« May 2011 | Main | July 2011 »

高血圧と漢方

高血圧をどのように説明するか?
漢方や中医学には“高血圧”という病名は無い。
仕方が無いので代わりに眩暈とか頭痛とかの症状でもって高血圧を指すのが一般的である。
しかし実際には眩暈も頭痛もない高血圧者はいくらでもいる。
いつもここでストップしてしまい、高血圧への中医学的な対応には自信がなかった。

つい先程の事、大柄でやや肥満体の壮年が高血圧のことで相談に見えた。
血糖値が高めで、血圧が200もあるとのこと。
別段の症状は何も無く、毎日元気で勤めている。
ただ血圧が心配なので医者へ行こうと思うのだが、医者の薬は一度飲み始めると止めてはいけないそうなので出来ることなら漢方薬で何とかならないものか?という相談である。

自信が無いので何かと言葉を濁しながらも試みに舌を出してもらった。
なんと真っ白の膩苔ではないか。
舌質は淡色で、一部が剥げている。

これは痰飲に関係がある。
そこで調べてみるから後刻また来てほしい、それまでに処方を考えておくから、という事でお引取り願った。

ネットで「白膩苔 高血圧 中医」で検索してみると、あった!

Continue reading "高血圧と漢方"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

猫の膀胱炎

2011/05/05 ある方から猫の膀胱炎について相談を受けました。

三日前の夜から猫が何度もトイレに入りトイレを見ても何も出ていないので病院に連れて行ったところ膀胱炎と言われました。
尿が詰まっているわけではなく、尿がしたい感じがするのではないかとのことです。
二年前にも膀胱結石になり、その半年後に膀胱炎になっています。
今回は結石は出ませんでしたが尿に血が混じっているそうです。
他の症状としては一週間前から喉が渇くようで水を良く飲みます。
膀胱炎も結石も何度も繰り返すようなのでなにか良い漢方薬はないでしょうか?
猪苓湯とかがよいのでしょうか。
今も何度もトイレに入っていて、よく見ると少しだけ尿が出ていて血も付いていました。
病院から貰った抗生物質があまり効いていないようにも思います。

清心蓮子飲エキスを試してみたらどうでしょうか。

先生に返事を貰ってから早速清心蓮子飲エキスを猫に飲ませたところ、飲ませて一時間もたたないうちに気持ち良くなってきたのかウトウトしてきて眠ってしまいました。
起きてからは沢山の尿が出て、それまで少ししか出なかったのが嘘のようでした。
すごい即効性です。一週間ほど飲ませましたが今では何ともないです。

その後、もう一匹の猫が吐いて下痢をして鼻をたらしていてので、こちらは霍香正気散を二日間ほど飲ませてみたところ完治してしまいました。
やっぱり漢方薬は凄いなと改めて思いました。

‥‥‥

猪苓湯と清心蓮子飲をどのように使い分けるか? という問題です。
急性症状が強ければ前者、慢性的な経過なら後者というのもありかな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

胃咳 2

胃咳と思える例に出会いました。
30代女性。以下は本人の言葉。

2011/05/01 のどが痛み、5月2日に耳鼻咽喉科へ行き「のどが赤い」とのことで抗生物質を処方されたのですが、同日の夜に39・5度の熱がでてしまい、朝になっても下がりませんでした。
ふしぶしが痛み、寒気と頭痛がひどく「まさかインフルエンザでは」と思い、自宅にあった市販の「麻黄湯」を飲みました。
意外にも効果があり、熱は下がりました。
しかし、咳と痰が出始め、特に夜はまったく眠れないほどの咳がでます。
(5月4日と5日は夜まったく眠れませんでした)。

本日(05/08)の状態は、痰はとても少なく咳も回数は減っているのですが、発作のようにいったん咳き込むと止まらず、一度は吐いてしまったこともあります。
今でも夜は咳き込み、2,3時間は咳が止まらず寝ることができません。
胸のあたりがゼーゼーして、体力がものすごく落ちました。
日中の咳はだいぶおさまっていますが、夜の咳はひどく、横にならなくても夜になるだけで咳き込む回数が増えます(朝も起きてすぐは咳き込みます)。
特に鼻水はでませんし、頭痛もないです。

これに対して私は一般的な風邪の咳嗽だろうと考えて、止嗽散加味を与えました。
(紫苑・桔梗・陳皮・桑葉・連翹・貝母5 百部・白前4 荊芥3 甘草2)43

05/11 しかし、どうも改善がまったくみられないのです。
05/12 夜の咳が少しおさまり、眠ることができるようになりました。
      昼から喉の調子がおかしくなり、イガイガして荒れた感じになりました(マスクをして水分補給もしてました)。
    夕方から喉の荒れがひどく、咳も多くなり、夜寝ようと横になったとたんに激しく咳き込み、吐いてしまいまた。
    その後もまったく咳が収まらず、2回目に吐いたあとようやく少しおさまり寝ることができました。

05/13 朝から咳き込みが激しく、一度吐いてしまいました(朝起きてすぐ)
     朝食を食べたあとは少しおさまり、今(9:00)の時点ではあまり咳はでていません。
       喉も少し荒れがおさまっています。痰は色のない透明なものが少しでるくらいです。
    私の咳がちょっと異常なので同僚より一度レントゲンを取るようすすめられました。本日会社帰りに病院いってみます。

05/25 先日、咳と喉の件でご相談しましたが、「逆流性食道炎」というものでした。
      夜になると出る咳は「胃酸が胃から食道に逆流し、喉や気管支に入ると強い炎症がおこり、慢性の咳の原因になる」ということらしいのです。思い返せば、夜お酒を飲まなかった日、ご飯が和食の日は寝るときにあまり咳がでないのですが、油っこいもの、ちょっと多めに食べたときは寝て横になるとのどのあたりが焼けたような感じになり、咳がでます(咳がでると余計ひりひりします)
また、基本的に食事をしたあとに咳が出ます。
先日、甘栗を食べた夜は一番酷く、朝から胸焼けがあり何も食べられませんでした(相当消化が悪かったようです)。
いつも食事は最初に少しサラダを食べただけでおなかいっぱいになります。
あまり気にせず食べていたため、症状が悪化したようです。

今の状態ですが、おにぎり一個食べたのですが、やはり何か食べたあとは咳がでて、喉がすっぱい感じになっています。
何を食べても胸焼け、咳がでてしまう状態です。
月初旬よりずっと便秘が続いています。そのため、痔も再発し、出血があります。
水を飲んでも胸焼けする感じ(喉が吐いた後のような感じ)になっています。

05/26 甘草瀉心湯加減 7日分を送る。
(半夏10 黄岑・党参・杏仁3 甘草・款冬花5 黄連1)30g

06/07 逆流性食道炎ですが、深夜咳き込むことはなくなりました。
胃酸の逆流もほとんどなくなりました。
以前よりおなかがすく事が多くなりましたが、やはり調子にのって食べるとすぐに胸焼けがします。
普段は夕食は早めに食べること、毎日30分以上歩くように心がけました。
現在良くなっておりますが、甘草瀉心湯加減を飲み始めた頃はこの煎じ薬を飲んだだけでも胸焼けがしてました。
痔は改善しました。

逆流性食道炎による咳は確かに通常の方法では治らない。
《金匱要略》でいう狐惑病は 上部の喉が蝕ばまれれば「」となり声が喝れ、陰部が蝕まれれば「」という病名になる。
この説明の「」というのが今の例の胃咳に該当するのかも知れないと思ったりしている。
またこの人の場合は痔もあり、それは「」だったのかと。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

嚥下障害 (誤嚥) 2

過去の記事に「嚥下障害 (誤嚥)」があります。
その時は嚥下反射と誤嚥時の咳反射について考察しましたが、誤嚥そのものの原因については及びませんでした。
摂食嚥下障害の漢方治療は東北大学の先生方が半夏厚朴湯を用いてかなりの成果を得ておられます。
半夏厚朴湯といえば「咽中炙臠」や「梅核気」の概念が有名です。
その連想で嚥下障害への応用が試みられたのだと思います。

中医学ではこれを吞咽障碍といい、脳血管障害者などに色々な工夫があります。
弁証理論の得意な彼等は誤嚥の多くを「痰蒙清竅証」とみなしています。

清竅とは面部の眼耳鼻口の七個の孔竅が正常に機能している場合のことです。
この七竅の中の口の経絡に痰湿の邪が迷い込むと“痰蒙”となり、誤嚥を起こすというのです。
使用するのは二陳湯加味です。
 (陳皮・半夏・茯苓・炙甘草・生姜・烏梅・竹茹・胆南星・白僵蚕)

半夏厚朴湯は(半夏・茯苓・厚朴・紫蘇・生姜)
なので、両者は 半夏・茯苓・生姜 が共通です。
二陳湯加味にはその他に 陳皮・甘草・竹茹・胆南星・白僵蚕 があり、去痰の効力を強めています。

東北大学やその他の先生方が半夏厚朴湯のほかに、二陳湯加味も臨床で使って見られたらどうかと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

胎毒について

胎便(カニババ)=胎毒 と誤解している人がいます。
赤ちゃんが産まれて初めてするウンチは黒緑色の無臭便で、これを昔から「カニババ」「カニクソ」と云いました。
飲み込んだ羊水や皮膚の剥がれた細胞、胎脂などの老廃物が溜まったものと云われています。
これはどんな赤ちゃんでも出生後12~24時間以内には自然に排泄されます。
これを一概に「胎毒」と云うのはどうかと思います。
単なる「胎便」であって、全く正常なものです。

Continue reading "胎毒について"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« May 2011 | Main | July 2011 »