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肝鬱便秘

センナや大黄の入った製剤を飲んでもうまく通じない便秘があります。
センナや大黄などの下剤が適応するのは熱実証といいますが、大腸に熱があって大便が乾燥している状態の時です。
しかしそんな場合はそう沢山はありません。
下剤が合わないのは大腸熱実証ではないからです。
そういう時に一度考えてもらいたいのは「肝の疏泄」機能のことです。
疎泄には「疎通・排泄」の意味を含み、昇・降・出・入という気の動きを良くする機能を指します。
気の昇降・出入がなければ排便も排尿もうまくいきません。
この機能面に着目した便秘薬は一つも出ていません。
大腸熱実証に対して、肝の疏泄不足によって便秘するのは「運動不足、過食美食、もよおした時に我慢してしまった、多忙、ストレス」などによって生理的な気の昇降・出入が滞って起きた便秘のことです。
これは昔と現代の労働のスタイルの変化がもたらした現代病のひとつでしょう。
肉体労働の多かった昔は、便秘よりも下痢のほうが多かったのではないでしょうか。
「疏泄不足による便秘」は肝気欝滞(肝鬱)からもたらされます。
以前から「加味逍遙散を飲むと主訴のほかにいつの間にか便秘も治っていた」という報告がありました。
全身状態が良くなったら副次的に主訴以外の便秘も良くなったのだろうと見過ごされていた事でした。
せっかくの好事例なのに勿体ないことです。
肝鬱に対する処方は加味逍遙散だけではありません。
加味のない逍遙散、熟地黄の入った黒逍遥散、疏肝散というのもあります。
周某,女,42歳,便秘すること反復発作3年,いつも情志不暢が重なると,瀉下薬を服すれば一時的に快くなる,月経不調や,月経の先後不定期もある。
初診:胸脅脹満,ゲップ頻作,心煩少食,夜寐不安,大便は3~5日に一度,便秘で出難く,頗る苦しい,舌苔は薄白,脈は弦で有力。
診断:肝気鬱結,治療:舒肝解鬱,健脾和胃 とする。
疏肝散加減(柴胡・茯苓・鬱金5 川楝子・香附子・青皮・陳皮・川弓・当帰・木香3 山薬10 白芍7)53
6剤を服して便が通じた,再進すること12剤で効果を鞏固にする,継いで逍遥散にて善后調理すること1月余りで,治癒を告げた,1年後の随訪では再発していなかった。
此の例は肝失条達が大腸の伝導功能に影響して“気秘”となったものです。
先賢は“肝と大腸は相い通じており,肝病には大腸を疏するが宜い”という理論を出しています。
便秘は調肝すれば解する、とはひとつの見解です。
李用梓はの説によれば:“鬱病多しと雖ども,皆気の不周流に因る,法当に順気を先とすべし”,常用の疏肝解鬱法としては,逍遥散加減による治療を以ってすべし,気機が流暢すれば,則ち臓腑の気機升降は協調して平衡となり,便秘は自から除かれる。
 ※個人的な感覚としては肝鬱はぼってり型です。ほかに痩せ型の血虚肝鬱もあり、これには調肝養血法として一貫煎などが必要になります。

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