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パーキンソン病

陳某某, 男, 75歳。 1995年10月18日初診。
1994年1月発病, 全身が震顫して止まらない。
某医院の診断は“帕金森病”(パーキンソン病)だった。
西洋薬を服用したが症状の好転は無く、特に頼んで劉老の診治を請うた。
症状は全身の顫抖で,上肢が尤も重く,手指の節にも律性震顫があり,まるで“丸薬を丸めているよう”です。
肌肉は強直し,顔は無表情で,双目は直視したまま,口角から流涎し,歩履は困難である。
頭痛を伴い,口干して渇き,大便は秘結して,一周に一行しかない,小便の色は濃茶の如く,口噤して歯ぎしりし,言語は賽渋である。
舌は紅く,苔は黄膩で燥き,脈は滑大である。
証は三焦火盛による動風である。
津液を煎灼して痰を成し,痰火が経絡を阻塞したので陽気は風と化し顫動を生じている。
治には清熱瀉火,平肝熄風,化痰通絡が宜しい。
黄連解毒湯合羚羊鈞藤湯加減を用いる。
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(羚羊角粉0.6(分冲) 黄連・黄芩・黄柏・梔子・竜胆草・菊花・桑葉・菖蒲・佩蘭3 竹茹7 鈞藤5 天竺黄・半夏4)47.6
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服薬すること十四剤の后,両手の震顫は減軽し,行走は前に較べて有力となり,口渇は止り,小便の色は淡に変ったが,まだ大便は秘結したままで,頭痛と眩暈,言賽不利,多痰少寐,舌苔は白膩挾黄,脈は滑数である。
以上の脈証に対して、上方加大黄1gとし,并せて“局方至宝丹”3丸を加服させ,毎晩睡前にも1丸を服させる。
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 ※ 至宝丹(朱砂・麝香・安息香・犀角・牛黄・氷片・琥珀・雄黄・玳冒・金箔・銀箔)‥‥‥痰火内閉に用いる。
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服薬すること月余にして,頭暈少寐多痰は大いに減軽し,語言は明らかに好転したが,まだ腹満便秘は変わらず,歯ぎしりし,小便は短赤で,四肢及び口唇は顫抖する。
舌紅く苔は黄干,脈は滑数である。
治には通腑瀉熱,凉肝熄風の法を用い,調胃承気合羚羊鈎藤湯加減とする。
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(羚羊角粉0.6(分冲) 大黄・芒硝1(后下) 炙甘草2 鈞藤・白芍7 木瓜3 麦冬10)31.6
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上方を服すること七剤で,大便は通暢し,糞便は串珠状の如し。
腹満は頓に除かれ,歯ぎしりは大いに減り,小便は暢利し,四肢の顫抖は軽微である。
効があったので前方を更えず,そのまま“黄連解毒湯”合“羚羊鈞藤湯”加減を用いた。
治療すること三个月,肢体の震顫は消除され,自分で行走が出来,手指の屈伸も思うままに,握拳に力がある,言語は流暢になり,顔の表情も自然で,二便も正常となった。
惟だ時々頭暈があり,歯ぎしりをするので,芩連温胆湯加減を継続して病は愈えた。
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【按語】帕金森病は又震顫性麻痺と称し,中枢神経系統の疾病に属し,中・老年人に好発する。
臨床では肢体震顫,肌肉の僵直と運動障碍を特徴とする。
劉老は本病の核心は心肝にあり,其の病因の多くは火熱動風生痰であると考えている。
«素問.至真要大論»に説く: “諸風掉眩は,皆肝に属し,諸暴強直は,皆風に属す”。
肝熱動風となれば,津液は痰と成り,痰熱は肝風を随えて筋脈に竄入し,津液を灼傷すれば,肢体は震顫を発する。
所見の口干・便秘・小便短赤・歯ぎしり・言語不利・舌紅・苔黄膩・脈滑大の諸症は,皆 心肝熱盛,風動灼痰の変である。
故に治療では初めに清心瀉火,熄風化痰を法とした。
黄連解毒湯は能く三焦の火を瀉するし,配した羚羊鈎藤湯は能く凉肝熄風化痰となり,屡 奇功を建てることがある。
          『劉渡舟験案精選』より
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     「パーキンソン病と漢方

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