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冒眩と沢瀉湯

朱某某,男,50歳,湖北潜江県人。
頭目が冒眩し,終日昏昏沈沈として雲霧の中にある如し。
両眼はぼーっと開いているだけで,双手は顫え,筆を握って字を書く事も出来ない。
視ると舌は異常に肥大し,苔は白滑で根部が略膩を呈し,脈を切すると弦軟である。
心下に支飲ありて其の人は冒眩を苦しむ”の証と辨じられる。
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《金匱要略》“沢瀉湯”: 沢瀉24, 白朮12
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第一煎を服して,未だ何にも反応は見られず。
患者は家属に対して説わく:此の方薬は僅か両味しかない,吾は最初から効かない気がしていたが,やっぱりそうだ。
ところが第二煎を服した后,まだ飲み終わらぬ内に,全身と前胸と后背から濈濈と汗が出るのを感じた。
手で拭うと汗は黏っており,頭目が清爽となり,身体が軽くなるのが感じられた。
又服すること三剤,継いで微汗が少し許り出て,久困の疾は次第に愈えていった。
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【按語】“支飲”とは四飲の一つで, 水の象形の一つである。
木の技のように水が心下に隣接して結ぼれ散らないのでこの名がある。
冒眩”とは普通の頭目眩暈とは異なる。
冒とは頭に物を被ったようで,精神が清爽ならざるのを指す;
眩とは目がくらんで物がハッキリ見えないのを指す。(めまい ではない)
«内経»に云わく: “陽気が精なれば神を養い,柔なれば筋を養う。”
心下に支飲があれば,心陽は被われて頭を温める事が出来ず,頭目は冒眩となり,眼はただ開いているだけになる;
陽気が筋脈を充さないので両手は震える;
舌体が異常に肥大しているのは心脾気虚で,水飲の浸漬が上にあること,乃ち心下に支飲がある証拠である。
急ぎ上の水勢を滲出させ,中州の土気を守らなければならない。
故に沢瀉湯にて単刀直入に飲を去れば陽気は自ずから達する。
薬力は大きく、即効性である。
      『劉渡舟験案精選』より
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※冒眩と眩暈はかなり違う症状なのですね。

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