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食后嗜睡

食后嗜睡とは食事後に病的に眠くなる症状を云い、また“飯酔”とも云う。
人の寤寐(覚醒と睡眠)は衛気の運行や陽気の盛衰と密切に関っている。
《霊枢·大惑論》に云わく:“衛気は昼は陽(表)を行り夜は陰(裏)を行る,故に陽気が尽きれば臥し,陰気が尽きれば寤(さめ)る。”
つまり陽気があれば覚醒で、陽気が無ければ睡眠です。
従って何らかの原因で陽気不振が起これば昼日や食後にでも嗜睡が見舞います。

例えば(1)黄疸や肝炎などで胆経に湿熱が多ければしばしば昏睡する事があります。
これは胆経鬱熱が陽気を遮ってしまうからです。
(2)通常でもっとも多いのは脾虚食積(湿困脾陽)です。
これは脾胃が虚弱な人の食後の眠気です。
(3)また『傷寒論』には「少陰病は但だ寐ねんと欲す」と書かれています。
これも慢性病で脾腎の陽虚になると嗜睡が襲ってくる例です。
どれもみな陽虚(陽気不振)が原因です。
陳明、劉渡舟先生の著《傷寒名医験案精選》に面白い治験例があります。

 謝富晋医案:邓某某,女,18歳,1987年2月6日診。
1986年7月よりはっきりした原因もないのに食后倦怠思睡が出現し,次第に食后嗜睡へと変わっていった。
毎回30分以上にはならないが,醒めた后は常人と変わらない。
また頭暈目眩,面色蒼白,神倦乏力,四肢不温を伴い,時々発熱して自汗が出て,舌苔白く微膩,舌淡紅,脈濡緩である。

そこで桂枝加桂湯を与えた。
;(桂枝15 白芍10 炙甘草6 生姜10 大棗20)

服薬后は20分間ほどすれば目覚めるようになった。
再び原方を5剤与えて,食后も眠らないでおられるようになった。
しかしまだ食后の困倦や思睡はあるので,又服すること8剤,やっと諸症は消失した。

‥‥‥
桂枝加桂湯は『傷寒論』では“奔豚病”に使っています。

発汗后,焼針令其汗,針処被寒,核起而赤者,必発奔豚,気从少腹上至心,灸其核上各一壮,與桂枝加桂湯主之。

奔豚病と食后嗜睡では全然違った病気です。
なぜ食后嗜睡が桂枝加桂湯で治るのか?
それは病機(メカニズム)が同じだからです。

傷寒病にかかって悪寒している時に焼針をして発汗させたのはいいが、(保温が足りず)針をした処に寒を被り、そこが赤く膨らんできたら必ず奔豚を発するから気をつけよ。若しそうなったら膨らんできた処にお灸をすえ、桂枝加桂湯を与えなさい。

これは脾陽不足の人が傷寒病にかかった例です。
奔豚とは脾陽虚損により下寒(下焦の寒気)が上逆して,少腹痛塊となって心臓に突き上げるのです(気从少腹上冲心)。
すなわち陽気不振が根本原因です。
だから奔豚病も食后嗜睡も同じ桂枝加桂湯の「振奮陽気,調和営衛」の作用によって改善されたわけです。

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Comments

奔豚気に使われる苓桂甘棗湯と、桂枝加桂湯は、どの様に使いわければよろしいでしょうか?奔豚気に対する処方なのに、桂枝加桂湯には茯苓が入っていないのはどうしてなのか、わかりません。どうか教えて頂きたく、宜しくお願いいたします。

Posted by: ちりつばき | 2013.11.22 at 08:34 AM

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