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慢性腎炎に使う三処方

88歳の婦人が最近足の甲が腫れて気持ちが悪いと相談してきた。
勿論高齢ゆえ足腰は弱くなっている。
冷えとか下痢などは無いほうなので腎陰虚の体質と考えて六味丸をと思ったが、もっと根拠のあるものを探してみることにしました。
結局、名医馬驥採用系列復方進行治療 を参考にして 六五地黄湯 を試してもらうことにしました。
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方剤1:六五地黄湯
組成:(干地黄・桑椹子8 牡丹皮・沢瀉3 山薬・枸杞子・女貞子7 山萸肉・白茯苓・車前子・地膚子5)48
功能:滋補肝腎,淡滲利水。
主治:腎病型腎炎,発病してから日久しく,肝腎陰傷の者。
症見:顴面潮紅或いは暗紅,五心煩熱,腰膝酸軟,眩暈耳鳴,両目干渋,口燥咽干,夜熱盗汗,或いは軽度の腫脹あり,便秘溲赤,舌質稍紅或いは暗紅,苔薄黄或いは薄白,脈細数或いは沈滑数。
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方剤説明:本方は六味地黄湯に枸杞、女貞、桑椹、車前、地膚の五子を加えたもの,故に六五地黄湯と名付ける。
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典型病例:孫某,男,29歳,農民。1986年3月17日初診。
この患者は一年前に浮腫が出現し,県医院に入院していたことがある。
だが家へ帰ってからまた少し働くとすぐ腫れ,尿蛋白(+++)となる。
当時の症は;両顴潮紅、頭暈、腰膝酸軟、口燥咽干、食少、五心煩熱、便秘溲赤であった。
下肢には凹陥水腫がある。
舌質は暗紅、苔白少津,脈沈細数。
慢性腎炎の腎病型である。
以上脈症を綜合すると腎陰虚耗と考えられる。
そこで滋陰補腎、淡滲利水の法を立てた。
方には六五地黄湯加白朮、牛膝を用いる。
服薬30余剤にして,浮腫は全て消え,腰膝酸軟、五心煩熱も皆除かれ,元気が出,胃納も常に復した。
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方剤2:離明腎気湯
組成:(干地黄・茯苓・車前子・生黄芪・沢瀉・巴戟天7 制附子・桂枝2 山萸肉・山薬・白朮4)58
功能:温補脾腎,利水消腫
主治:慢性腎炎有脾腎陽虚、水湿汎濫見証者。
症見:顔面白く下肢冷え,腰酸乏力,全身浮腫,下肢が尤も甚しい,或いは胸水、腹水を伴う,食少なく味乏しい,腹脹し便は溏,舌質は淡で体胖,或いは歯痕あり,苔は白滑,脈は沈遅或いは微弱。
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典型病例:王某,男,28歳,工人。
腎炎を患い四年余になる。
曽つて何回も入退院を繰り返し,出院后は家で六味地黄丸を服用していた。
最近浮腫が重くなってきた。
当時の症見:双下肢が浮腫し,按ずると指が没する,眼瞼も微腫し,脘悶と腹脹,納減と便溏,肢冷に神疲,小便は短少(500毫升/日),腰は酸痛して重く,舌質は淡,苔は白滑,脈は沈弱而滑。
以上の脈証を綜合して,脾腎陽虚,水湿不化とみなした。
そこで温補牌腎,利水消腫の法を立てた。
方には離明腎気湯加沢蘭、大腹皮、淫羊藿、丹参を用いた。
上方を服用して一月余,手足は温かくなり,浮腫も次第に消えていった。
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方剤3:復元固本湯
組成:(干地黄・山萸肉・山薬・黄芪・牡丹皮・菟絲子・枸杞子5 茯苓7 人参・五味子・桂枝3 制附子2)53
功能:補腎固本,健脾益気。
主治:腎病型腎炎で腎気虚者は,浮腫が減軽或いは消退后に,脾腎気虚の証候を現す者が多い。
症見:顔面色が萎黄か或いは暗滞,少気乏力,腰膝酸軟,眩暈耳鳴,食少なく腹脹或いは便溏,或いは下肢浮腫,小便不利,舌質は淡或いは紫,苔は白或いは膩,脈弱或いは沈滑無力で,尺部が尤も甚しい。
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典型病例:劉某,女,30歳,工人。
慢性腎炎を患って七年余,三度の入院で,病情が緩解するも,外感や過労の度に浮腫が重くなる。
症見:顔面は萎黄,顔面及び四肢に浮腫あり,舌質は淡,苔は薄白,脈は沈弱。
腰膝が酸軟で,少気乏力,眩暈耳鳴,食少納呆,小便不利,大便は常に溏瀉。
馬老はこの病人の病患は日も久しくて脾腎気虚になっていると考え,補腎固本,健脾益気の法にて治すことにした。
方には復元固本湯加車前子、寄生、川断、白朮を用いた。
上方を服用すること二十剤,浮腫は減軽し,腰膝酸軟も好転し,体力は漸増し,小便量が次第に多くなり,大便の回数が減少した。

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