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痔の標治と本治

 痔の薬で有名なのは乙字湯(柴胡・黄芩・当帰・升麻・大黄・生甘草)です。
乙字湯は専ら清熱解毒の方剤です。
即ちここに用いられている柴胡や升麻は分量が大きく主薬に当たります。
補中益気湯に含まれる少量の柴胡や升麻の補佐薬とは意味が違います。
かねてから乙字湯を痔に使う事には抵抗がありました。
この度は同じ柴胡や升麻を使っても、それが升提薬として使われている痔の処方にぶつかりました。
標治と本治の問題も含んでおり、痔を見直す良い機会かと思います。
‥‥‥

袁明賢(福建上杭白砂中洋門)の治験

病例1 患者王××,60歳,男,農民。診治日期:1998年3月2日。

患者は内外混合痔を患って約20年になる,しばしば便后に滴血がある,時には肛門腫痛もあり,已に3度も手術治療をしているが,苦しきこと言うに堪えず。

現在症: 肛門口は常に潮湿しており,便后には墜脹するし,頭暈を伴い、四肢は乏力で、食欲減退(納減)している。
検査: 心肺(-),肝脾(-),
肛鏡検査: 肛縁には環周状の不規則突起が見え,肛管歯線上に3、9、11時の点に扁豆大の小さい痔核がある,舌質は淡紅,苔は薄白,脈は弦細。

辨証は気虚下陥による痔静脈の気血阻滞経絡不調である,治は宜しく補虚扶正,活血化瘀すべし。

処方:(黄芪・党参10 当帰・丹参7 川芎・白朮・升麻・柴胡・枳殻・桂枝・桃仁・紅花・甘草3)61

連服20剤の后,患者は精神清爽を自覚した,二便は通調し,陰部の潮湿は消失し,肛門部には不適がない,生活の質量は明らかに高くなった。

病例2 患者李××,男45歳,教師。診治日期:1997年4月4日。
患者は5日間 便后に滴血があり,糞は干き硬く,きばらないと出難い,肛門口は腫痛し,検査では二期の混合痔の出血で感染を伴う。

中医の辨証は痔静脈の気血阻滞積熱壅結である。
治には宜清熱瀉火解毒,止血通便としを治し,血が止り腫れが消えるのを待った后に再び益気升提活血化瘀でを治すのが宜しい。

处方:(金銀花・生地・仙鶴草10 生地楡7 連翹・黄芩・丹皮・大黄・山梔3)52g // 田七1.5g(別に呑む)

連服3剤の后,便血は已に止り,肛門の腫痛も消失した,舌質は淡紅,苔は薄白,脈は弦細。
これで標症が已に除かれたので,本症である虚を治すことに転じる,

处方:(黄芪・党参10 当帰・白朮・枳殻・川芎・赤芍・桃仁・紅花3 升麻・柴胡・甘草2)47 // 田七1g(別に呑む)

20剤を服した后に停薬し,その後は毎月2~3剤だけを服しているが,痔瘡の復発はない。

 按:《丹渓心法》に云く: “痔とは皆 臓腑の本虚に因る,外は風湿に傷れ,内は蘊熱する者で……以って気血は下墜し,肛門に結聚し,縮滞して散らず,冲突して痔となる也。”
痔の病因病機は臓腑が素より虚にして、気血の下墜と瘀血の阻滞であると明確に示している。

痔瘡が形成された后 常に湿熱毒邪を感受したことから腫痛が起こり,糞塊による擦傷や瘀血が重くなって滴血する。
だから治療方法としては分けて進めるのが宜しい,如し肛門が腫痛して大便に滴血する時には,急ぎ其の標を治す,清熱瀉火,止血通便に宜し,

薬選:大黄、生地、丹皮、黄芩、銀花、山梔、仙鶴草、地楡等。

血が止り腫れが消えるのを待った后,益気升提、活血化瘀にて本を治するが宜しい。

筆者は常に補中益気湯合補陽還五湯加味を選用して治療し,満足な療効を得ている。
(痔瘡は直腸肛管内の血管疝と認識される)

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