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瀉白散の応用

瀉白散には 盗汗,蕁麻疹,倒経鼻衄,月経先期,にきび,皮膚掻痒症,淋症,咳嗽,鼻衄 など多様な応用がある。

1. 肺結核,盗汗
楊某某,男,26歳,工人。1979年3月11日就診。
浸潤性肺結核を患い,盗汗長期にわたり愈えず,毎夜汗出でて枕褥を浸湿する。
長期にわたり汗出過多のため,津液を耗傷し,口燥咽干し,五心煩熱,身体は消痩,顴紅,舌質紅絳,脈細数。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮10 生甘草3 浮小麦15)38
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共服すること八剤にして,盗汗は止んだ。
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2. 蕁麻疹
王某某,女,49歳,職工。1977年7月14日就診。
蕁麻疹を患って六年余,時に発し時に止る。
患者は急躁心煩して,夜も眠れない。
1973年に省の医院で頑固性蕁麻疹と診断された。
一度は治療を受けて愈えていたが,半年后に引っ越して,室内が湿っていたからか,数月后に再発した。
掻痒忍び難く,掻くと増々ひどくなる,四肢が尤も重い。
温めると憎悪し,冷やすと稍減る,冬軽く夏重い,反復して2年以上になる。
1977年の夏には,皮疹は全身に及び,唇は厚く腫れ,疹塊に触れると灼熱感がある,舌質紅く,苔薄黄,脈浮数。
風熱挾湿と論治した。
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瀉白散加味(桑皮・地骨皮6 甘草・苦参2 蝉衣4)20
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継服すること12剤にして疹は消えた。
療効を鞏固にするため,前方を細末とし,毎次6g,一日二次,連服すること両月,その後は再発していない。

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以下は 运用泻白散的临床经验 より

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3. 倒経による鼻血
倒経は肝鬱化熱や,肺腎陰虚火旺或いは肺経鬱熱,衝脈の気が上擾する等のため起こる。
鼻衄は肺に蘊熱があり迫血妄行するか,胃熱が経の循行に従って上衝するか,肝鬱化火して迫血上擾するか或いは腎陰不足で虚火が内熾上衝して起こる。
《内経》に云わく:“諸逆衝上は,皆火に属する。”
《臨証指南医案》に称して:“衄の患は,総べて火による。”
二者は実と熱に属する者が多い。
二者の気逆血熱は共に同じ病機であり、治には清熱凉血,引血下行の法が宣しい。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・鬱金・丹皮・牛膝・藕節5 生苡仁10)40
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丹渓の所論では:“気降れば血は帰経する。”
桑白皮・地骨皮の二味は凉血の効と,気逆を降す効果を持ち,血熱は清となり,鼻衄と倒経は自ら平となる。
生苡仁は甘淡微寒で,肺脾腎経に入り,清熱滲湿,健脾利水をなす。
即ち上では肺熱を祛り,下では熱を瀉して小便より出す。
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4. 月経先期
月経が早まわるのは,熱・虚・瘀などが原因である。
なかでも熱の者が多い。
邪熱が血分を傷つけたり,肝鬱気滞・鬱久化火となったり,或いは陰虚内熱などの熱が衝脈・任脈を傷ると血熱が妄行して月経先期となる。
《傅青主女科》に云わく:“先期とは,火気の衝するなり。”
肺は一身の気を主る。
気は血の帥となり,血は気に随って行る。
だから熱気が衝任を傷り,迫血妄行して月経先期となる。
治には清熱凉血,引血帰経が宜しい。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・生地・桑葉・枇杷葉5 丹皮・知母4 白芍10 黄芩2)45
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地骨皮・生地・白芍・黄芩は《傅青主女科》の清経散である。
また地骨・生地・白芍には両地湯の意がある。
《婦科玉尺》の凉因丸は枇杷葉を君とし,婦人の発熱咳嗽,月事先期を治す。
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例:王某,女,19歳,農民。1996年3月20日初診。
15歳で初潮となった,この半年は経期が7-10日早くなり,量は中等,色紅く小血塊がある。
頭暈し,煩躁して怒り易く,眠りが浅く,胸乳が脹り,面赤く,口苦く,口唇が干燥し,舌は淡紅,苔薄黄,脈細弦。
此れは肝鬱化火で,熱が衝任脈を擾がせて迫血妄行したため月経先期となったものである。
疏肝解鬱,清熱凉血,引血帰経するに宜し。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・生地・枇杷葉・桑葉・黄芩・柴胡・鬱金3 白芍・夏枯草6)36
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経前に3剤を服薬することにして,3个月を経たころ,月経周期は転調してきた。
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5. 痤瘡(にきび)
痤瘡は肺風粉刺といい,《外剛啓云》に云く:“肺経に血熱があると,風を受けたり冷水で洗面したりすると,熱血が凝結して生成する。”
肺と大腸が表裏をなすため,大腸が熱盛だと,熱は肺に移り,久しくして毒便を生じて淤瘡となる。
だから肺胃の熱を清瀉しなければならない。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・蒼朮・枇杷葉・側柏葉・牡丹皮・地膚子・赤芍4 意苡仁10 黄岑・黄柏・苦参2)48
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6. 皮膚掻痒症
《外科証治全書》に称す:“痒風”とは肺衛が守りを失い,陰陽が失調すると,気機の運行は紊乱し,風動が肌膚に起こる。
肺経に熱があったり,また血虚・血熱・風熱を兼ねると,皮膚掻痒となる。
治には宣肺散熱,祛風止痒するが宜しい。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・赤芍・海桐皮・白蘚皮・白僵蚕・疾藜子・蒼耳子・地膚子4 牡丹皮3)39
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7. 淋症
“肺は水の上源なり” ,上焦で肺熱が壅盛となり,肺が宣降を失し,清気が升らないと
濁気は降らず,下焦で湿熱が蘊結し,気化が不利となり,尿頻,尿急,尿痛や滴瀝不尽・点滴不暢となる。
治には宣肺清熱,利尿通淋するが宜しい。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・魚腥草・杏仁・瓜呂皮3 意苡仁・冬瓜仁・蒲公英・車前草・金銭草6)45
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呉鞠通の言わく:”肺経が水道を通調すれば,膀胱へと下達し,脾痺は開き膀胱もまた開く。”
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8. 咳嗽
肺で清粛の令が失常すると咳となる。
邪気襲肺,肝火犯肺,痰濁壅肺 等は皆 肺の清粛下降の功能に影響し、咳となる。
治には宣肺散熱,化痰止咳するが宜しい。
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瀉白散加味(桑葉4 桑白皮・地骨皮・枇杷葉・前胡・杏仁・桔梗・款冬花・貝母・金蕎麦・兔耳風5 冬瓜仁10)64
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菊科植物の紅脈兔耳風の全草は別名を走馬丹、紫背金牛、紫背草、走馬胎、土兔耳風、血筋草、羅漢草という。
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李時珍は瀉白散を“瀉肺の諸方の規矩凖縄なり。”と称した。
冬瓜仁の甘微寒は肺・胃・大腸・小腸の四経に入り,上では肺熱蘊結を清し,下では大腸の積垢を導き,止咳化痰,除湿の作用を強める。
更に金蕎麦を加えて化痰止咳,開喉をし,兔耳風は止咳化痰,解毒燥湿をなす。
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9. 鼻衄
張某,女,47歳,農民。。
鼻衄を患って3年になる,2~3ケ月に一度であったり,1日1~2度の発病であったりする。
鼻衄が止らず,頭暈,頭脹,疲れやすく,煩躁して怒り易い,便干き,尿赤く,口干き口苦く,口鼻には灼熱感があり,肌膚も灼熱し,目赤く,唇紅く干燥し,舌質は偏紅,苔薄膩で微黄,脈は細弦でやや数。
此れは肝鬱化火で血熱気逆である。
清肝瀉火,凉血降逆を治とすべし。
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瀉白散加味(桑白皮・地骨皮・鬱金・丹皮・牛膝・梔子3 生苡仁・藕節4 蒲公英・夏枯草・代儲石・草決明6 白芍・白及8)66
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5剤にて,鼻衄は全く止った。

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