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不眠に苦参が効くか?! その2

後で気が付いた事があります。
それは“蓮子芯茶”のことです。
蓮子芯とは石蓮肉(ハスの実)の中にある「幼葉と胚根」を指し、5mmほどの緑色の芯のことです。
清心蓮子飲を構成する石蓮肉は(去心)となっており、この胚芯を取り去ったものを使います。
試みに石蓮肉を割って中から蓮子芯のみを集めてみた事があります。
これを軽く煎ってお茶として飲んでみると苦い味がします。
中国では「清肝火、泄脾火、降肝火,清暑除煩,生津止渇」の効果があると市販されています。
史料には乾隆皇帝が避暑の折に蓮子芯茶を飲んだと記載されているそうです。
効果は「養心益智,調整元気,清心火,解毒」とのこと。
本草綱目》にも蓮子心は“清心去熱”とされており、故に心火内熾の煩躁不眠を治療する。
生甘草を配すれば蓮子心の瀉心火除煩の功を増強すると記載されています。
私が気づいたのは苦参の苦さと蓮子芯の苦さが似ていたことです。
もうひとつ似ているのは苦丁茶の苦さです。
これはタラヨウの近縁種の若葉を荼に加工したものですが、やはり強い苦みが特徴です。
そういえば日本茶も「苦み(と香り)」を売りとしていますね。
みな「清心除煩」の効が不眠を治すのではないでしょうか。
日本茶はカフェインがあるから寝る前には飲まないようにと云われていますが、カフェインだけで判断できない使い方があるのではないでしょうか。
証が合えば「カフェイン=興奮」ではなく「カフェイン=鎮静」にもなり、不眠を治すとなれば新しい使い方になります。

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不眠に苦参が効くか?!

最新号の『中医臨床』137号 に「不眠症の中医治療」が特集されています。
その中でハッとしたのは主薬のひとつに苦参を取り上げている事です。
苦参には不整脈(心律失常)を治すという不思議な作用がある事は聞いていましたが、ここではまた不眠症にも使えるとは新しい展開です。
苦参の薬効は「清熱燥湿,祛風解毒」、陰痒や皮膚掻痒や湿毒瘡瘍に用いられるというのがこれまでの説で、睡眠に効くとは初耳です。

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治風先治血とは

風を治すには先ず血を治せ、血が行れば風は自ずと滅す。
治風先治血,血行風自滅”の語は明•李中梓《医宗必読卷十•痺》に出てくる。
彼は行痺(疼痛部位が固定せず遊走性を呈する病証。風痺・走注ともいう)の治法を述べる時に“行痺を治すには,散風を主とし,御寒利湿もなお廃すべからずも,大抵は補血の剤も合わせると良い。治風には先ず治血を,血行れば風自ずと滅する也。”といっている。
《金匱要略》で営衛の気不足により起った「脈が陰陽倶に微にして,身体麻木して知覚を失い,“風痺状”の如き者は,桂枝湯去甘草,倍生姜,加黄耆(黄耆桂枝五物湯)を選用する。
主薬の黄耆は,陽気を振奮させ,血液の運行を促進させる,すなわち“気行れば血行る”である。
“治風先治血,血行風自滅”というメカニズムは対象が行痺だけに限らない。
例えば身体麻木・中風・紫癜風・皮膚病‥‥‥、外風・内風ともに“風”ならどんな風病にも応用できる。
当帰飲子の四物湯と黄耆は合わせて「補益疏風」に働くし、消風散のは当帰・生地・胡麻仁は養血・滋陰潤燥に働くし、三甲復脈湯や大秦艽湯も「育陰液、重肝腎」が“治血”に相当する。
「血」とは陰液を指し、陰血・津液・瘀血をも含めて考えると更に応用が広がる。

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陽虚の盗汗

張某某,男,36歳。1982年6月5日初診。
患者は夜間盗汗があり、もう二年余になる。
近頃は仕事が繁労になると盗汗が加重し,毎夜汗で下着が湿めり,頭昏目眩,心悸気短,肢倦無力,食欲減退し,面黄神疲を伴い,舌苔薄白,舌質淡紅,脈は浮緩で力がない。
此れは労倦傷気のため,衛陽は固まらず,営は内守できない為である。
益気温陽,斂営固衛に,斂汗の法で少し佐けるべく,黄耆桂枝五物湯加味を取る。
(黄耆・煅牡蛎10 桂枝・白芍3 党参・煅竜骨5 生姜1 大棗7)44
上方を服すること8剤の后,盗汗は止り,食欲が増加して,精神(元気)が好転した。
継いで[黄耆,大棗]を煎んじてお茶代りに飲むこと一周,再発はしていない。(江蘇中医雑志1984;(1):37)
按語:古えからの論では,自汗は陽虚,盗汗は陰虚と云う。
然し臨床では,絶対そうだとは云えない。
張景嶽は指摘している:“余が観るところでは,自汗にも亦陰虚あり,盗汗にも亦陽虚多き也。
……何を以って之を辨ずるか?
曰く:但其の有火か無火かを察すれば,則ち陰か陽かが自ずと見えてくる。盖し火勝りて汗出れば,火爍陰となりて,陰虚と知れる也;
無火にして汗出れば,表気不固となりて,陽虚と知れる也。”
本案の盗汗は頭昏目眩,気短乏力,舌淡脈緩があるので,顕らかに陽気虚弱の証である。
故に黄耆桂枝五物湯加党参、煅竜牡を用いて温陽益気,調和営衛,固表止汗する。
方証が相対して,佳効を得た。
 ※盗汗、必ずしも陰虚火旺ならず! ひ弱な現代人には むしろ陽虚が多いのでは?

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