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川崎病と漢方

2014/08/29 ドクターG の病例は川崎病でした。

引用: この病気の原因はまだ特定されておらず、夏と冬に多く地域流行性があることから中央アジアで発生したジェット気流が関与しているという研究成果(この風にはカンジダ類が多く含まれている事が判明)がまとめられた事もある。
ともかく何らかの細菌感染をきっかけとして血管系への自己免疫が誘発されるのであろう。
問題となるのは心臓の冠状動脈に後遺症が残る場合で、全患者の約10%前後の子どもが冠状動脈障害を残してしまい、冠状動脈が拡張したり、瘤(コブ)ができてしまいます。
その多くは自然に小さくなりますが、瘤の中で血栓ができて、心筋梗塞を起こすケースもあります。
そのため冠動脈に障害が残った場合は血液が固まらないように薬を飲み続けなければなりません。
川崎病の急性期の治療は抗生物質は効かず、ガンマグロブリンの大量療法が主流になっています。
しかしガンマグロブリン療法を行なっても解熱せず炎症反応が続く例があり、そうした症例に対してどのような治療をすればいいのか結論はでておりません。
では漢方(中医学)ではどのように取り組んでいるのでしょうか?
これは紛れもなく温病の丹痧、疫疹、温毒、陽毒発斑の範畴に入ります。
現代中国の宋祚民は“風火丹毒”或いは“赤遊丹”が川崎病に似ていると云っています。
丹毒については隋代(約西元605年)の巣元方が《諸病源候論》で、宋代の錢乙は《小兒藥證直訣》で述べている。
また明代の萬全は《片玉心書》で小兒赤游丹について述べています。
清代の陳複正は《幼幼集成》にて「千金では丹毒は一名を天火と曰う,皆風熱惡毒の為す所なり。腹に入れば則ち人を殺す。其の證は心火熾盛に由り,熱と血が相搏ち,或いは手足に起り,或いは頭面胸背に發し,上下に遊移する。其の熱は火の如く,赤きこと丹砂の如く,形は錦紋の如し,其の痛きこと非常なり。凡そ胸腹より四肢に散ずる者は治し易く,四肢より腹に入る者は治し難し。」といっている。
温病であれば治療法は既に決まっています。
(1)衛気同病
銀翹散加減(金銀花,連翹;薄荷;青黛;牛蒡子,玄参;鮮芦根)
高熱煩躁口渇者用生石膏,知母;
頚部淋巴結腫大加浙貝母,僵蚕;
手足掌底潮紅加生地黄,黄芩,牡丹皮;
口渇唇干加天花粉,麦冬;
関節腫痛加桑枝,虎杖
(2)気営両燔
清瘟敗毒飲加減(水牛角,牡丹皮,赤芍;生石膏,知母;黄芩,梔子;玄参,生地黄)
大便秘結加用生大黄;
熱重傷陰酌加麦門冬,鮮石斛,鮮竹葉,鮮生地;
腹痛泄瀉加黄連,木香,蒼朮,焦山楂;
頚部淋巴結腫大増多明顕加用夏枯草,蒲公英
(3)気陰両傷
沙参麦冬湯加減(沙参,麦門冬,玉竹;天花粉;生地黄,玄参;太子参;白朮,白扁豆)
納呆加茯苓,焦山楂,焦神曲;
低熱不退加地骨皮,銀柴胡,用鮮生地;
大便硬結加瓜蒌仁,火麻仁;
心悸,脈律不整加用牡丹皮,丹参,黄芪
(一)熱毒熾盛型
犀角地黄湯加減(水牛角30(先煎)、丹皮・玄参・麦冬・金銀花・大青葉15 黄連・知母10 生地・魚腥草20 連翹12 甘草5)
(二)熱恋陰傷型
竹葉石膏湯加減(生石膏20 生地20 沙参・麦冬15 石斛・天花粉・芦根・赤芍12 竹葉10 甘草5)
(三)気陰両虚型
生脈散加味:(太子参・麦冬・生地15 玉竹20 石斛・淮山薬・魚腥草12 五陳子・丹皮10 甘草5)
‥‥‥
病例
患者,1歲10個月,男。
2006年3月14日發熱,抗生素治療は無效だった,3月17日から北京兒童醫院で入院治療。
入院時の体温39℃,面部、軀幹皮疹,口干,ガンマグロブリン、アスピリン治療,高熱を反復しつつ,約3月31日ごろになってようやく体温37℃以下となった。
後又症に隨ってガンマグロブリン、ペルサンチン等にてKDの常規治療をした。
エコー診断では,3月27日ごろ冠状動脈の内径が大きくなり、3月31日ごろには冠状動脈瘤が出来ていた。
4月11日退院して、4月18日に宋老の處で中醫治療を受け始めた。
患兒は納呆(食欲不振),手足が痛み拒按,手心が熱く,不眠,汗ばみ,舌紅く少苔(無苔)脈は滑疾数,二便は出ていた。心率120次/min。
宋老は毒蘊營血と辨じ,涼營剔邪を治療法とした。
青蒿鱉甲湯+清營湯加減
(白茅根・白薇・玄参・生石膏(先下)20 仙鶴草15 鱉甲(先下)・紫草・赤芍・黄芩・地骨皮・金銀花・忍冬藤・連翹・丹皮・沢蘭葉10 青蒿・防己・竹葉6 玳瑁粉3)
別に局方至寶丹を服す。
餘熱は清されたので,これからは收斂滋陰潛鎮することが出来る。
心率を恢復するため,沙参麦門冬湯生脈飲加減+牡蠣、亀板、琥珀粉を用いて治療する。
(生牡蠣(先下)・生石決明(先下)・北沙参・丹参・玄参・浮小麥・仙鶴草15 鱉甲(先下)・亀板(先下)・百合・麦門冬・丹皮・金銀花・連翹・紫草・首烏藤10 五味子6 三七粉(分沖)3 苦参5 赤芍6)
4月19日のエコー診断では,冠状動脈の内径が縮小し、5月23日には冠状動脈瘤が縮小した。
中薬煎剤(黄芪30 党参25 連翹20 白朮・沙参・麦冬12 茯苓・陳皮・焦三仙10 丹参・炙甘草9 清半夏8 制南星6)
以上の中薬は200mlまで煎じ,早晩100mlづつ飲み10日を1療程とする。
随症加減:汗多、気短懶言、神疲乏力の者は,黄芪、党参を重用する;
食納少なく、大便干燥する者は,山薬を加え,制南星を胆南星に易える;
口渇、煩躁、舌質紅,小便黄の者は,沙参、麦冬を重用する。
治療結果
11例の川崎病患儿は1例の治療放棄を除き,他の10例は出院時には冠状動脈瘤は恢復期にあった。
体会
本病の壮熱不潔、疹出目赤、肢腫退核、唇紅干裂、舌若楊梅、脈象滑数等の諸症は,皆温病之征に属し,衛気営血の過程は明確である。
疾病の恢復期には温熱之邪が損液傷津,耗虧血分,血熱傷陰から筋脈失養,無以濡潤,気血循行不暢となり気陰両虚の症状を現わす。
故に恢復期にあっては中医中薬が有利である。
※中医学は決して古くはないし、温故知新の精神で古きものからも学ぼうとする姿勢が大事だ。

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