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陰火は相火にあらず

金元四大家の一人である李杲(李東垣)の“脾胃学説”の核心とする所は“陰火証治”である。
但し著作である《脾胃論》には“陰火”については詳しく論じてない。
そのため“陰火”をめぐる后世の医家の諸説は紛々である。

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ものが盗まれたと騒ぐ

認知症の初期症状に「ものが盗まれた」と騒ぐ行動があるようです。
これを中医学では“疑病”と呼びます。
最近、米寿に近い親戚の老婦にこの行動が現れてきました。
若い頃から中途覚醒の不眠に悩まされてきて、又よくおなかを壊して下痢をしていました。
脾系の病だなとは思っていましたが、この方の疑病をどのように弁証したら良いだろうか?

『中医症状鑑別診断学』には“善疑”という項目で、心脾両虚善疑をあげています。
「脾は思を主る,脾が虚せば思慮が多くなる。」
あれこれ思慮が過ぎて脳を使うと心血が消耗する。
これは心血自体の不足でもあり、心血を作る脾の虚でもある。
すなわち心脾両臓の機能低下である。(思慮太過暗耗心血,心脾受損)
心血が不足すると神気が養われなくなり、夢見が多くなり中途覚醒したり健忘症になったりする。
それがこのタイプの認知症だという。
対策としては先ず脾虚を補い、心血を増加させなければならない。
そこで登場するのが帰脾湯です。(加味帰脾湯ではありません)

(人参・白朮・茯苓・炒酸棗仁・炙黄耆・遠志・当帰・竜眼肉3 木香1.5 炙甘草・生姜1 紅棗10)37.5

もし薬が飲めない場合には薬酒や薬粥もあります。

① 安神酒:竜眼肉500,桂花(キンモクセイ蕾)120,白糖100,白酒1500ml。

② 大棗茯神粥:大棗14枚,茯神15,粟米60。

中途覚醒と甘麦大棗湯」で述べたように甘麦大棗湯も良いかもしれません。

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足なえ(足膝無力)

“酒飲み”は歳よりも早く老け込む人が多いように思います。
私の親戚にも後年、足腰が弱って、目に見えて老化が際立った人がいました。
若い頃は毎日のように相当量の酒を飲んでいました。
酒の勢いを借りて気前のいいところを見せるので人気があります。
しかし、いい気になっているとそのうち痛い目を見ることになります。
貝原益軒の『養生訓・巻第六』 「病を慎しむ」には次のように戒めています。

(611) “つねに酒を多くのみて、腸胃やぶれ、元気へり、内熱生ずる故、内より風生じて手足ふるひ、しびれ、なえて、かなはず。‥‥‥酒多くのみ、内かはき熱して、風生ずるは、たとへば、七八月に残暑甚しくて、雨久しくふらざれば、地気さめずして、大風ふくが如し。”

さて、このような人にはどんな処方が良いだろうか?
飲酒は内熱を生じて体の陰分を消耗します。
陰分といえば、心肺肝腎の陰分が主なところでしょう。
その人は心陰が少なくなって心筋梗塞を起こした事がありました。
肝腎の陰が少なくなって膝痛や足なえになりました。
前立腺癌になったのは、もしかしたら肺陰が少なくなって「水の上源」が枯れたからかも知れません。

早くから六味丸を薦めていたのでしたが続きませんでした。
六味丸よりももっと有効なのが虎潜丸《丹溪心法》です。

 黄柏(酒炒,240克) 亀板(酒炙,120克) 知母(酒炒,60克) 生地黄(60克) 陳皮(60克) 白芍(60克)鎖陽(45克) 虎骨(用狗骨代,炙,30克) 干姜(15克)
【功用】 滋陰降火,強壮筋骨。
【主治】 肝腎不足,陰虚内熱之痿証。腰膝酸軟,筋骨痿弱,腿足消痩,歩履乏力,或眩暈,耳鳴,遺精,遺尿,舌紅少苔,脈細弱。

因みに虎潜と名づけるのは「虎は陰類に属し、潜蔵する」からだという事です。
処方の内容から解るように、この処方は肝腎の陰分を強力に補います。
しかし補陰に傾き過ぎても困るので、補陽も少し加えて“陰陽双補”の配慮がなされています。

以前の記事「膝痛 (変形性膝関節症)」も参考にしてください。

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