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小兒肺炎と桂枝加厚朴杏子湯

初XX,男,3个月,
発熱して四日目,咳嗽,呼吸が早い,ひきつけが2度あった,1961年2月24日に某医院に入院。
検査:体温39.4℃,脈搏106回/分,発育及び営養は中等,右肺聴診で稍濁,両肺の呼吸音は粗糙,干ラ音及び小水泡音が,右肺で著しい。
腸鳴音がやや亢進している。
血化験:白血球数12,900/ml3,胸レントゲン:右肺の上下に片状陰影あり,肺紋理は模糊。
臨床診断:腺病毒(ウイルス)肺炎。
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病程と治療:患児は2月21日に突然発熱し,咳嗽,少量の痰あり,腹瀉を伴う,日に四、五回ほど,黄色い溏便,元気がない,母乳をあまり飲まない,二日后 咳嗽気喘が重くなった,続いて某門にて診治療,退熱消炎止咳等の西薬を用いたが効なし,2月24日突然ひきつけが2度起こった,3,4秒間持続する,間隔時間が短い,そこで某院へ入院した。
高熱で無汗,煩躁して泣く,時に驚惕不安等がある,先ずテラマイシンを次いでエリスロマイシン等をと西薬を用い,并せて大剤の麻杏石甘湯や銀翹散加味を服させ,冰嚢にて熱を取り除こうとしたが,症状は改善せず,すぐにエリスロマイシンを停止した。
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27日になって蒲老に会診を請う,その時の発熱は40℃,無汗,面色は青黄,咳と喘満あり,横隔膜が動き足が冷えている,口の周囲は色青ずみ,唇に色が無い,脈は浮滑,指紋は青く,気関(第二関節)の上まで透っている,舌質は淡,苔は灰白,胸腹が張って満。
此れは感受風寒に属する,始めに辛温薬にて疏解するのが宜しかったのに,反って辛凉苦寒薬を用いて,表鬱にしたので邪は深く陥入し,肺衛が不宣となってしまった。
治法は調和営衛によって,透邪出表させるため,苦温と辛温の合法とすべし。
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桂枝加厚朴杏子湯加味を用いる。
処方:桂枝五分 白芍六分 炙甘草五分 生姜二片 大棗二枚 厚朴五分 杏仁十粒 白僵蚕一銭 前胡五分 一剤。
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服薬后に微汗が出て,体温が漸く退き,元気が出てきた,喉間には水鶏のような音がからみ,腹満はまだあり,横隔膜の動きは少なくなった,母乳をよく飲むが,まだ便溏が一日五回ある,口の周囲の青色は少し退き,脈は滑だが微ではなく,指紋の青色も亦稍退いた,舌は淡で苔は穢白。
営衛が和したといえど,肺気はまだ閉じており,湿痰が阻滞している,宜しく温宣降逆化痰の治法を採るべし。
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射干麻黄湯加減を用いる。
処方:射干五分 麻黄五分 細辛三分 法半夏一銭 紫菀五分 五味子七粒 炙甘草五分 炒蘇子一銭 前胡五分 生姜二片 大棗二枚 一剤。
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服薬后に体温は36.4℃まで降り,元気が出て,全身の肌が潮潤となった,足はまだ温まらないが,腹満は減り,二便は元へ戻った,面色は青白く,右肺の水泡音もまだ多い,左肺は較べて少い,脈は沈滑,舌は淡で苔は退いた。
既に表邪は解けたが,肺胃はまだ和していない。
宜しく肺胃を調和し,益気化痰を治法とすべし。
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厚朴生姜半夏甘草人参湯加味を用いる。
処方:西洋参五分 川厚朴七分 法半夏一銭 炙甘草五分 生姜二片 橘紅五分 両剤。
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服薬后に僅かに微咳あるも,呼吸は正常となり,食欲は増進し,大便は日に一、二回で形を成す,小便多く,両肺の呼吸音は粗糙で,少し許り干ラ音がある,脈は沈細で滑,舌は正常で,無苔。
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二陳湯加白前、蘇子、枇杷葉、生姜を用い,肺胃を調え、痰湿を化して善后を図る。
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連服すること両剤にて,停薬して観察することにする,後は乳食にて調養する。
3月8日のレントゲン:右肺の片状陰影は吸収されて一部分のみ,臨床上では正常に恢復しており,退院となった。
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按:本例は早春に発し,まだ風寒犯肺の症であるのを,前医は春温と論治し,大剤の麻杏石甘湯合銀翹散及び冰嚢にて冷やしたので,熱は解けず,そのために寒邪が鬱閉し,営衛不通となった,蒲老は張仲景の“喘家には桂枝湯加厚朴杏子を作るのが佳い”というのに基ずいた,桂枝で解肌し営衛を和し,厚朴、杏子で寛中と利肺気,加白僵蚕、前胡にて祛風、肺閉を宣し,一剤にて微汗を得,熱が降りて喘も減った,
どうしてこれを風寒犯肺で春温に非ずと知ることが出来たのか?
蒲老は高熱無汗、咳して喘満だが、面青く足冷え、唇淡く舌淡、苔が灰白、脈が浮滑でも数ではない等の寒象を抓えて,これが風寒犯肺,営衛不和であると知った,若し是れが風温なら,必ずや高熱汗出、喘して煩躁し、面赤く唇紅、舌赤く苔黄、口渇して脈数等の熱象を現すはずである。

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