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ものが盗まれたと騒ぐ2

先に「心血が不足すると神気が養われない」タイプを心脾両虚の疑病としましたが、更に考察を加えてみます。

益気聡明湯《医方集解》には次のように記載されています。

「五臓は皆気を脾胃から禀けて,以って九竅に達する;煩労により中(脾胃)を傷れば,冲和之気(陰陽調和の気)が上升できず,故に目は昏くなり耳は聾する也。」

これは耳目を治すには大本の脾胃から“冲和之気”が上昇する事が出来るようにするのが根本治療であるといっています。

「十二経の清陽之気は,皆頭面に上り空竅へ走る,飲食労役に因り,脾胃が受傷すれば,心火は太盛となり,百脈は沸騰して,邪が空竅を害する。」

脾胃が受傷すれば心火は太盛となるというのは、いわゆる“陰火升騰”のことである。

物が盗まれるという被害妄想はこの陰火のなせる業です。
これを治すには脾胃を治す以外に方法は無い。

益気聡明湯加減治療老年性痴呆
療法提供:上海市第八人民医院 洪慶祥
治療方法:

益気聡明湯:(黄耆10 党参・葛根・蔓荆子・白芍・黄柏4 升麻3 炙甘草2)35

随証加減:
腎陰虚明顕加女貞子、旱蓮草、枸杞子、玉竹;
腎陽虚明顕加補骨脂、仙霊脾、巴戟天、南燭葉;
瘀湿明顕加桃仁、紅花、陳皮、半夏;
心悸失眠加酸棗仁、合歓皮、煅竜歯;
肢体不遂偏瘫加地竜、白僵蚕、水蛭;
腑気不通便秘加生首烏、望江南、火麻仁。
‥‥‥

老年になれば先天の気が衰えていくのは避けられません。
昔は健忘症はあっても痴呆症などというものはありませんでした。
先天の気の衰えだけではこの問題は解けません。
痴呆症には後天の元気が大きく関わっていると予想されます。
益気聡明湯は中気不足・清陽不升・孔竅失養の証の治療に有効だというところからトライする価値があるのではないでしょうか。

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