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半身不随

姜某,男,66歳。
左半身が偏廃して,左手が拘急して伸び難く,活動不能,血圧 200/l20 mmHg,頭目眩暈あり,心煩して,不寐,性情は急躁して怒り易い,大便は秘結し,小便は黄色い。
舌体が左に向って歪斜し,舌質は紅絳で少津,舌苔は黄干,脈は滑数。
此れは火動傷陰・兼有動風の証である。
治は当に瀉火清熱・熄風活血すべし。
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疏方: 大黄5,黄芩・黄連10
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服薬すること五剤,大便は暢通し,頭目は清爽となり,心中の煩乱も頓に消え,血圧は 170/100 mmHgに降った。
復診した時,家人の扶けが無くても,腿脚は動いた。
然し左手の攣急が未だ解けず,転方して芍薬甘草湯に,羚羊角粉1.8g(冲服)を加えて瘥えた。
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【按語】
本案は火動傷陰により,血が柔肝せず,動風傷筋となった証である。
«素問・生気通天論»に“陽強ければ密ならず,陰気は乃ち絶す”の説がある。
本証では大便秘結し,小便が黄色く,舌苔は黄,脈が滑数であり,これは陽熱内盛を映している;
心煩して不寐なるは陰気が内虚で,水火不済の象である。
陰が陽より勝たなければ,陽亢化風となり,血圧は升高し,頭目は眩暈する。
火淫血脈となり,血は火により煎耗し,内風を煽動し,手攣舌歪,半身不遂となる。
«素問・至真要大論»に説く:“諸熱瞀瘛(視物模糊昏花,指手指筋脈拘急抽搐),皆火に属す”
本証の半身不遂は、形は中風に似ているが,其の実は “火中”の証であり,若し誤って燥薬を用いて駆風すれば,千里も戻ることになる。
劉老は瀉火清熱,釜底抽薪(竈から薪を抜き火力を鎮める)の法を採用し,«金匱»三黄瀉心湯の苦寒剤を選用した。
黄連は心火を瀉し,黄岑は肺火を瀉すものである。
妙は大黄の一味に在り,既に能く胃中の火熱を通降させているのに,加えて活血逐瘀,推陳致新にもなる。
若し本証で大便不燥で小便が赤渋不利ならば,黄連解毒湯に改めれば好い。
この臨床例は,西医学では高脂血症・脳血栓・脳栓塞・脳出血 等の病であり,どれも肢体偏廃,手足不仁,甚しければ突然昏倒,不省人事にするものである。
劉老の経験に拠れば,多くは“火中”の範囲であり,治は当に通瀉火熱を主とし,三黄瀉心湯か或いは黄連解毒湯を用いるのが妥当で,如し温燥祛風の品を濫用すれば,火に油を澆ぐ如きもので治療を加えれば加えるほど重くなるだろう。
          『劉渡舟験案精選』より
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 ※中風に三黄瀉心湯の適応もあるのを忘れないで!

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