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食道裂孔疝

楊某,女,71歳。
糖尿病を患って10余年,ずーっと趙氏の中薬調治によって,病情は穏定していた。
最近 胃脘部の疼痛のため,某医院でバリウム検査を受けて食道裂孔疝と診断された。
1991年9月初診,面色は蒼白で,形体は肥胖しており,上腹部に持続性の飽脹がある。
疼痛時に,口干するが飲みたくはない,脈象は沈軟,舌淡で苔白く潤っている。
脈証合参すれば,中陽不足・気虚下陥と辨じられ,益気補中・升陽挙陥法が治法となる。
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補中益気湯加減:
(生黄芪5 生地・熟地7 白朮・升麻・当帰・青皮・陳皮3 柴胡・党参・炒枳殻・防風2)42
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上方7剤の後,復診したところ胃脘脹痛は已に止み,バリウムX線検査では胃の内壁はつるつるしていて,陰影は見られず,拡張は良好だった。
食道裂孔疝は已に消失していると説明され,益気和胃法に転方して調理とした。
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[評析]食道裂孔疝は脹痛が主症状である。
患者には素もと糖尿病の疾患があり,面白形胖・短気・乏力があった。
これは気虚で中陽不足の象である。
脹痛を病むけれども,舌淡で脈は軟,全く邪気の兆候が無い。
まして胃壁が陥入して食道裂孔になった疝とは,気の虚陥に他ならない。(※横隔膜の下陥と見た)
《内経》に言わく“陥者は之を升げよ。”
故に益気補中・升陽挙陥の法を以って治療して痛みは止り疝は消えた。
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※食道と胃の接続部には横隔膜があり、食道はこの横隔膜を貫通して胃につながっています。
貫通している部分を食道裂孔といい、裂孔が大きくなって筋膜が緩み、胃の上部が横隔膜から飛び出して胸の方に入り込んだ状態が食道ヘルニアです。
生まれつき緩んでいることもありますが、多くは加齢や腹圧の上昇による筋肉の緩みが原因です。
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