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三拗湯と麻黄湯

『傷寒論』に麻黄湯という処方があります。
内容は次の通りです。
麻黄三両(去節) 桂枝二両(去皮) 甘草一両(炙) 杏仁七十個(去皮尖)

これとよく似た処方に三拗湯《太平恵民和剤局方》というのがあります。
麻黄(連節)10g 北杏仁(連皮)12g 生甘草(連梢)3g 生姜4片

三拗湯とは「拗ねた三つの生薬」という名前です。
なぜこんな名前かというと生薬の炮制加工法が通常の加工法とは反対だからです。

通常の加工法では 麻黄は(去節)すべし、杏仁は(去皮尖)すべし、甘草は(炙)すべしなのです。
それをわざわざ連節麻黄、連皮杏仁、連梢生甘草 とすべしと断っているのです。
なぜかというと、『医方集解』の説明では:麻黄に節があるのは発散の中にも収斂がある。杏仁に尖皮が残っていれば収渋して散中に渋があり、宣発し過ぎない。甘草を炙せば補中になるが、生で用いると清熱解毒となる。

三拗湯の主治は 外感風寒・肺気不宣の証で、症状は鼻塞声重,語言不出,或いは傷風受寒の証で、頭痛目眩,四肢拘急,咳嗽痰多,胸悶気促,無汗,口不渇,苔白,脈浮。

加工法に違いがあるのは 三拗湯を使う所以は対象が“傷寒”ではなく、“傷風受寒”だからです。

最近、インフルエンザに麻黄湯を使うという用例をしばしば見かけます。
インフルエンザが“傷寒”か“傷風”か、それとも“風熱”かはよくよく吟味されなければなりません。
“傷寒”なら麻黄湯を、“傷風”なら三拗湯をと杓子定規に考えるのは考え過ぎなのかな?

“傷風受寒”が更に強くなると五拗湯《証治凖縄:幼科》というのになります。
これは三拗湯に荊芥(不去梗),桔梗(蜜拌炒)を加えます。

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