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芍薬と排膿

排膿散に芍薬が入っているのは何故か?
排膿散は《金匱要略 瘡癰腸癰浸淫病》に出てくる処方ですが、方は有っても証が無いので理解が困難です。
排膿散方《金匱要略》(枳実十六枚 芍薬六分 桔梗二分 鶏子黄一枚)
私はかねがね排膿の意味と芍薬とが結びつかなくて、この処方に手が出ませんでした。
このたび『中薬の配合』丁光迪編著、小金井信宏訳 の「蝕瘡消腫」の項を読んでいたら、烏梅・芍薬・敗醤草・地楡・明礬・酢などに蝕瘡消腫の作用があると書かれており、アッと驚きました。
烏梅や敗醤草なら分かりますが、そこに芍薬が加わるとは知らなんだ。
その解説が、李時珍は「烏梅には、酸味による収斂作用の結果として、悪瘡や弩肉を治療する作用がある。」とある。
調べてみると『本草綱目』の原文は、次のようです。
 時珍曰∶烏梅、白梅所主諸病,皆取其酸収之義。其蝕悪瘡肉,雖是酸収,却有物理之妙。
何故、酸収と蝕瘡消腫の作用が結びつくのか?
「物理之妙」とは何なのか?
また鶏子黄(卵黄)を加える事には化膿を促進させるという意味が考えられる。
即ち悪瘡を早く解消するために「鶏子黄で補血し、芍薬で利血(膿は血肉の所化也)し、枳実で導水(消腫)し、桔梗で排膿する」という手順か?
それなら理解することができる。
いきなり「酸収には蝕瘡排膿の作用がある」と云われると面食らう。
排膿散は歯肉炎や霰粒腫への応用もさりながら、腸癰から大腸癌へと想いが及ぶのである。
1.《金匱要略心典》:枳実苦寒,除熱破滞為君,得芍薬則通血,得桔梗則利気,而尤頼鶏子黄之甘潤,以為排膿化毒之本也。
2.《古方選注》:排,斥也;膿,血肉所化也。枳実、赤芍佐以桔梗,直从大腸泄気破血,斥逐其膿。
3.《金匱要略釈義》:夫気行則水行,水行則膿尽,故排膿必用桔梗開利其気以行其水,并佐枳殻為之助;因膿由血化,故兼利血,而用芍薬;唯血既腐化而成膿,則去血必多,爰一面排膿以去其気分之実,而用鶏子黄以補其血分之虚。
  4.《金匱要略方論集注》:是方芍薬行血分之滞而不傷陰,桔梗利気分之結而不損陽,枳実導水以消腫,鶏子黄調胃以護心安神。尤為排膿之良剤也。

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