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壮火食気とは

1980年のこと、一人の農業青年を診察しました。
彼が言うには、一月前寒けがして高熱を発しました。
三日後に熱は退いたけれど心中の煩熱が解消しないと言うことです。
全身はだるくて寝ついたまま起き上がれません。
それなのに異常なほど空腹感を覚え、口渇して水を飲むけれどその割に小便は出ず、便秘しており、舌質は紅く、舌苔は黄干、脈は沈で力がある。
これは外邪が裏に入り熱化し、元気を消耗したのであろう。
即ち内経でいう“壮火食気”である。
私は通府瀉熱・急下存陰の法をとろうと思い、調胃承気湯加減与えました。
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 大黄・芒硝・生甘草・生梔子・柴胡 二剤
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三日後に患者は喜んで報告しにきました。
一剤を飲むごとに3~4回下痢し、下る毎に煩熱が軽減するのが分かりました。
口渇と飢餓感も亦すっかり好転しました。
そこで上方から芒硝を減らして更に2剤を飲んだ所で快癒を告げました。
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学生が「この病気は変わっている、どうしてですか?」と問うので、私は次の様に説明しました。
《内経》の中に“少火は気を生ず”“壮火は気を食う”という一語があり、少火というのは平穏な時の造化生機の火であり、壮火とは陽亢有害の火である。
そして壮火は六淫の邪や五志のたかぶり、或いは臓腑の陰陽失調から起こる。
壮火が既に陰液を傷つけたり、又は元気を消耗したり、人の生気を奪うことを“壮火食気”と言う。
この患者は初めは寒邪を外感したのだが、後に寒邪が裏に入り化熱して、壮火となったのです。
壮火が盛んだと元気が食われるので全身疲乏して立てなくなるのです。
壮火は穀物を消化し陰液を傷つけるので、やたらと飲み食いするのです。
調胃承気湯+山梔子 は苦寒清熱・鹹寒泄火・導熱下行します。
また柴胡を少し加えたのは鬱熱を発散するためです。
壮火が一度除かれれば元気が回復しますから、力もつき食欲も減ります。
これが“邪が去れば正は安んずる”という事です。
なお若し亢盛となった火を清泄せず、補益の剤を誤用したら益々邪火は燃え上がり、病気は重くなるでしょう。
このように《内経》の説く所は真に金言であります。
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     「黄河医話」 張裕晨 より
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※ 昔あったパソコン通信「NIFTY-Serve」の杏村(あんずむら)漢方 なんでも相談室に以下の記事が残っています。
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体内にある火は色々なものがあり、また色々な分類方法があります。
「壮火」という概念は「少火」と対応しています。
 少火 体内の健康を保つために必要な火 正気の一種
    穏やかな火なので少火という。
 壮火 体内の健康を害するような火。 邪気の一種
    例えば炎症 熱射病 高熱 
    また微熱であっても結核など長期間続く熱
    激しい火なので壮火という。
少火は臓腑の働きを助けます。
特に胃腸の働きをたすけ食べたものの消化吸収に必要な火です。
このため「少火生気」といいます。
これに対して壮火は人体に害になるだけでなく気を消耗します。
例えば風邪で高熱が出ている時などはそれだけで体力を消耗しています。
この事を「壮火食気」といいます。
この場合の食は消耗させるという意味です。

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