« June 2013 | Main | August 2013 »

昇陥湯、補中益気湯を使うときの注意

李可老中医は「黄芪を用いる時には“提脱”の危険に気を付けなければならない。」と云っている。
これは“提脱下元”の意味であるが、初めてお目にかかる言葉です。
『名中医李可Dr.の急病重病難病臨床事例と理論』の中にも「下虚の者に補中によって昇陥を行うには提脱を防ぐべしと古くから言われてきた。」とある。
文章の前後の意味から推察すると「昇陥湯や補中益気湯などで気を昇提させるには先ず腎気が保証されていなければならない」という前提があることを断っているようだ。
もし腎気という根が無いのに昇陥湯や補中益気湯などで気を昇提させると“提脱”が起きる。
提脱が起こるとどうなるのか?
腎気浮動、奔豚症が現れると李可Dr.は云っている。
.

Continue reading "昇陥湯、補中益気湯を使うときの注意"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

手足口病

手足口病が我が国でも広がってきたようです。
中国ではかなり前から騒がれていますが、先輩の中国ではどのように対処しているのでしょうか?
.

Continue reading "手足口病"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

中医火神派の李可先生の著作

『名中医李可Dr.の急病重病難病臨床事例と理論』(日本語版)
 李可著/米彦軍訳/山西科学技術出版社

Img054

.
久々にズシンと胸に響く書物に出会いました。
どの一ページもゆるがせにしない真摯な学究者の著作です。
是非、電子化して手元に残して繰り返し読みたいと思っています。
.
著者は中医火神派の李可先生です。
日本語の翻訳は中国人で、少し違和感のあるところもありますが逆にまたよく訳してあるなと思われるところもあります。
「原書中国語版は2002年6月出版以降、現在までに31刷計15万冊を売り上げた。」との解説もありますが、まことにさもあらんと賛辞を捧げたいものです。
.
中医火神派は清代の鄭寿全が提唱した理論で、「扶陽学説」と呼ばれる中医理論を中心にしています。
李可先生ほど忠実に臨床でそれを実行して成果を挙げた人は居ないでしょう。
何といってもその治療数、治癒数の多さにはびっくりします。
.
火神派のうわさはかねてから読み知ってはいましたが、何でもかんでも附子で治すような印象だったので敬遠していました。
しかしそうではなくて、附子が必要な場合がいかに多いかに気付かせてくれる一面もあります。
その巧みな使用法を知らずに先入観を持っていたことは反省です。
また何でもかんでもを扶陽でひとからげにするのではなく、清熱すべきものは清熱するし、解毒すべきものは解毒しています。
むしろ徹底的で、果断無き激しさです。
.
例えばひとつ紹介しますと、p194の「高齢者の高位腸閉塞」の治験です。
腹が太鼓のように膨らんで、排便が無くて反吐を繰り返す重症者を『医学衷中参西録』の硝服通結湯(生大根5kと芒硝240g)及び代赭石などで治療し成果を挙げた例などは高度医療に目が眩んでいる現代人は鉄槌を喰らわされたようなショックを感じるでしょう。
是非ともお勧めの一書です。

Continue reading "中医火神派の李可先生の著作"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

慢性腎炎に使う三処方

88歳の婦人が最近足の甲が腫れて気持ちが悪いと相談してきた。
勿論高齢ゆえ足腰は弱くなっている。
冷えとか下痢などは無いほうなので腎陰虚の体質と考えて六味丸をと思ったが、もっと根拠のあるものを探してみることにしました。
結局、名医馬驥採用系列復方進行治療 を参考にして 六五地黄湯 を試してもらうことにしました。
.

Continue reading "慢性腎炎に使う三処方"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

猪苓湯で咳や不眠が治せるか?

『傷寒論』に次の一文があります。
 319少陰病,下利六七日,咳而嘔渇,心煩不得眠者,猪苓湯主之。
.
これを根拠にして不眠症に猪苓湯を使ったという治験例を過去に見たことがあります。
不眠症と猪苓湯の組み合わせはとても奇異な感じがします。
しかし今まで誰もそれに対して異論を差し挟む人がいませんでした。
また咳や嘔にしても、これらの症状と猪苓湯とが対応するとは一寸信じられません。
そこで中国のネットを調べてみました。
.
.
本来、猪苓湯は陽明病の処方です。
 陽明病篇223,若脈浮発熱,渇欲飲水,小便不利者,猪苓湯主之。
.
それが少陰病でも使われているのは何故でしょう?
少陰病とは
 (285) 少陰病,脈細沈数,病為在裏,不可発汗。
.
病位は少陰(臓)にあり、麻黄細辛附子湯や真武湯が代表処方で、陽を補う温補の処方です。
ところが一方で、少陰篇には猪苓湯に並んで黄連阿膠湯や大承気湯も出てきます。
これらは反対に寒性で瀉性の処方です。
これらの寒瀉の処方が用いられるのは少陰にある病邪を陽明(腑)の位置から排除しなければならない緊急を要する場合だからです。
病邪は少陰腎経にある湿熱です。
319条では、猪苓湯はこれを陽明胃経や太陽膀胱経から排除しようとしています。
腎経の湿熱が除かれれば下痢も咳も嘔渇も心煩不眠もすべて起こり得ないのです。
それで猪苓湯が司るのは水熱互結・陰傷の証とされています。
猪苓湯が直接に下痢や咳や嘔や不眠を治すのではありません。
猪苓湯はあくまで湿熱を除き、併せて陰血を補う方剤です。
それを昔の人は臨床で上手に応用していたという事です。
.
 劉懐徳医案:患者王某某,男,60歳。
生来体が弱く,煙草を嗜み,感冒にかかり咳嗽すること1月余り,前医はエリスロマイシン、魚腥草で四五日治療したが無効だった。
症状は咳嗽と少し黄色がかった白痰が,咯出しにくい,口は微渇,胸悶,舌紅無苔にして津液が多く、脈は細濡である。
私は初め表邪の入裏化熱により,肺胃の陰を耗傷したものと考えて,沙参麦門冬湯加減を用いた。
薬后はただ諸症が減らなかっただけでなく反って気短となり,痰も粘膩稠白となり,食を欲せず,大便は溏となった。
更に仔細に熟考して,これは《傷寒論》に云うところの水熱互結の咳嗽ではないか!
そこで潤燥清熱利水を図るべく処方した。
.
 猪苓湯:阿膠30g,猪苓12g,茯苓1Og,沢瀉6g,滑石24g
.
上方を服して2剤の后,諸症は大いに減り,舌苔は紅潤となり,脈は細緩となった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2013 | Main | August 2013 »