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脈痺2

脈痺を瘀より辨治する

病案1:患者李某,女,62歳,農民,于2002年12月24日来診。
同年7月に右下肢がいつも疼痛し,次第に重くなった。
昼軽く夜重い,時に痛みがひどくなる。
継いで右下肢に下から上へと次第に腫起が発現し,近来では膝関節以上へと腫れが発展した。
曽って地郷の県医院で治療を受けた事があるが,明らかな療効は見られなかった。
12月初めに某医院で検査を受け,血管造影で右下肢の多発性静脈血栓と診断された。
経済的に困難だったので,入院せず中医の診治を受けることにした。
いまは右下肢の疼痛が甚しく,日夜とも痛むが,夜間は更に劇しい。
右下肢の脚部から上へ向かって股中上部まで皆腫れ,按んずると凹陥し,膚色は余り変っていない。
右下肢は軟にして乏力,行走は困難である。
舌質は暗紅,辺に歯痕あり,脈は弦細渋。

診断は脈痺で,証は気虚血瘀,脈絡阻痺,水停為腫に属する。
治法は益気活血、化瘀利水の法とする。
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処方:補陽還五湯・活血効霊丹・当帰芍薬散の合方加減とする。
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(当帰・丹参・生黄芪・川牛膝8 制乳香・制没薬2 茯苓4 沢瀉・桃仁・紅花・水蛭・延胡索2.5 漢防己・地竜・焦神曲4)64.5 10剤,1日1剤,水煎分2次服。
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2003年1月3日復診:薬后に肢腫及び疼痛は均しく減軽した。
右膝以上は已に腫れておらず,膝以下がまだ腫れており,舌脈は前の如し。
原方のまま,1个月ほど服用を堅持させる。
3月初めに右腿の腫脹は已に消え,疼痛も明らかに減軽したが,夜間にはまだ時々痛みを感ずる。
そこで利水の茯苓・沢瀉・防己を減じ,鶏内金2.5gを加えて,継続して調治する。
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按: 瘀阻のため不通なるゆえ痛み,瘀阻のため津停となるので腫れる。
本例の患者は右下肢腫痛が主症状で,未だ其の他の臓腑病変の形象が見られない。
病変は肢体にあり,其の痛みには瘀血としての特徴があり,且つ舌暗脈渋の瘀象を伴う,故に脈痺し診治し,血瘀より辨析した。
《金匱要略・水気病》篇に提出あり“血が利せずば水となる”,《血証論・腫脹》に指出あり“瘀血が流注すれば,亦腫脹を発す”。
瘀が病の本であり,腫は継発である,故に活血化瘀を主とし,利水の品を佐とする。
“但だ瘀血を去れば,痰水は自ずから消える”,というわけで好い効果を収めることが出来た。
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病案2:患者張某,男,30歳,農民,1976年11月6日就診。
患者は幼きより山区にありて放牧に従事していた。
長期にわたり野外に居たためか,近年来次第に双小腿部が憋脹し,肢体が動かなくなった。
ひと月前から,陰冷潮湿な処に居たため,小腿部の脹痛が加重し,歩行にも骨が折れるようになり,遂に下山する事にしました。
両下肢の静脈がゴツゴツして湾曲しています。
飲食・二便は正常で,他には不適な症状はありません。
舌質は暗く,舌苔は白くて微膩,脈は弦です。
脈痺と診断されます。
過労による血行失暢で,瘀阻が下にたまり,加えて寒湿を外感して,血脈阻痺となったものである。
証は寒湿阻滞・血脈瘀痺に属する。
活血化瘀・温化寒湿の法が宜しい。
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身痛逐瘀湯加減
(当帰・川懐牛膝・蒼朮5 川芎・桃仁・紅花・香附・五霊脂・地竜・独活3 制没薬2 透骨草10)48 3剤,1日1剤,水煎分2次服。
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11月10日復診:薬后に小腿の脹痛が減軽するのを感じた。
又継服すること10剤で,脹痛は消失し,活動が自由になり,腿部に力がつき,小腿部の静脈湾曲も減軽した。
按: 此の患も亦病いは下肢の血脈にあるので,脈痺と論治した。
下肢の静脈曲張は臨床でも比較的多く見られ,薬物治療では根治できないが,症状の改善は可能である。
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病案3:患者祁某,女,21歳,学生,于2000年12月5日来診。
1月余り前から両手が常に冰冷で紫色になる。
某医院ではレイノー氏病と云われ,服薬治療しているがだんだん重くなっている。
今年入冬以来,両手指から腕のほうまで冷えてきて,指掌は紫色になり,指端には麻木感がある。
患者は素体虚弱だが,他には不適なところは無く,舌淡でやや紫,脈は細で無力。
脈痺と診断され,証は気血不足,陰寒凝滞,血脈痺阻に属する。
益気養血・温通化瘀の法が宜しい。
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当帰四逆湯加減
(当帰・黄芪・鶏血藤10 丹参・片姜黄・白僵蚕5 桂枝・白芍・川芎3 細辛・通草・炙甘草2 大棗4)64 6剤,1日1剤,水煎分2次服。
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12月12日復診:薬后に手指の冷感は減軽し,紫暗膚色は少し好転したが,舌脈は同じである。
原方を再服すること10剤。
2週間后には症状が消失し,両手の膚色は正常となり,手指も温かく,麻木感は消失した。
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按: 患者は素体が虚弱で,気虚血虧なので,補益気血を本治とし,温通化瘀を標治とし,補通結合して収効した。
《傷寒論》当帰四逆湯の治療には“手足厥冷して,脈細く絶えなんとする者”とあり,血虚寒凝の手足厥冷に適用される。
此れを基礎として益気化瘀の品を酌加して,薬証相合となった。
病が手指にあるので,上肢の気血へ行く片姜黄を加えた。
現代医学のレイノー氏病と肢端小動脈の痙攣とは関連があるので,白僵蚕を加用して通絡止痙を図り,療効を高めた。
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病案4:患者李某,女,18歳,2001年7月12日就診。
2000年7月から上肢乏力・麻木・発凉が出現し,頭暈・頭痛があり,物が霞んで見える。
2001年5月21日に某医院へ入院した。
双上肢には血圧を触れず,双肱・橈動脈の搏動も不明である。
左下肢の血圧は 160/100mmHg,右下肢 150/95mmHg,股、、足背の動脈搏動は良好である。
全身には未だ皮疹及び出血点は見られない。
色々検査の結果、大動脈炎と診断された。
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上肢無力感で,物を掴むことが出来ない。
胸部は憋悶し,時には燥熱感があり,常に頭暈がして,時々眼前が暗くなる。
物がぼんやりと見え,月経は四五十日から2月に一行しかなく,月経痛あり,飲食・二便は正常,面色なく,体は痩せ,舌質は偏紅,苔は薄黄,寸口の脈は微細で渋。
脈痺と診断され,証は気陰両虚,瘀熱阻脈に属する。
益気清熱・滋養陰血・活血通脈の法が宜しい。
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当帰補血湯合四妙勇安湯加味
(生黄芪・当帰・忍冬藤・丹参・鶏血藤・青風藤10 玄参7 赤芍・地竜・白僵蚕・片姜黄5 柴胡4 水蛭・生甘草2)95 1日1剤,水煎分2次服。
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7月24日復診:上方を10剤服用したが,好転はなく,症状は同じ。
思うに患者の病は1年を経ており,頑症には速効が求め難い。
そこで治療を堅持するため,用方を少し調整した。
原方から鶏血藤を去り,葛根7 鬱金5を加え,生黄芪を20とし,水蛭を3g として継服する。
上方を服用すること月余にして,自覚症状は減軽し,頭暈胸悶及び視力模糊が改善し,体力が増えた。
原方を長期服用とし,継続すること半年ばかり,症状の消失を感じて,已に一般労動に従事している。
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按: 本例は整体状況から,気陰両虚を本とし,瘀熱阻脈を標と辨じた。
方には当帰補血湯の補益気血と,四妙勇安湯の養血滋陰清熱に,其の他に活血化瘀の品を合わせて施治した。

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