« February 2013 | Main | April 2013 »

家を建てます

私儀、74歳にしてやっと「家を建てる」事になりました。
何年使えるか分かりませんが残りの人生を過ごす“終の棲家”になります。
.
私は現在のところ漢方薬局をやっていますが、漢方だけでは食べていけないので調剤薬局を兼ねて病院からの処方箋も受け付けています。
しかし心の中はいつも不満で、調剤薬局を止めたいと思っていました。
何故なら四六時中いつも漢方の事だけを考えていたいし、化学薬品の調剤には何の興味も涌かないからです。
だから今度、家が完成したら純粋に漢方だけしかやらない店にしようと考えています。
そう決心してからは何だかふっ切れて、すがすがしい気持ちになりました。
薬品の在庫管理も、問屋との契約も、病院からのファックスからも開放されます。
会費の高い県薬剤師会から退会できます。
レセプトのオンライン請求の契約も不要になります。
レセプトのソフトも要らないし、フリーコールの電話も解約できます。
ファックスも要りません。
学校薬剤師の仕事もしなくて良くなります。
面倒なこととはおさらばです。
これで残りの人生を漢方一筋に送ることが出来るでしょう。
.
以前から顧客の殆どは地元の人ではなく、ネットや遠方の人になっています。
この仕事は「灯台下暗し」で、宿命的に地元では無名の存在に甘んじなければなりません。
開局してから44年になりますが、暇があったお陰で貴重なデーターを相当量収集することが出来ました。
残念なことに後継者がいないのでせっせとネットに公表していますが、なかなか十分には果たせていません。
この後は全国のみなさんから相談メールが来て、この老骨を使ってくださる事を願うばかりです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

風疹

風疹(三日はしか)を中医学では「風痧」といい、経過に従って次のように認識しています。
.
1.邪犯肺衛
証候:発熱悪風,噴嚏(くしゃみ)流涕,軽微な咳嗽を伴い,精神は倦怠し,胃納(食欲)は減り,疹色は浅紅にして,先ず頭面、躯干より起り,次いで四肢へと及び,平均して分布するが,まばらで細小である,2—3日で消退し,掻痒感あり,耳の後ろ及び枕があたる部位に淋巴腫が現れる,舌質は偏紅で,苔は薄白か或いは薄黄,脈は浮数である。
.
分析:風熱の時邪が,肺衛に鬱している。
疾病の初起は,外感の風熱時邪が,肺衛を犯すと,肺の宣発作用が失われ,肺衛表証を現す,すなわち発熱悪風,噴嚏流涕,咳嗽などである;
衛気が乱れると,気機は舒びず,脾は健運を失し,胃は受納を失う,故に精神は倦怠となる;
邪熱と気血が相い搏つと,肌膚へと外泄する,故に皮膚では紅疹となる;
邪が疹に随って透泄すれば,病情は軽く,疹点は稀疏細小で,平均に分布し,2-3日で消退する;
風が肌腠を犯す,故に皮疹は掻痒を感ずる;
邪熱と気血が搏結し,足の少陽胆経に鬱する,故に耳后、枕部等の処の淋巴結腫大となる;
舌質が偏紅で、苔が薄白いのは,風熱の証である。
.
治法:疏風解表,清熱透疹。
.
方薬:銀翹散加減。
.
常用薬:金銀花、連翹、竹葉は清熱解表。
牛蒡子は疏風清熱,桔梗、甘草と配伍すれば咽喉を清利し,宣肺止咳となる。
荊芥、薄荷、豆豉は発汗解表,透疹祛邪,邪熱を肌表から透泄させる。
耳后と枕部で淋巴結が腫大疼痛すれば,蒲公英、夏枯草、玄参を加えて清熱解毒散結する;
咽喉が腫痛すれば,白僵蚕、木蝴蝶、板藍根を加えて清熱解毒利咽する;
皮膚掻痒すれば,蝉蛻、白僵蚕を加えて祛風止痒する。
.
2.気営両燔
証候:壮熱あり口渇し,煩躁して哭き,疹色が鮮紅か紫暗で,疹点が密か,或いは融合して片を成し,小便が黄少,大便が秘結し,舌質が紅,苔が黄糙,脈は洪数である。
.
分析:邪熱が熾盛なのは,気営両燔だからである。
邪熱の毒の重いのを感受すると,邪熱は裏に入り,肺胃を燔灼し,営血に影響する,肌膚に透泄すると,重症の風痧を発する。
邪熱が内伝すると,気分熱が盛んとなる,故に壮熱、口渇する;
気分が燔灼して,営血が内擾すれば,心神は不寧となる,故に煩躁して哭くことになる;
気営両燔となれば,血熱が盛んで,肌膚へと透発する,故に疹色は鮮紅か紫暗となる,疹色が紫暗で分布が密集しているのは熱傷営血,陰血虧虚,で病情が重い;
邪熱内盛となれば,津液を耗傷する,故に小便は黄少,大便は秘結する;
舌紅で苔が黄糙,脈が洪数となれば,気分熱盛の徴候である。
.
治法:清熱解毒,凉営透疹。
.
方薬:透疹凉解湯加減。
.
常用薬:桑葉、薄荷、牛蒡子、蝉蛻は疏風清熱、透疹達邪に当たり,連翹、黄芩、紫花地丁は清熱解毒にて清気泄熱を期す,赤芍、紅花は凉営活血して透熱転気,祛邪外出に当たる。
口渇が甚しければ,天花粉、鮮芦根を加えて清熱生津を;
大便干結すれば,大黄、芒硝を加えて瀉火通腑する;
疹色が紫暗で密なら 生地、丹皮、紫草を加えて清熱凉血,養陰止血とする。
.
‥‥‥
邪鬱肺衛
銀翹散(呉鞠通《温病条辨》)加減(金銀花・連翹・牛蒡子・淡竹葉・桑葉・菊花・生地黄3 蝉蛻・桔梗・甘草・薄荷(后下)2)29
.
邪毒熾盛
銀花解毒湯(高秉鈞《瘍科心得集》)加減
(金銀花・連翹・紫花地丁・赤芍・牡丹皮3 生石膏8 水牛角7(先煎),黄連・甘草2)34
.
風疹方(金銀花・玄参5 紫草3 生石膏10 蝉蛻・薄荷2)27
.
疏表散(淡豆豉8 山川柳・荊芥穂・山梔皮・大青葉・葛根3 板藍根・金銀花・連翹・貝母・白茅根・天花粉・元参・陳皮・黄芩・赤芍6 桑葉・蝉衣4 羚羊角粉0.5)91.5
.
※風疹ワクチンで予防するだけでなく、罹ってしまった時の準備に知っておいて損はありません。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

鼻づまりの治療

鼻塞は肺内の薀熱と風邪の外感から起こる。
一年中続く鼻塞は反復して外感にかかり、邪気が内側に侵入して遂に肺気不宣となり、宿病となったものである。
治療には先ず散風解表に清熱を兼ねて銀翹散加減を使う。
表邪が解したら宣肺通竅法に変え、細辛を主薬とした蒼耳子散加減を用いる。
細辛は初めは5gから始め、だんだん増加して10gまで用いる。
細辛については根拠のない言い伝えがあります。
「細辛は一銭(3.75g)以上を使ってはならない」
その為にか近代の教科書や雑誌には細辛を一銭以上使った例は殆どありません。
しかし、『普済方』『金匱要略』『傷寒論』など前人の医籍に逆上ると細辛の用量には何ら制限がありません。
場合によっては一両以上も使われています。
細辛は温性の陽薬で寒気を駆逐し、上下の風邪を疎散し、全身至らざる所なく、上って沈まず、気は清で濁らず、能く降濁升清する。
だから鼻塞症に細辛と適当な佐使薬を使えば十分に君薬たり得る。
.
63歳の男子、鼻が通らず、流涕・噴嚏の為に尋ねてきた。
2年来の鼻塞、いつも感冒にかかっているようで不快である。
いろいろ検査して慢性鼻炎と言われ、治療したが効果がなかった。
話をする時の鼻声がひどく、流涕・噴嚏の他はこれといった異常がない。
脈は浮数無力、舌質紅、苔薄白。
これは内に薀熱があり、加えて老年のため陽虚になり、いつも時邪を感受しているので肺気不宣となっているものである。
辛凉解表・宣肺通竅法をとることにする。
.
 橘紅・薄荷・桔梗・当帰・半夏・桑葉・芦根・甘草・杏仁・連翹・牡丹皮・金銀花
.
2剤で患者の流涕・噴嚏はずっと良くなったが、鼻塞だけは改善しなかった。
原方から 橘紅・半夏・桑葉・芦根・連翹・牡丹皮・金銀花 を去り、別に 防風・荊芥・紫蘇葉・白止・細辛・辛夷・蒼耳子・菊花・紫苑・前胡・桑白皮 を加えた。
.
 (薄荷・桔梗・当帰・甘草・杏仁・防風・荊芥・紫蘇葉・白止・細辛・辛夷・蒼耳子・菊花・紫苑・前胡・桑白皮)
.
3剤を飲んだ頃から鼻塞も次第に取れて来た。
細辛の分量は7剤目で10gにした。
更に13剤まで服用してすっかり治って廃薬した。
      「北方医話」 陳瑞英 より
.
※細辛は小青竜湯にも含まれていますが、小青竜湯と本方では殆ど共通点はありません。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« February 2013 | Main | April 2013 »