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李可老中医経験3

急性腎盂腎炎
耿宝愛,女,29歳,南王中村農婦。
1983年9月2日,内科で急性腎盂腎炎と診断された。
当日化験:血:白細胞14450,中性80。
尿:蛋白++++,白血球++++,紅細胞2~3。
入院治療となったが中薬を服用したいと要求している。
発病後3日経っている,初起は悪寒発熱があったが,今は悪寒は已に罷み,高熱39.5℃。
有汗,干嘔。
3~5分間に小便1次,尿道が灼痛して刀割するが如し。
気怯神疲,腰部の双腎兪穴の処が困痛して折れるが如し。
面色は蒼黄不沢,脈は沈細数,舌は胖少苔。
素体陰虚のところへ,寒邪を外感して発表する機会を失い,入裏化熱,三焦の気化が行かず,湿熱が下焦に蘊蓄した証である。
酒生地・山薬・茯苓・山萸肉・滑石・川牛膝30 牡丹皮・沢瀉・猪苓15 阿膠(化)20 桔梗・杏仁・知母・黄柏(姜汁炒)10 乳香3 甘草梢5 “琥珀5 三七3(研冲)”,2剤
2時間半に1次服して,昼夜連服2剤,
処方は知柏地黄湯合猪苓湯にて滋陰清利湿熱をする,
桔梗、杏仁にて宣肺して上焦を開提する,
川牛膝、乳香にて膀胱の竅道を直通させ,
三七琥珀にて化淤通淋する。
其の発熱は陰不勝陽(陰<陽)による,白細胞偏高といえども,清熱解毒するのは当たらず,山萸肉、山薬を重用して元気を固護する。
舌胖を見て,生地は酒浸を,黄柏は姜汁炒を用いて,胃気を護る。
9月3日二診,昨夜20時に2剤を服し終わるや,零時には熱が退き,小便は通利して,一夜を安睡した。
今晨には嘔止り,進食常の如し。
脈は細数になり,舌は淡紅で薄い白苔が有る,当日化験:血:白細胞9000,中性70。
尿:蛋白(一),白血球++++,原方から杏、桔を去り,更に2剤。
9月5日,当日化験:血:白細胞7300,中性80。
尿:蛋白(-),白細胞+。
已に不適と自覚するところは無い,食納は増し,精神は健旺となり,尿は清長である,原方より通淋散、知柏を去り,更に続服2剤。
9月9日,当日化験,血、尿均しく陰転し,脈は細数であり,陰虚が未だ回復していないので,原方を更に3剤にて善后とする。
※滋陰清利湿熱が主となるのは分かるが、桔梗・杏仁を加えて宣肺して上焦を開提する(堤壷掲蓋)所まではなかなか配慮できない。
また白血球数が高いからといって直ぐに清熱解毒しないで却って山萸肉・山薬を重用して陰を固めて陰陽のバランスを取ることによって免疫を上げているのは素晴らしい。
「舌胖を見て,生地は酒浸を,黄柏は姜汁炒を用いて,胃気を護る」などは煎じ薬でないと出来ないキメの細かさだ。

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