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舌麻

銭某々、女、66歳、内蒙古人。1995/04/26 初診。
16年前から高血圧性冠心病にて中西薬治療を受けている。
この一年間は病状が重くなり、血圧160/100mmHg、眩暈、心悸、胸悶、背中が重い、不眠、口乾、手足の振るえ、もっとも奇妙なのは舌麻が甚だしく五味を感じないことだ。
舌は大きくて紅く、苔が白滑、脈が沈。

これをミスって心陽虚弱・水寒の邪が上冲してものとみなし、苓桂朮甘湯を14剤も使ったものだ。
胸悶、心悸、背中が重いのは軽減したが、舌麻は増々ひどくなり、血圧は高くなり、眩暈、不眠、心悸、口乾、手足の振るえも悪化した。
舌は紅く無苔で、脈は沈細無力に変わった。
これは陰虚に、手の厥陰風火上燔の勢いが加わり、陰虚風動となったものである。
急ぎ滋陰潜陽熄風の法を取らなければならない。

三甲復脈湯加味
 麦門冬・白芍・酸棗仁・牡蛎10 生地・太子参7 鼈甲・炙甘草5 亀板4 阿膠・五味子3 桂枝1

七剤にて漸く舌麻は半減し、便通があり、眩暈、不眠、心悸、口乾も減った。
舌麻は夜明け頃に感じる。
夜明けに発するのは陰虚陽動なり
なお上方を30余剤用いて舌麻はしなくなり、血圧は120/80mmHgに安定した。
次いで羚羊鈎藤湯と黄連阿膠湯を交互に飲ませて善後を図った。

【按語】本案の舌麻は厥陰陰虚のため肝木を涵養することが出来ず、水は火を制御せず、陰は陽を潜めず、風陽が発動した現象である。
三甲復脈湯とは復脈湯(炙甘草湯)に三甲(牡蛎・鼈甲・亀板)を加えたものである。

注意を要するのは脈が沈細無力を呈した事から、この心臓病史には心陽不足の一面もあった事である。
そこで方中に太子参・桂枝などの甘温の品を加えたのである。
            『劉渡舟験案精選』より

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