胸痛
私事ですが、時々寝ている間に左胸の辺りに鈍痛を感じて目覚める事があります。
なんとも厭な感じの、痛みともつかず重い圧迫感です。
寝返りをして暫くすると消えていくのでもう少し様子を見ようと思っています。
脈には変化が無く、もしかしたら狭心症の前触れかもと思ったりしています。
検査をする前に自力で出来ることは無いか。
こんな時こそ漢方の力を試す絶好の機会と思い調べてみました。
胸痺
冠心病(冠状動脈硬化症)の心絞痛は中医の“胸痺” “心痛”の範畴に属する。
王楽匋はこの病の基本病機は“本虚標実”だと認識している。
“本虚”には心陽・心気・心陰虚などがあり;“標実”には瘀血・痰飲・寒凝・気滞の别がある。
仲景が云うところの“陽微陰弦”が当病の証型である。
“陽微”とは陰寒太盛・水飲内停のことである。
此の証型の特徴は胸膺悶痛・痞塞不暢・雨天や気圧が低い時にはひどくなり,舌苔は濁膩か或いは滑膩である。
痰濁があれば血瘀を重くするし,瘀滞があれば痰阻がひどくなる。
二者は離し難く,相互に影響するので活血和絡の品(丹参、紅花、三七粉、当帰、制乳香、没薬、鬱金など)を配合すべきである。
心悸失眠者には,加磁石、青竜歯、五味子;
頭眩・血圧高者には,加天麻、鈎藤、石決明;
畏寒,舌淡或いは舌黯にして嫩者には,加紅参、附片等。
例 胡某某,男,45歳。1992年4月27日初診。
患者はこの半年来常々 発作性の胸骨后疼痛があり,胸悶・心悸を伴う。
心電図では虚血性冠心病の心絞痛である。
前医は曽つて活血化瘀・補益心気の諸剤を施したが,胸痺は変わらなかった。
刻診:患者は肥胖型で,面色紅く,胸部痞悶して,塞がるような感じがする;
舌は紫だが潤,苔は薄いが膩,脈は濡軟である。
証情を綜合すれば,心気不足,瘀血内阻の証だが,また胸陽痺阻,痰濁盤踞の象があり,痰瘀互阻,心気不暢になっている。
よって開痺化痰,活血和絡の法をとる。
瓜蒌薤白半夏湯加減(瓜蒌殻・薤白・鬱金・当帰・紅花・玄胡・川楝子・青橘葉3 丹参5 茯神4 半夏・降香・制乳香・没薬・甘草・三七粉(分呑)2)45
此の方を7剤の后,患者は漸く胸が楽になった。
以后 此の方を加減した。
例えば黄芪を加えて心気を益し;煅磁石・青竜歯で心神を鎮め;天麻・鈎藤で熄風和陽 等をして,調治すること3个月,病情は穏定し,心絞痛が無くなり,心電図検査で心筋缺血が改善しているのを示した。
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・その他処方
栝楼薤白半夏湯加味
(栝楼実・茯苓・蘇葉5 薤白3 半夏・厚朴4 白酒5ml)26
瓜蒌薤白半夏汤加减1
(瓜蒌・薤白5 半夏・丹参・紅花・香櫞・枳殻3 甘草2)27
瓜蒌薤白半夏汤加减2
(瓜蒌・薤白・党参・丹参5 半夏・枳殻・桂枝・陳皮3 香附2)34
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