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左金丸と胃炎(酸水を吐く)

左金丸《朱震亨・丹渓心法》は黄連、呉茱萸の二薬を組成とする。
原方では黄連と呉茱萸の比は6﹕1である。
黄連は苦寒で心に入り,清熱瀉火;これに対して反佐薬の呉茱萸は辛熱で肝に入り,温中降逆となり,黄連の寒を制する。
組方の立論は五行の相生理論によるものである。
実すれば則ち其の子を瀉す”で,肝火が旺ずれば其の子の心を清するの意である。
肝胃鬱熱の胃脘嘈雑,灼痛,呑酸,嘔吐,口苦等の症状の治療に用いられる。
沈舒文は臨証運用には二者の比を2﹕1としている。
黄連は5~6g,呉茱萸は3~4g,并せて常に制刺蝟皮15~20gを配して化瘀止痛,収渋制酸を図っている。
消化性潰瘍、慢性胃炎で泛酸(吐酸水)の甚しい者に対して良好な作用がある。
胃脘隠痛,灼熱,口干,飢えているのに食を欲しない者を,沈舒文は湿熱傷胃陰と考えて,常に滋胃湯(太子参、麦冬、石斛)を配している。

典型病例
呉某某,女,37歳,陝西省咸陽市秦都区渭濱鎮農民。
2008年11月15日初診。
患者は3年来 胃脘嘈雑,泛酸水,或いは灼熱痛,呃逆を反復しており,この1个月は反酸(吐酸水)がひどく,嘈雑して不適,胃脘は灼熱して隠痛し,それが空腹になるとハッキリし,飽脹があり,口干,口苦,飢えているのに食を欲せず,嗳気が出る。
舌紅にして苔黄と少津,脈は弦細数。
胃カメラ検査報告:胃潰瘍活動期。
中医辨証:肝胃鬱熱,胃陰受損。
治法:清泄鬱熱,養陰和胃。
処方:黄連・炙甘草6 呉茱萸4 刺蝟皮(ハリネズミの皮・化瘀止痛)20 太子参15 石斛12 白芍30 麦冬・蘇梗・佛手・焦梔子8g
12剤,水煎服,日1剤,早晩服。

2008年11月29日二診:
患者の胃脘灼熱、泛酸、口苦、嗳気は減軽し,納食は稍増加した。
しかしまだ夜間になると胃脘嘈雑があり、呃逆,口干を感じ,大便は稍干,舌淡紅で苔薄白,脈沈細。
証は胃陰不足、気血凝滞に転じた。
治法:養陰益気,理気化瘀。
処方:滋胃湯加減: 太子参・白芍・刺蝟皮20 石斛12 麦冬・蘇梗・佛手・姜黄・没薬10 炙甘草6g
20剤,水煎服。

前の10剤は毎日1剤だったが,后の10剤は隔日1剤とする。
(現代薬理研究では左金丸には抗潰瘍及び胃酸抑制、ピロリ菌殺滅作用があり,鎮痛、抗炎、降圧等の作用がある事を証明している。)

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