種の哺乳類動物にあっては呼吸功能を持っている。
排泄系統は最も早期の原生動物では伸縮胞であった。
伸縮胞には既に呼吸作用と排泄功能があり、呼吸と排泄の同功器官だった。
これが“肺腎同源”という進化論的理論を提供する根拠である。
《内経》で曰う:“三焦膀胱とは腠理毫毛と対をなす。”(《霊枢·本蔵》)とは、泌尿系統と呼吸系統が親縁的互補関系にある事を説明している。
中医理論では、肺腎は水津の気化方面で密切な相関性があると強調している。
肺は水の上源であり、腎は水の下源である。
高源が化竭すれば腎もまた布津を失う等の理論と一致する。
臨床上 汗と尿の間の病理生理関系と治則の中の“提壷掲蓋”法(土瓶の口から水を注ぐには蓋を取ると良く出る)等は皆 肺腎同源という理論の基礎となる。
人類の泌尿系統には已に呼吸功能は無く、但だ津液の気化方面だけがある。

四、生殖と泌尿系の同源
生殖と泌尿の二者は胚胎同源であり、皆 中胚層より発生する。
例えば前列腺炎の患者には常に陽痿・不育等の症が出現するし、泌尿系感染からは前列腺炎になりやすい。

五、内分泌と神経系統の同源
内分泌と神経系統は同源である。
神経系統が失調すると内分泌紊乱を引き起し、内分泌紊乱は又 神経精神疾患の因素となる。
例えば青春期・更年期の内分泌変化により精神病が容易に誘発される。

六、経絡と神経系統の同源
経絡とは中医独特の組成部分である。
内では臓腑とつながり、外では肢節と連絡し、人体臓腑組織の橋梁となり、経気を運送する通り道である。
神経系統の来源が外胚層である事から経絡も同源であろうと考えられる。
もし神経系統に障碍のある患者にあっては経絡系統にも反映されるだろうし、反対に経絡的反応から神経系統の正常さが預測される事もある。

七、血液と淋巴の同源
血液と淋巴および組織液とは中胚層から起こり同功同源である。
津液と気血とが親縁関系である事を中医では“津血同源”と呼ぶ。
例えばもし淋巴回流に障碍が起これば血液・体液循環に障碍が起きて水腫を発生する。
同様に血液循環が不良になれば淋巴・体液循行が失常する。

八、乳腺と汗腺の同源
乳腺とは特殊な汗腺である。
二者は皆 外胚層から発生し、親縁関系がある。
臨床上皮膚対乳腺癌有一定的預報意義。
もし皮膚掻癢・皮疹・帯状疱疹・黒棘皮病・皮筋炎・周囲神経炎等があれば皆 乳腺癌の予兆である。
また乳癰の初期に麻黄湯を用いて発汗開表して収功するのも、乳漏の虚汗者に桂枝湯を與えて汗が止ると同時に乳漏が愈えるのも同じ理由である。

九、骨と腎、胃腸と肝膵の同源
骨と腎も発生学上は同源器官であり、皆 胚胎は外胚層から発生している。
故に二者は均しく極めて相関している。
中医の臓象学説では“腎は骨を主る”,“腎は骨髄を主る”と強調している。
臨床では骨病は常に腎より治す。
骨の堅脆は亦 腎の盛衰の兆候でもある。
例えば《素問·上古天真論》の説:“女子は……四七(28歳)になれば,筋骨は堅くなり,髪は長さを極め,身体盛壮となる”,“男子は……八八(64歳)になれば……筋骨は解堕となり、天癸が尽きる。故に髪鬢は白くなり,身体は重く,行歩が不正となり,(精子が)無子となる。”
卵巣嚢腫中に骨・髪・歯などが見つかるのは骨・髪・歯・腎が同源である好い証拠です。
だから臨床上 歯と腎は同治できる訳です。
脊椎動物的肝是消化管腹面生出的一个大突起,具有貯存及転化作用。
胃腸と肝・胰(膵臓)も胚胎の発生学上は同源器官で、皆 胚胎は内胚層より発生します。

中医では肝脾は互いに相制約し、互いに相資生する作用を認めています。(中医学では膵臓を脾表現している

例えば肝病は先ず脾に伝わる可能性があります。
故に《金匱要略》の説:“肝の病を見つけたら,肝が脾に伝わるのを予知して,先ず脾を実させなければならない。”というのは上述の根拠からである。

十、咽と心腎、肺と副腎皮質の同源
心腎と咽喉部感染とは特殊な易感性がある。
例えば咽喉炎・扁桃腺炎・白喉などは皆 容易に心内膜炎・心筋炎・腎炎等を引き起こす。
此の外にも肺部結核は極めて容易に副腎結核になる。
臨床上 往往にして咽部感染があれば同時に心腎でも已に潜在的病変があると考えなければならない。
故に咽部感染が比較的重い病人では同時に心腎感染を預防しなければならない。
心腎症状が出現してしまってから治療を施しても遅すぎる。
以上より潜病及び疾病預測という方面からも“同源”理論と臓象学説は研究価値がある。

ウィキペディア
外胚葉は皮膚の表皮や男性の尿道末端部の上皮、毛髪・爪・皮膚腺(含む乳腺・汗腺)、感覚器(口腔・咽頭・鼻・直腸の末端部の上皮を含む、唾液腺)などを形成する。外胚葉の一部は発生過程で溝状に陥入して神経管を形成し、脳や脊髄などの中枢神経系のニューロンやメラノサイトなどの元にもなる。また末梢神経系も形成する。

内胚葉ははじめ扁平な細胞からなり、しだいに柱状構造を造る。これが食道から大腸までの消化管(口腔・咽頭や直腸の末端部を除く)となる。また内胚葉は消化管のほか肺、甲状腺、膵臓、肝臓などの器官の組織、消化管に開口する分泌腺の細胞、腹膜、胸膜、喉頭、耳管や気管・気管支、尿路(膀胱、尿道の大部分、尿管の一部)などを形成する。

原腸陥入時に外胚葉の一部が内胚葉の誘導により中胚葉となる。中胚葉が進化したことにより、複雑な器官が発達し、体腔も成立した。体腔内に形成された器官は体壁と独立に発達することができる一方、体液により保護されることとなった。中胚葉は体腔およびそれを裏打ちする中皮、筋肉、骨格、皮膚真皮、結合組織、心臓・血管(血管内皮も含む)、血液(血液細胞も含む)、リンパ管や脾臓、腎臓および尿管、性腺(精巣、子宮、性腺上皮)となる。

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