口角炎
感染性の口角炎にはカンジダ性口角炎とヘルペス性口角炎があるそうです。
だから単純性疱疹(ヘルペス)とヘルペス性口角炎は同類のものになります。
口唇に出るものと口角に出るものの差で、現代医学では同じ扱いをします。
中医学では爛嘴丫子、口丫瘡、燕吻瘡、口吻瘡、燕口(ツバメのくちばしの両端が黄色いのが似ています)、肥瘡などの病名がついています。
わが国の江戸時代には、悪口をいったり憎まれ口を利いたりすると口角瘡ができるぞ云う意味で「からすがおきゅうをすえるぞえ」というそうです。
それから「烏の灸」の名があります。
30年ほど前になりますが、このヘルペス性口角炎になったことがありました。
かさぶたが分厚く出来て、口を開けると亀裂が入り、出血したりして一週間ほど治らなかったものです。
いい大人がみっともなくて人にも会えなかったものです。
当時は治療法が分からず、結局自然に治癒するのを待っていました。
最近、女房が単純性口唇ヘルペスにかかりました。
最初は下唇の中ほどに小さな水泡が出来て、それが次第にかさぶたに変わりみっともないものです。
これを脾胃実熱と弁証して瀉黄散の加減方で短期間で治すことができました。
それでふと昔のことを思い出したのです。
さて、あの時の口角炎をどのように治療すればよかったのだろうか?
比べてみても口角炎と口唇ヘルペスとは部位こそ異なっても感覚的には同じものに思われます。
《諸病源候論》には“足の太陰は脾経で,其の気は口に通ずる,また足の陽明は胃経で,手の陽明は大腸経であり,此の二経脈も口を挟む。
この腑蔵が虚したところへ,風邪や湿熱が乗ずると,気は経脈へと発し,津液と相搏ち,瘡を生ずる,恒に湿爛して汁あり,世に肥瘡と謂う,亦の名を燕口瘡とも。” 治には清熱、除湿、瀉火するのが宜しい。
三黄凉膈散《喉科紫珍集》等の加減を選用する。
川連 梔子 黄柏 黄芩 川芎 赤芍 甘草 紫蘇葉 薄荷 青皮 陳皮 金銀花 花粉 当帰 射干 元参 各等分
‥‥‥
ちなみに顔面疱疹には とびひ(伝染性膿痂疹) も含まれる。
従って選用される処方も類似したものになる。
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