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胸部外傷

胸部に外傷を受けると,局部は気血瘀阻となり,多くは胸膺が疼痛して拒按となり,咳をすれば劇しくなる。
一般には血府逐瘀湯を主方として多用する。
胸廓は肺の所在にして,羶中は気の海である,凡そ胸部の外傷では,一面では気血瘀阻を導くが,また往々にして肺の清粛の令にも影響して,痰気が胸宇を阻み、陰乗陽位となり,それが進むと痰瘀が互いに膠結して,病情が重くなる事を老師は認めておられる。
故に活血化瘀和絡の法を採用すると同時に,開痺通陽豁痰の法にて,胸中の気機を宣暢する事も必要である,それで痰瘀互結の患となるのを免れる事が出来ると主張される。
此の故に彼は瓜蒌薤白半夏湯合活血通絡の品で胸部外傷を治療して,収効が頗る著しい。

例4 患者羅某,男,44歳。1990年8月12日初診。
患者には素もと風湿痺証があった。
1年前に人と争って殴り合いになり,前胸に拳撃を被り,以後 胸膺が疼痛し,咳をすると牽引されて劇しくなった,陰雨に逢うと労累が尤も甚しく,且つ時には胸脘が痞悶して不暢となるのを感じた。
そこで三七片を自服したが療効は顕れなかった。
診ると舌質は黯紅で,苔は薄白にして膩,脈は弦滑である。
此れは胸に外傷を受けて,絡脈瘀阻,気滞痰凝となり,胸陽が宣暢しなくなったものである。
開痺通陽祛痰,和絡化瘀の法にて,疏風逐湿させなければならない。

瓜蒌薤白半夏湯加減
(薤白・全瓜蒌・広鬱金・路路通・紅花・宣木瓜3 丹参5 鹿含草4 法半夏・降香・制乳香・没薬2 竹枝節7个,三七粉1<分呑>)36

此の方を加減して,約服すること40余剤にして,胸部の傷痛は平癒した。
以後は瓜蒌薤白半夏湯を撤去して,専ら風湿痺証を調治した。約年余にして,痺証も亦愈えた。

体会
以上四案(胸痛・胃痛・鬱証・胸部外傷)を縦観すれば,老師が瓜蒌薤白半夏湯を運用して諸証を治療した主旨は二つである:
①胸膺痞悶不暢;
②舌苔粘膩或いは滑膩。
是れは痰気が胸宇を阻み、胸陽が不暢になった事を表現している。
瓜蒌薤白半夏湯の作用の特点は辛開苦降温通にある,故に該方を施したら,あたかも空に太陽が出たように霧散したのである。
則ち,胸宇は羶中の所在なり。
“羶中とは,気の海也”,是れは宗気が聚集する所なり。
宗気の主要なる功能は肺呼吸と心血運行の推動である。
若し気海が鬱閉すれば,則ち気機は阻滞し,津液が聚って疾となり,血気は留って瘀となり,百病が生ずる。
瓜蒌薤白半夏湯の作用する病位は胸膺である,故に能く羶中に直達し,通陽化濁する,胸陽が振えば,上下は斡旋し,周身の気血の運行は正常となり,百病は安んずる。

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