一貫煎と帯状疱疹後遺神経痛
顔面部の后遺で三叉神経痛となった者5例,躯干部の后遺で肋間神経痛となった者3例についての報告。
一貫煎加減:
(当帰4 生地10 沙参・枸杞・丹参・白芍5 麦冬・制乳香・鬱金3 炒川楝子2)45
余毒未清者加板藍根・双花3 竜胆草2
血熱者加丹皮・赤芍5
痛甚者加全蝎3 延胡索7
痛在頭面部加白芷・川芎3 蜈蚣1条
痛在躯干加元胡3 香附4
病案挙例
患者,男,60歳,于2005年8月13日初診。
患者は7月の初めに感冒にかかった后,左前額部に紅斑・簇集性丘疹・水疱が出現し,灼熱・疼痛を伴った。
帯状疱疹と診断され,西薬で消炎治療を20余日と,営養神経薬物の注射を10余日続けたが,局部の皮損は基本的に消退しても,疼痛は緩解されなかった。
訴えでは左前額部の疼痛は忍び難く,風に吹かれたり、軽く触れたり咀嚼する時にひどくなる,心煩・咽干口燥を伴い、眠りが浅く夢見が多い。
検査:左前額部に片状の暗紅色斑があり,舌紅く津液が少ない,舌辺に瘀斑あり,脈は虚弦。
これから肝腎陰虚・血燥気虚兼瘀阻経絡と見られる。
治には滋陰養血柔肝に化瘀通絡を佐とするのが宜しい。
基本方:
(酸棗仁10 白芷・川芎3 蜈蚣1条)16
※基本方と一貫煎加減を比較すると全然別の処方のようです。
しかし酸棗仁一味をもって一貫煎の肝腎陰虚を補うという意味を代替しています。
飛躍している点を中国流と理解して読み流してください。
服薬すること15剤の后,疼痛は明らかに軽減し,精神も好転して,夜間の睡眠は明らかに改善した,上方を継服10剤の后 痊愈したものと認められた。
討論
老人は臓腑の気が已に衰えている,そこへ帯状疱疹という熱病にかかると,熱毒は容易に陰血を損傷するし,長期の鬱熱は,陰津を耗損し,陰虚血少へと導く;
或いは治療中に妄りに“活血化瘀・清熱利湿”の品を用いると,やはり陰液を劫傷して,陰虚血少・経絡失栄となる,いわゆる「不栄なれば則ち痛む」である。
陰虚血少も又 脈絡枯渋となり,血行は遅滞し,更に血瘀を加重し,「不通なれば則ち痛む」の状態となる。
同時に患者は痛みのせいで,飲食は進まず,水穀が減ると,気血の生化は不足となり,更に陰虚が増加し,悪性循環を形成するゆえ,后遺痛は長期にわたり緩解し難くなる。
此の外に老年患者は,臓腑の気が衰え,肝の疏泄功能も亦減っているので,熱毒に感ずると,すぐに肝経は阻滞し,肝気は鬱結し,気滞血瘀,不通則痛となる。
中华现代中医学杂志 > 2006年第2卷第5期 > 一贯煎治疗老年性带状疱疹神经痛8例
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