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東洋医学の“脾”

東洋医学の“”は西洋医学の「脾臓」とは異なる事は、一般の人にはあまり知られていないようです。これは一度はハッキリと解説しておかなければならない事です。
日本では1770年頃に『ターヘル・アナトミア』という西洋の解剖学書が前野良沢や杉田玄白によって入手され、その解剖図が罪人の腑分け(解剖)の際の実物とあまりにもそっくりなのに驚いています。
それまでの東洋医学の『頓医抄』などの解剖図は模式的で実際とはかけ離れたものだった為いっぺんで、東洋医学はいい加減で空想だ、これからは西洋医学でなければならないという風潮になったのでしょう。以後、臓腑の図は新たな翻訳書『解体新書』のものへと変遷します。
さてそこで、この図に名称を付けるにあたって困ったことが一つありました。肝臓、心臓、肺臓、腎臓などは東洋医学のものと西洋医学のものは同じですが、東洋医学の“”に当たるものが明確ではありませんでした。
現在でいう「膵臓」は黄色い組織であるため脂肪と考えられやすかったのか、はっきりした経緯は分かりませんが、前野良沢と杉田玄白はこれとは別のも少し小さな臓器に「脾臓」を当てました。それが現在も「脾臓」として罷り通っているものです。すると脂肪のような組織に当てはまる臓器が無いので新たに「膵臓」という名称を作りました。
東洋医学では脂肪のような組織と別のも少し小さな臓器の両方を合わせて“”と考えていたため、ここで混乱が起こりました。
東洋医学と西洋医学では「脾臓」が異なるのです。
まとめますと東洋医学の“脾”は西洋医学の「膵臓」と「脾臓」を合わせたものです。
西洋医学では「膵臓」と「脾臓」を区別しています。
問題は、西洋医学の「脾臓」をもって東洋医学の“”と同じだと考えると大きな間違いになります。
現在の日本漢方界の伝統では昔ながらの“”の意識で言葉を用いますから、これを聞いた一般の方はそれを「膵臓」と「脾臓」を合わせたものとして受け取らなければならないのです。

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