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斬新な高血圧漢方

これまでにブログで高血圧に関して四つの記事を書いてきました。
高血圧は陽気過多」「高血圧2」「高血圧」「高血圧と漢方
どれも間違いではないのですが、今ひとつピッタリと来るものが感じられずもどかしく思っていました。
この度は『中医臨床』v32-3 に載っていた「張錫純方による中風治療」という論説を読んでピーンと来るものがあり、少し調べてみました。

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張錫純は「元気の脱,みな肝の脱にあり」「肝胆の虚が極まれば,元気は脱するなり」と述べています。
元気が出るのは肝気が上ってくるからでです。
また元気が無くなるのは肝気が上へ脱けていく(上脱する)からであると。
上脱とは即ち肝の疏泄作用が過剰になることです。
肝気が鬱結(肝鬱)して悶々とするのも良くないですが、発散や排泄が良すぎるのも問題です。

元気が無くなったら、それは肝気上脱が過ぎたのだから肝気を収摂(収斂)しなければなりません。
そうすれば元のようにまた元気になれます。
単に元気が無くなるだけでなく、肝気上脱(肝虚)になると五臓六腑の気は皆んな上昇します。
肺気は降りず、腎気は収まらず衝気となり、つられて胃気もまた上逆し、色々な症状が出ます。
つまり肝の陰や血が不足して肝虚になると、肝の陽気(肝陽)のみがフワーッと上昇してしまうということです。
これは最低血圧が高いタイプの高血圧の一種です。

どうするか?
張錫純は云っています。
「酸斂薬が虚脱・元気虚・陰陽失和を治療できる」と。
例えば烏梅です。
「烏梅の補肝・斂肝作用は最も強く,また斂肝することにより舒脾することができ,これを斂肝舒脾法(肝木横逆を抑える)という。」
烏梅の温酸は入肝し、かつ虚熱を斂する。
肝陽上亢というのは「肝が標,腎が本」だから「腎水を補わなければならない(補腎)」
腎という基礎を固めて肝陽を動かないようにするのである

ここへ出てくるのが鎮肝熄風湯加減という処方です。
(牛膝、代赭石、竜骨、牡蛎、亀板、烏梅、甘草、麦芽、茵陳蒿、川楝子、天門冬、玄参)

これは張錫純が作った元の鎮肝熄風湯の白芍を烏梅に変えただけですが、白芍より烏梅のほうがより斂肝作用が強いことを活用しています。
この方法は肝火や腎火を直接折るよりも大変合理的です。

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