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杏蘇散加減による咽痒咳嗽の治療

かかりがけの風邪に六味湯加味」の記事では六味湯加味(桑葉・白芍5 荊芥・防風・桔梗・蝉衣・白僵蚕・杏仁・前胡・百部・牛蒡子3 甘草2)39 が風邪の初期に良いと紹介しました。

今回はもう一つの視点として「涼燥」を取り上げてみました。
杏蘇散もまた六味湯加味に劣らず出番の多い処方ではないかと思います。
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咳嗽の多くは風邪上壅,陰虚肺燥,痰凝咽喉による。
風邪の基本が愈えた后も,咽痒咳嗽だけがいつまで経っても愈えない事がある。
杏蘇散は温にしても不燥,潤にしても不凉,故にこれを加減して本証を治す事が出来る。
杏蘇散の補肺利咽祛痰止咳作用を利用して,咽痒久咳,咳痰不爽の症を治療したので報告する。
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1 診断要点
患者の大部分は感冒咳嗽にて,感冒が基本的に愈えた后や,感冒をいつまでも放置しておいたりして,咳嗽が止らなくなり,咽部はいがらっぽく,痒くて咳と痰が出る,舌色は淡で苔は白か白膩,脈は数である。
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2 治療方法
杏蘇散(杏仁・枳殻・茯苓・紫蘇葉・桔梗・大棗4 前胡・半夏・陳皮3 甘草2 生姜1)36
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痰が多ければ+海浮石,貝母とし祛痰する,
胸痛が甚しければ+絲瓜絡とし寛胸する,
咽干が重ければ+玄参、麦冬とし滋陰する,
咽痒が重ければ+鈎藤とし咽痒を治す。
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3 典型病例
典型病例1 王麗,女,26歳,于2007年4月15日就診,
患者は感冒にかかり発熱と咳嗽のため,他院にて5日間治療して,今は熱が退いている。
但し今なお咳嗽があり,痰色は白い。
痰涎が喉間に粘着し,鼻塞を伴い,時に清涕を流し,頭が少しふらつき,胸悶あり,舌尖は紅,苔は薄黄,脈は数である。
杏蘇散を三剤服用したら,痰が出易くなった,更に2剤を追加して,咳は止り胸が楽になり,咳嗽は基本的に痊愈した。
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典型病例2 許飛,男,17歳,2007年5月11日診。
1月前に感冒にかかり,治療を経た后も咳嗽だけが遺り,且つ次第に重くなってきた。
診見:咳嗽が頻繁で,痰は少ない,咽が干き痒い。
舌は淡紅、苔は薄黄で干,脈は浮で稍数である。
風壅痰凝,肺燥陰虚の証である。
治療は祛風潤肺,下気化痰とし,上方に+麦冬、沙参4,射干、蝉蛻3 を用いた。
服薬3剤にて,咳嗽諸症は軽減した,更に3剤を追加して愈えた。
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典型病例3 李強,男,26歳。2007年7月25日診。
患者は発熱してから2日になる。
悪寒と頭痛があって無汗,鼻塞がり濁涕を流し,咳嗽あり,痰は稀く色は白い,口は渇かず,食欲減少,睡眠が少なく,小便は正常,大便は溏薄,体温38.5℃,咽が充血し,体は痩せ,苔は薄白く,脈は浮弦である。
本証は凉燥の外襲で,肺が宣降を失したのである。
治は辛温宣肺、化痰止咳とする。
本方3剤を服した后,熱は退き,咳嗽も稍減り,大便は正常となった。
原方を更に3剤服用し,漸く痊愈した。
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4 討論
此の症の多くは外感の余邪が留恋し,肺気が受損し,肺が宣粛を失い,肺気が上逆して,咳嗽だけが残り,咳をすると胸に響き痛んだのである;
其の病位は咽部にある;
病邪は風邪であり,“風が盛んなれば痒くなる”というのと符合し,咳嗽して稀痰を吐く者を,古人は燥から小寒になると謂った;
肺に燥気が搏つと,水道は通調出来ず,寒飲が停りて咳となる。
鼻が塞るのは,鼻が肺の竅だからである;
嗌塞(咽阻塞)するのは,嗌が肺系だからである。
杏蘇散は《温病条辨》に出ている。
肺は呼吸を主り,皮毛を主り,外界と相い通じており,気温の変化が大きい時に外邪が侵襲し,先ず肺を傷つける。
故に治療時には軽宣潤燥、化痰止咳を重視しなければならない。
        杏蘇散加減治療咽痒咳嗽 より

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