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麻子仁丸の“脾約”について

まず『傷寒論』には「趺陽脈浮而渋,浮則胃気強,渋則小便数,浮渋相搏,大便則鞕,其脾為約,麻子仁丸主之。」とあります。
次に組成を見ますと、麻子仁・芍薬・枳実・大黄・厚朴・杏仁の六味です。
これは「小承気湯(大黄・厚朴・枳実)+麻子仁・芍薬・杏仁」の事です。
その訳は“胃強脾弱”だからと説明しています。
多くの人が間違えているのは「」です。
これは今日の胃ではなく、大腸・小腸を指します。
《靈枢・本輸》では“大腸小腸皆属于胃。”と明記しています。
大腸内での燥結だからこそ「小承気湯+潤腸薬」になっているのです。
“胃強脾弱”への誤解は「食べたいのに少し食べると直ぐ腹一杯になる」と解釈していることです。
そうではなく大腸に燥熱があるので「大便則ち鞕(かた)い」から小承気湯を使おうとしているのです。
脾は水津を運化して肺と膀胱に送ります。
水津が肺から全身へと配布され腸道に至れば便秘にはなりません。
その脾が弱くて水津を肺まで上げられないと、すべての水津は膀胱へ行ってしまい「小便数」となります。
本治すべきは「脾弱」の方です。
麻子仁丸を使うのは大腸の燥熱を取り去るという一時的な標治に過ぎません。
これよりして お年寄りの便秘に麻子仁丸を薦めるのは如何かと考えます。
標治よりも本治を考えるべきです。
王節齋曰く: 若し年高人が脾虚血燥となれば, 饑え易く飽き易く(食べたいのに少し食べると直ぐ腹一杯になる), 大便燥きて難となる, それには白芍藥, 當歸各一兩, 人參七錢, 升麻, 炙甘草各四錢, 山薬, 大麥芽, 桃仁各五錢を用いる, 此れは老人の常服藥也。
※お年寄りの便秘には是非ともお薦めしたい。
王節齋方(当帰・白芍5 人参3.5 升麻・炙甘草2 山薬・麦芽・桃仁2.5)25g

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