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口眼喎斜

第七策 口眼喎斜-『険証百問』から
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修亭
『壮年の者で、他に何の苦状もないのに、口と眼だけが比目魚(ひらめ)のようにヒン曲っている症を、男女とも折々見掛けます。
そんな患者を腹診すると、多くはシコリがありピクビク動悸していて上衝(のぼせ)を訴えます。
処でこの証の者は、別に手当しなくても自然に癒る場合もあり、かと思うと治療を施しても永年治らず死んでしまう人もあります。
よい治療法をお教え下さい。』
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(註 口眼喎斜とは、口や目が歪んで閉じることができなくなることをいい、面癱(めんたん)、口眼歪斜ともいう。
顔面神経麻痺をさす。
口喎(こうか)、僻(へき)などともいう。)
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南涯
この症状を起すのは胸中の病毒が原因になっている。
だから東洞は専ら小陥胸湯を与え、紫円を兼用していた。
幸いそれで全治する者も時にはあったようだ。
さて質問のように腹にシコリがあり、ピクビク動悸して上衝する者には、柴胡桂枝乾姜湯を主方にして消塊丸(註一)か消石大円(註二)を兼用して攻めるべきであろう。
凡そ癖塊があって、それが動悸しているときは、みな血塊と看做して差支えない。
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youjyodo :腹にシコリがある事と口眼喎斜は関係があるのか?
腹証にこだわり、すべて腹から治さなければならないとする流派なのか。)
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青洲
ピクビク動悸して上衝する証には、桂枝加苓朮附湯を与え、消毒丸(註三)を兼用する。
又瞑眩する者へは紫丸で下すとよい。
もし躰が少し麻痺するような者なら柴胡桂枝乾姜湯が宜いだろう。
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youjyodo :青洲も南涯と同じく腹から治そうとしている。)
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宗伯
この証を突然発する者は、大部分、頭蓋腔内の病毒がもとになっている。
麻黄附子細辛湯、千金の大三五七散(註五)の類で毒を発散させれば癒ってしまう。
この方は陽虚風寒入脳の六字が主意にて一夜の内に口眼喎斜を発し、他に患る処なく神思少しも変らぬ者に効あり。
医、大抵中風の一証として治風の薬を与うれども効なし。
これは一種の頭風たり。
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youjyodo :宗伯は初めて風寒の毒が脳に入ったためとし、腹証は問題にしていない。
中医学では:1.風邪外襲 2.肝風内動 3.肝気鬱結 4.気血両虚 5.風痰阻絡 のように弁証している。
最も多いのは5.風痰阻絡であろうか。
突然の麻痺性斜視による複視」で示したように 正容湯加味 などが挙げられるところ。)
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(一)消塊丸
大黄 芒硝各等分
(二)硝石大円
硝石六銭 大黄八銭 甘草 人参 当帰各二銭
(三)消毒丸
滑石 連尭 木通 黄苓 瞿麦分各3g 大黄 甘草 蝉退各1g
(五)大三五七散(千金)
頭風眩 口喎 目斜 耳聾を治す。
細辛 防風 乾姜 天雄 山茱萸 著蕷

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浅田流漢方とは

江戸から明治にかけて伝承されてきた日本漢方の総集が明治期の浅田宗伯において成されているのではないか。
いわゆる浅田流漢方とはどんなものだったのか?
これはかねてから知りたいと思っていた課題でした。
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心の病気を漢方で治せるか?

 -三木成夫著『ヒトのからだ』を読んで-
三木氏は“血がのぼる”“胸がおどる”などの“心の動き(感情)”は「心臓」などの臓器である植物性器官による働きであり、感覚や精神は動物性器官のひとつである「脳」による働きだといっています。
すなわち感情と精神を、植物性器官由来と動物性器官由来のものとして区別しています。
心臓がまだ動いている脳死では、精神はもう無いかもしれないけれど感情はまだ残っている。
だから脳死をもって身体の「死」とする訳にはいかないとも。
その伝でいえば認知症も記憶力は衰えていても感情はしっかり残っているから、ゆめゆめ軽んじてはいけないだろう。

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