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複視と突発性難聴

疲れ過ぎると食欲さえ無くなるのを経験したことはありませんか?
(労役形体,脾胃不足)(煩労傷中)
先日、親の看護疲れで過労気味の婦人が突発性難聴になったと相談に見えられました。
その数ヶ月前には物が二重に見える(複視・岐視)といって相談に来ておられたのです。
複視の時は正容湯加味を紹介したのでしたが果たしてそれで良かったのかどうか?
複視は日数が経ったせいか次第に改善していったそうですが、今度は突発性の感音性難聴だとのこと。
ストレスを受けやすいと自分でもいっておられますが、神経が細そうな方です。
首から上の、目と耳の症状が重なっています。
それでふと気が付いたことがありました。
益気聡明湯のことです。

《医方集解》には次のように説明があります。

五臓は皆 禀気(天賦の気性)を脾胃より受け,九竅(両眼,両鼻孔,一口,両耳,前陰后陰)に達する;煩労のため脾胃を傷つける(傷中)と,上昇すべき気が上がらず(冲和之気不能上升),故に目は昏くなり耳は聾する也。
李東垣曰く:医師が耳目の症状にこだわって、脾胃を調えることの重要性(養血安神に影響する)を知らないと,を治すばかりでを治さないことになる。
十二経の清陽の気は,皆 頭面へ上り空竅(九竅)へ走る,飲食の乱れや労役に因り,脾胃が受傷すると,心火(ストレス)が太盛となりて,百脈は沸騰し,邪が空竅を害うことになる。
中気(脾胃の気)が充足すると,清陽は上升し,九竅が通利し,耳目は聡明となる。

【処方】(黄耆10 葛根7 蔓荊子4 白芍5 西洋参・黄柏・升麻3 炙甘草2)37

【加減】兼有①心煩、胸悶或有熱 加知母、山梔3
 ②目渋羞明 加枸杞子、菊花3
 ③脾胃虚寒者 去黄柏 加炒白朮7,石菖蒲3,砂仁2
 ④眩暈(メニエール氏症) 去黄耆﹑西洋参 加姜制半夏4、茯苓5、陳皮3
 ⑤頚椎病 加鹿含草10、桂枝3
 ⑥高血圧 去黄耆﹑西洋参、升麻 加夏枯草5、川牛膝5、羅布麻3

【功能主冶】益気聡耳。主精脱(清気が抜けてなる)耳聾。主腎虚耳聾,重聴(感音性難聴)。

脾胃気虚が原因で 内障(かすみ目),目糊(めやに),視物昏花(飛蚊症),神水(水晶体)変淡緑色,次には岐視(複視),久しくすれば失明,神水が純白色に変成する等を患う事や
;亦 耳聾,耳鳴を治す。
現在では老年性白内障、色弱、色盲、聴力減退で気虚 清陽不升者に多用している。

ここで教えられたのは黄柏についてです。
黄柏は「補腎生水」の作用があるとなっています。
耳目といえば肝腎二臓が関係しますから当然 補腎をしなければならないのですが、それが熟地黄ではなく黄柏であるという事に注意しなければなりません。
熟地黄だと清陽上升の妨げになるのです。
これと同じことは清暑益気湯の黄柏についても云えます。

‥‥‥

ちなみに聡耳益気湯《外科理例・附方》(または益気聡耳湯)という処方もあります。

【処 方】(黄耆9 炙甘草4.5 人参・柴胡・白朮・菖蒲・防風・荊芥3 酒当帰・陳皮・升麻2)37.5
【功能主冶】主腎虚耳聾,重聴。

‥‥‥

そういう訳で今回は 益気聡明湯+益気聡耳湯 を紹介しました。

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