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芍薬甘草湯とこむらがえり2

『傷寒名医験案精選』の芍薬甘草湯の項に「小腿転筋」(こむらがえり)という徐迪華医案が出ています。
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王某某,男,28歳,1958年1月4日初診。
3个月前から小腿抽筋発作が経常的に起る。
軽い仕事では軽い発作,重い仕事では重い発作,休息しておれば起らない。
発作の后も小腿の酸痛は数日続く。
この4夜も連続して小腿筋が引き攣れて,かつ頭昏み元気が無いが,食欲は正常である。
2年前に腹に鈎虫がいた事があるので,この度は2度駆虫薬を服し,5回大便検査をして,虫卵が見つからないまでにした。
検査:血圧90/60mmHg。舌淡苔滑,脈軟細。
面色は萎黄だが,心肺は正常,腹は平軟,肝脾は手に触れない。
紅血球325万,血色素60%。
処方:芍薬甘草湯60ml,2日分。
1月6日の復診:服薬一剤で,小腿抽筋は減軽し,2剤で停った。
その後は原方100mlを再服するに当たり,外に黄耆9g,党参12g,当帰9gを加えて,5剤を服用させる。
3个月后に随訪したところ,小腿抽筋は一度も起きていなかった。(中医雑志1959)
按語:小腿転筋とは,即ち29条の“脚攣急”のことであるから,芍薬甘草湯の主証であり,肝の陰血虧虚による,筋脈攣急である。
この症例は、鈎虫(十二指腸虫)による貧血が原因でこむらがえりが頻発していたのを駆虫後に、芍薬甘草湯を服薬することで速やかに全治したものである。
小腿抽筋が起らなくなってからも貧血を回復するためにと黄耆・党参・当帰を追加することを忘れなかった。
日常的なこむらがえりと、十二指腸虫による貧血が元で起る小腿抽筋とでは、同じ症状でも程度と状況が全然異なる。
陰血虧虚という状況のことを「証」といい、証を無視して症状だけで薬方を選んでも効く訳がない。

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