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陽虚の盗汗

張某某,男,36歳。1982年6月5日初診。
患者は夜間盗汗があり、もう二年余になる。
近頃は仕事が繁労になると盗汗が加重し,毎夜汗で下着が湿めり,頭昏目眩,心悸気短,肢倦無力,食欲減退し,面黄神疲を伴い,舌苔薄白,舌質淡紅,脈は浮緩で力がない。
此れは労倦傷気のため,衛陽は固まらず,営は内守できない為である。
益気温陽,斂営固衛に,斂汗の法で少し佐けるべく,黄耆桂枝五物湯加味を取る。
(黄耆・煅牡蛎10 桂枝・白芍3 党参・煅竜骨5 生姜1 大棗7)44
上方を服すること8剤の后,盗汗は止り,食欲が増加して,精神(元気)が好転した。
継いで[黄耆,大棗]を煎んじてお茶代りに飲むこと一周,再発はしていない。(江蘇中医雑志1984;(1):37)
按語:古えからの論では,自汗は陽虚,盗汗は陰虚と云う。
然し臨床では,絶対そうだとは云えない。
張景嶽は指摘している:“余が観るところでは,自汗にも亦陰虚あり,盗汗にも亦陽虚多き也。
……何を以って之を辨ずるか?
曰く:但其の有火か無火かを察すれば,則ち陰か陽かが自ずと見えてくる。盖し火勝りて汗出れば,火爍陰となりて,陰虚と知れる也;
無火にして汗出れば,表気不固となりて,陽虚と知れる也。”
本案の盗汗は頭昏目眩,気短乏力,舌淡脈緩があるので,顕らかに陽気虚弱の証である。
故に黄耆桂枝五物湯加党参、煅竜牡を用いて温陽益気,調和営衛,固表止汗する。
方証が相対して,佳効を得た。
 ※盗汗、必ずしも陰虚火旺ならず! ひ弱な現代人には むしろ陽虚が多いのでは?

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