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肝咳

案七:李某,女,45歳。
咳嗽すること3年余,一日の咳嗽は3~7回,毎回約3分間,無痰,咳をする時に両脇と少腹が引き攣るように痛む,劇しいと嘔吐し,鼻衄が出て,小兒の百日咳に似るが,雑治しても効なし。
尋ねたところでは飲食は一般であり,大便は干秘し,二三日に一回,眩暈と腰困があり,口苦して冷飲を欲しがる。
舌質は淡紅で無苔,脈象は沈弦。
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其の脈症を観れば,肝咳と知れる,肝火犯肺により,木反侮金して来る,四逆散加減を擬す:
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(白芍・桑白皮・地骨皮・瓜蒌・蘇子・烏梅5 柴胡3 甘草2 青黛1)36 三剤
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二診:咳嗽の回数が減少して,程度も減軽した,脈は沈弦で,左尺が弱い。
脈弦は肝旺を主り,尺弱は腎虚を示す。
木反侮金とは,乃ち水不涵木也。
当に補腎養肝,滋水涵木すべし。
若し津液が上承すれば,肺気は自ら清粛下降する。
咳を治さずして咳は自ら止む也。
六味地黄湯加減:
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(生地8 白芍5 蘇子・山薬4 烏梅・茯苓・甘草・丹皮3)33 五剤
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三診:咳は大いに減り,日に僅か一回,時には仍お嘔吐する。
最近 たまたま右の耳門穴に触れたら,すぐに咳嗽を発した,視ても紅くも無く腫れてもいないが,撫でたり按じたりは出来ない。
風熱内鬱に似ている,故に一触即発する。
宣肺散熱の麻杏甘石湯を擬して試す:
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(麻黄・杏仁・桑葉・蝉衣・桔梗・芦根3 石膏10 甘草1)29 二剤
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四診:僅か一剤で,咳嗽は減るどころか反って増し,一日に六七回に達した,用薬に誤りがあったので,復び滋腎柔肝法を擬す:
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(沙参・麦冬・烏梅・白芍・柴胡・蘇子5 黄芩・甘草3 羚羊粉1(冲))37 三剤
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五診:咳嗽は復た減り,守方して三剤を続服する。
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按:《素問·咳論》に云く:“肝咳の状は,咳をすると両脇下が痛み,甚しければ転側できず,転ずれば両脇下満となる”,“肝咳が已まなければ,胆が之を受けて,胆咳の状となり,咳して胆汁を嘔く。”
本案は肝咳に属す,初めに清肝の剤を擬して已に効を見た,后は肝腎同源の理により,滋腎柔肝を以って,症状は緩減を得た,是は本病の治則として有効である。
中途で耳門穴に触れて咳が出るという症に惑い,新しい処方を使った。
宣散を誤用したところ,咳嗽は増劇した,実に肝咳を治す教訓となった。
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《素問·臓気法時論》に“肝は急を苦しむ,急ぎ甘を食して以って之を緩めよ”、“肺は収を欲す,急ぎ酸を食して以って之を収めよ”の論があるが,此れを経験して失敗した,得たものは深い。
耳門穴に触れると直ぐに咳が出たのは(愈えて后に触れると仍お咳をした),何が原因だったか,まだ分からない。
        臨証実験録 案七:肝咳 より
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※咳き込むと脇腹に響いて痛むというタイプの咳嗽があり、それを“肝咳”といいます。
病機は「肝火犯肺」で、以前にも二度取り上げましたが、瀉白散がらみを更に追加です。
肝火犯肺(1)

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