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胞虚如球証

湖南祁陽県中医院眼科 蒋新元
胞瞼腫脹(眼瞼の非炎症性水腫)
《証治凖縄》では「胞虚如球」と称し、又の名は“懸球”とも云う。
病人の自覚症状は目だけで他の症はありません。
また赤痛はなく、ただ上胞(上瞼)が球の如くに浮腫するだけで、圧せば平らになるが、暫くするとまた元に戻る。
病因病機の多くは気分失和・脾虚兼有湿火汎涌于上か、または気虚難以化湿である。

 例1、李仲生,男,73歳,潘家埠鎮の人,1995年3月4日来我院就診,
主訴:双眼上胞(瞼)が二月前から常に腫脹している。
痛痒感はなく、四肢無力,食欲不振,大便溏を伴う。
病人は双眼上胞腫脹のほかに顔面萎黄・精神不振・少気懶言・舌淡苔薄白,脈細無力・小便検査は正常だった。
辨証分析すれば、患者は老年で臓が衰え、脾気虚弱・水湿停滞のため瞼胞となっていると思われる。
治則は健脾益気化湿すべく、処方は補中益気湯加味とする。
(黄耆8 党参7 白朮5 陳皮・升麻・柴胡・当帰・防風・沢瀉3 甘草2)40 三剤。

三日后の来院再診では、双眼の胞瞼腫脹は大いに軽減しており、病人は元気も出てきた。
処方の黄耆・党参の剤量を加重し、別に白扁豆5を加えて四剤を出して愈えた。

 按:患者は老年で臓気が衰弱し、中土失運・気不上行の証である。
胞瞼は五輪学説では脾に属し、脾気虚弱になれば水湿が胞瞼に停滞して腫脹を発生する。
治療は脾より着手すべく、健脾を主とし、化湿を兼ねて治効があった。

 例2、張満生,男,42歳,黄泥塘鎮辺りの人。
1995年6月11日に我院に来て就診。
主訴:双眼上瞼の腫脹が一月余も続き、痒感がある。
双眼上胞の瞼が球の如く腫脹しており、面色無華・精神萎糜・舌苔は白く、脈は無力である。
小便検査(一)

辨証分析:患者は野外工作に従事しており、生活は苦しく、日頃から脾気虚弱になっていた。
兼ねてまた外界の風邪が侵入し、胞瞼腫脹と痒感を現した。
治則は健脾益気祛風の法とし、助陽活血湯加味を当てる。
(党参8 黄耆6 当帰5 防風4 柴胡・白芷・蔓荊子・羌活・升麻3 甘草2)40 四剤。

再診では双眼の腫脹は2/3ほど消失していた。
更に処方に白朮5を加え、四剤で愈えた。

 按:患者は野外作業に当たり、加えて生活条件も悪く、脾虚と風邪入侵のため上胞腫脹発痒を発した。
中医治則は健脾益気を基礎とし、祛風を兼ねて速やかに愈えた。

 例3,謝美華,女,12歳,梅渓鎮辺りの人、1995年8月15日来我院就診。
主訴:双眼上胞が腫脹すること三月。
慢性腹瀉の病史も半年あり、食欲不振である。
患者の双眼上胞は腫脹して球の如く、体は痩せ、顔色は萎黄で無華(血色が無い)、精神(元気)は萎糜して不振、舌淡苔白、脈は細で無力。
小便の検査は正常。
辨証分析: 患者には慢性腹瀉の病史があり、日頃から脾気は極めて虚しており、中土失運・気不上行・気分失和の証で本病を発した。
治則は健脾を主とし、方は参苓白朮散加味を用いる。
(党参・白朮・山薬・意苡仁・大棗5 玄参・蓮肉4 白扁豆・陳皮・桔梗・防風3 砂仁・甘草2)49 五剤。

再診時には患者の精神は好転し、大便腹瀉から転じて大便は塘(泥状)となった。
双眼上胞の腫脹は軽減しているが、更に原方を五剤服用させた。

‥‥‥
また《眼科臨症筆記》にも治験例が出ている。

胞虚如球:昔濮県の楊某某,女,37歳。
時中秋に至るや忽ち四肢無力を覚え、眼胞が沈渋したので感冒かと思い、すぐに姜葱などの発汗の物を服した。
晨に至りて胞虚球の如し、不痒、やや微かにだるさを覚える。
六脈は虚数、ただ太陰が甚しい。
此れは脾土虚熱・清気下降・虚火上升である。
祛湿健脾湯を内服し、三物化堅散を外用とし罨法する。
2~3日で即消えた。
祛湿健脾湯(党参10 山薬・茯苓・薏苡仁5 牛蒡子・連翹・陳皮・沢瀉・猪苓・車前子3 砂仁・甘草1)45
‥‥‥

相談例「まぶたの腫脹・両瞼のかゆみ腫れ

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