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漢方薬の升降并用

升とは升薬を指す,即ち升浮作用を有する薬物であり;降とは降薬を指す,即ち沈降作用を有する薬物である。
丹渓は指摘している:“人身の諸病の多くはより生ずる。”:“百病の多くはを兼ねる。”
では鬱とは何ぞや?
曰く:“とは升るべきに升らず,降るべきに降らず,変化すべきに変化せず,此れが為に伝化(代謝)が失常して,六鬱の病となる。”
凡そ気鬱・湿鬱・痰鬱・血鬱・食鬱・火鬱など,諸鬱の病は違っても,其の本は升降の失常に他ならない。
鬱なれば病み,病めば則ち鬱である。
故に病を治すには鬱を兼治すべきであり,鬱を治すには升降を調えれば良い,升降を并用するのが治鬱の用薬の秘訣である。
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昔の賢人には升降の妙用例が多くある。
仲景の葛根芩連湯の主治は陽明の熱利であるが,君薬の葛根は升浮の作用にて火鬱を散じ,芩連の苦寒薬と合わさって陰を堅め利を止める,云わば升降并用の祖方である。
補中益気湯は升麻・柴胡を用いて陽気を大いに升げる。
若し陰火の上衝が強ければ,黄柏・知母を加えて苦寒瀉火させよと東垣は主張している,これも亦 升降并用である。
大便不通の治療に用いる通幽湯・済川煎には,通降の群薬の中に升麻を一味配入している。
是れは升を以って降の助けとするという,古人の組方の妙である。
要するに病が下に在れば応に升げることを知るへきであり,病が上に在れば須らく降すことを知らなければならない。
降さんと欲すれば必ず先ず升げよ。
升げんと欲すれば必ず先ず降せ。
純升純降にしてはならない。
升中に降有り,降中に升有り,升降并用して以って臓腑の常に復させるべきである。
臨床で常用する升薬は,凡そ味が薄くて体が軽く、辛散宣発の風薬は皆これに当たる,升麻・柴胡だけではない;
凡そ寒凉瀉火や滲泄下行の品は皆 降薬に属す,芒硝・大黄だけではない。
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