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貨幣状湿疹の中医治験

貨幣状湿疹の漢方治療報告は非常に少ない。
まして再発の治療だと殆ど皆無ではなかろうか。
『朱仁康臨床経験集』に貴重な一例が載っていたので紹介します。
貨幣状湿疹(銭幣形湿疹)
〔例九〕章x x,男,8歳,簡易病歴,初診日期:1973年1月8日。
主訴:全身に湿疹が出て三年になる(父代訴)。
現病史: 1970年の春先に左小腿に紅いツブツブが出現した。
抓破すると汁が流れ次第に銭幣様になり, しばらくして又右小腿にも出現し同様となり, 次いで肛門・陰茎・から全身へと広がった。
掻痒が劇しく,睡眠にも影響する。
三年間 中西薬を服したが,療効は顕れない。
検査: 全身に銭幣状集簇の丘疱疹が散在し,一部には糜爛・滲出・鱗屑があり, 掻痕が累累としてある。
尤も重いのは両腿・肛門・会陰・陰茎等である。
脈は細滑,舌質淡,苔浄。
中医診断:湿毒瘡。
西医診断: 銭幣形湿疹。
証属:初めは湿熱浸淫,日久となりては傷陰耗血。
治則:滋陰養血,除湿潤燥。
方薬:(生地黄5 元参・丹参・当帰・六一散<滑石6 甘草1>・茯苓・沢瀉・白蘚皮・蛇床子3)29
外用:[示去]湿膏([示去]湿散1:玉黄膏4)
  [示去]湿散(黄柏・白止・軽粉30 焼石膏60 冰片6)
  玉黄膏(当帰・甘草30 白止9 姜黄90 軽粉・冰片6 蜂白蝋90~125)
二診:(1973年1月27日) 薬后に掻痒が明らかに減軽し, 皮損も次第に退いていったのでと言い訳しつつ数日を経て来診してきた。
上方に地膚子5 を加えて,更に五剤を,水煎服させる。
三診:(4月2日) 薬后復診したところ,躯干、陰茎、肛門等の損傷は消えており,両腿の皮損には尚三、四片が残っている。
なお上方7剤を服するよう、また外用薬も前と同じものを与えた。
四診:(4月14日) 最近かなりの魚腥発物を食したら,小腿部分に皮損が前のように現れ,又掻くと滲水が出る。
舌質は紅,苔は薄黄,脈小滑。
改めて利湿清熱の処方を立てる。
(生地黄10 黄岑・車前子2 赤茯苓・沢瀉・六一散<滑石6 甘草1>3 木通1)24  五剤を水煎服させる。
外用には生地楡15gを水煎して湿敷させる。
その后また再受診しに来なかったが、1976年5月に其の父が来院して云うには,前年治愈の后, 2年間は再発していないと。
半月前に牛乳を飲んだら,小腿に又小片丘疱疹が現れたが、除湿丸(干地黄6 玄参4 丹参・白蘚皮5 当帰・茯苓・沢瀉・蛇床子・地膚子3)35 を内服し, 五石膏(青黛・黄柏・枯礬9 海蛤粉・炉甘石60 焼石膏90 滑石12 ワセリン370 胡麻油250)30g と
[示去]湿散 (黄柏・白止・軽粉30 焼石膏60 冰片6)9g を合わせて外用したらまた治愈してしまった。
※生地黄は大寒、凉血作用があり理想的だが日本では入手が難しい。しかし干地黄でもかなりの効果があるようです。

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