« 誤診から学ぶ(1)感冒 | Main | 歯ぎしりと漢方 »

徐脈

私の妹がまだ若い時に徐脈となり、一分間に40回程しか脈動がしなくなりました。
その時に相談を受けたのですが、未熟な私には何も良い知恵がありませんでした。
そこで専門医の勧めから心臓にペースメーカーを入れる手術をして日常を過ごしました。
この頃になってやっと幾らかの情報に触れる事ができたので以下に記しておきます。
心動過緩
張XX,男,40歳。
心動過緩を患って五个月になり,心経の各穴及び経験穴に針灸することも三个月以上になるし,補心、安神、定智、生脈などの中薬も百日以上も服したが,効果なし。
診見:形体較壮, 但し顔面に光沢なく微黒,舌潤無苔,六脈沈細,両尺は細弱で絲の如し, 来去無神,左寸は尤甚し,毎分間脈拍40回,まだ結代は出現していない。
言語は流利だが,表情は淡漠で,悲観失望している。
針灸を畏れ,湯薬を怕れている,脈証を合参すれば,病源は心に在る。
其の面色が微黒なのと,両尺脈が細く游絲の如く,縷の如く絶えだえである事を細思すれば,其の病の本は腎に在り,心と腎は同じ少陰経に属するが,心腎は相互に制約しなくなっている,謂ゆる"水火未済"である,細かに詢ねれば腎経の症状の腰痠陽萎もあるようだ,是の病の本は腎に在り,病の標は心に在る,其の腰痠陽萎は,症状を自覚しているが, 問診して初めて知れたことである。
心動過緩は,切診にて分かる。
其の本を知らずして,其の標ばかりを治そうとしても,針薬は効験がない。
乃ち腎陽虛が病の本と診断できる。
又此の人の病が久しくて神智不寧であることを思えば,驟に桂附等の大補腎陽薬を施せば,必ずや虛火上炎となり,口干舌燥、目赤甚から衄血に至る虞がある。
乃ち腎陰を補えば腎陽の物質的基礎を補える,陽は陰より生じる,腎陰を補えば腎陽がだんだんに生じる,腎水は腎気の源である,これが陰陽互根の理である。
乃ち [枸杞子・炒酸棗仁15g,五味子9g],を茶飲用として,先ず三日分を。
5日后の復診では,顔面の色は紅みがさし,神情は愉快で,六脈に力あり,毎分間80回。
又連進すること六剤にして愈ゆ。
此の方は標本を辨清し,臓象陰陽学説を運用した,《内経》反治の法である,一撃にして当ったのは,偶然ではない。
以后又験証が多くある,酸棗仁を24gに改める,心律不斉に対して,緩者は速くし,速者は緩くする;失眠患者に対しては,輾転反側から,好夢甚酣に変える。
ついには門診協定処方へと発展した。
『著名中医学家的学術経験』(黄文東 1984年)より
※『古今中医心病方薬集成』(1999年中国医薬科技出版社)では麻黄細辛調心湯や升率湯、起搏増率湯などと心動過緩者を心陽不足とみなし、強心助陽薬として附子、麻黄、細辛、鹿角などを加えた処方が多いが、この例のように補陰を先にする事で助陽の効果へと導くのも一法です。

|

« 誤診から学ぶ(1)感冒 | Main | 歯ぎしりと漢方 »

治験」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 徐脈:

« 誤診から学ぶ(1)感冒 | Main | 歯ぎしりと漢方 »