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八綱について

『中医臨床』通巻146号(Vol.37-No.3)の【インタビュー】八綱弁証の再考を(吉冨誠)の記事において氏は「現代中医学は,基本概念である八綱弁証,特に陰陽と虚実に問題を抱えている」と強調しておられます。
その趣旨は「陰陽は他の六綱の総綱であるというが、総綱とは何なのか?八綱弁証は治療の総則としては中途半端で不十分である。だから一般には八綱弁証をせずにいきなり臓腑弁証や気血弁証を始めているのではないか。」
それについて私はいささかの弁護をしたい。
八綱のトップである陰陽とは、部位(表裏・内外・上下・背腹)・臓腑・気血・寒熱・虚実・機能と物質などの属性を示す総綱である。
他の六綱(表裏・寒熱・虚実)とは内容がだぶっている。
「陰陽・表裏・寒熱・虚実」をもって八綱というから、では陰陽とは何を指すのか?という混乱が起きる。
たしかにその通りですが、陰陽という用語を省くとこれまた不都合ではありませんか?
陰陽という用語をもってしか表現できない意味内容もあるのではないでしょうか?
特に六経病理における「太陽(表陽)・少陰(表陰)・陽明(裏陽)・太陰(裏陰)・少陽(半表半裏の陽証)・厥陰(半表半裏の陰証)」や陰陽の対立消長・相互転化・無限可分性・相対性の意味などは陰陽をもってしか表せないのではないでしょうか?
だから八綱というものを固苦しく定義せず、曖昧性のままに使っていけばいいと思うのです。
なにしろ計り知れないほど大きな歴史と文化を持つ中国という大国の医学なのですから。

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口がベタベタする

『中薬の配合』丁光迪編著、小金井信宏訳 の中の「脾虚湿勝証」で「湿滞と同時に穢濁があると,口がベタベタし、舌苔濁膩などの症候がみられます。治療には,平胃化濁法を用い,薬は,厚朴・陳皮・霍香・蒼朮・石菖蒲・半夏・茯苓などを,状況に応じて組み合わせて使います。」とあります。
口がベタベタするという苦情は時に聞くことがあります。
それとこの穢濁が関係しているというのは留意しておかなければなりません。
では穢濁(湿濁)とは何のことでしょうか?
調べてみますと「湿濁とは湿気のこと。湿性は重濁粘膩で,病位に停留滞着しやすく,陽気の活動を阻碍する。」
湿濁を解消することを“化濁”(or 分清化濁)という。
清とは水谷精微のこと、化とは排除すること、濁とは糟粕のこと
薬物は芳香化濁薬という。
藿香、佩蘭、砂仁、石菖蒲 など芳香性のものが使われます。
例えば、芳香化湿湯《朱仁康臨床経験集》(藿香・佩蘭・蒼朮・陳皮・茯苓・沢瀉・白鮮皮・地膚子4)32 というのがあり、亜急性湿疹,銭幣形湿疹,慢性湿疹などに応用されています。
かつてアトピーの相談を受けたことがあり、この口ベタベタと下痢がありまして、今思えばこの処方などが適方ではなかったかと反省しています。

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湿疹はなぜ再発しやすいか?

2014年の暮れに初めて貨幣状湿疹になり、朱仁康方・滋陰除湿湯を中心にして2年がかりでやっと全治と認められたのだが、なんとそれからたった一月してもう「白い痒疹」がぽつりと出た。
2016/10/02 萆薢滲湿湯でまた初めからやり直しだ。
2016/10/22 左脚のは丸いつぶつぶで20個ほど、ぷくんと膨らんでいる、これは中から水が出てきそうだ。最初に出来た右足首のは破れて乾いてきた。

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10/24 の右足画像→
2016/11/01 自擬消風散(生地7 蝉衣3 防風・白僵蚕・桔梗・牡丹皮・何首烏4 蒼耳子・疾藜子・地膚子・白蘚皮・赤芍5)55に変方。
汁は出なくなり、夜の掻痒がひどい。真紅の乾いたボツボツが無数。
2016/11/03 昨夜は痒くて掻いていたら汁がいっぱい出て、皮膚が柔らかくなってきた。
青黛散油膏や他の軟膏を塗ると湿疹から汁が出るということが分かった。今ではすっかり乾燥して痒いだけで汁は出ない。
2016/11/22 凸凸していた皮膚がやっと滑らかになり、夜間の掻痒が収まってきて寝られるようになった。
そこで猛反省だ。
一体どうして湿疹は再発しやすいのだろう?
难缠湿疹中医有解(一) には次のような説明がある。
中医では脾胃に気滞があれば蘊湿となり,湿蘊が長引けば毒を生じる,頑湿は毒を聚めて,皮膚に客すれば掻痒無度となり,各種の皮膚疾病を化生すると認識している。
古人は「流水は腐らず,流動しない水はたちまち多くの腐敗物質を滋生し,この種の腐敗物質を含有する水が人体に対して有害になる。」と認識している。
いわゆる“湿気”とは一種の正常運行できない水のことで,これが瘀積となって身体内に在り,長く停聚すれば毒を有するようになり,それが皮膚を損害して掻痒を引き起すのである。
また湿気の停聚が長引けば熱化する,何故なら我々の体温に加えて、人によっては陽気が旺盛だったり,また陰精が不足すれば湿気は容易に熱化し,このタイプの人の皮膚病は熱邪が重くなる。
湿気が聚集する原因は脾胃の運化功能の不足と関系が大きい。
ゆえに湿疹を治療する時は,特に慢性湿疹患者では,彼の脾胃功能を調理し,水湿運化の功能を増強する事が必須である。
さて自分はと、湿疹の予後には何を飲めばいいのかなー。

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胡麻仁の作用2

紫雲膏は「胡麻油100 紫根10 当帰10 蜜蝋38 豚脂2.5」の組成からなっています。
最も多く含まれているのは胡麻油です。
蜜蝋や紫根も重要ですが、胡麻油の意味を忘れてはなりません。
先に「胡麻仁の作用」として“逐風湿気・游風・頭風”の作用があると指摘しましたが、それならば胡麻仁から取れる胡麻油にも同様の作用がなければなりません。
中医百科 油麻仁(胡麻) に、
治浸淫悪瘡:胡麻子生搗敷之。(《普済方》)
治小儿瘰癧:脂麻、連翹等分。為末,頻頻食之。(《簡便単方》)
治丁腫:胡麻(焼灰)、針砂各半両。(《聖済総録》胡麻塗敷方)
治痔瘡風腫作痛:胡麻子煎湯洗之。(《綱目》)
治陰癢生瘡:搗胡麻塗之。(《補缺肘后方》)
治膿潰后瘡不合:炒烏麻令黒,熟搗敷之。(《千金方》)
治蜘蛛咬瘡:油麻研爛敷之。亦治諸虫咬傷。(《経験后方》)
藥性歌括四百味:甘,療腫悪瘡
と列挙してあるのは皆“逐風湿気・游風・頭風”の応用例ではありませんか。
紫雲膏は「胡麻油・紫根・当帰・蜜蝋」のどれもが必要不可欠の有効成分であり、豚脂だけが軟膏基材といえるかも知れません。 (豚脂は軟膏の固さを調節するために入れる)

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膀胱癌

腫瘤とは身体の一局部に生長するものだが,実際には全身性疾病に他ならない。
だから局部治療だけでは根本的な解決にはならない。
患者の局部症状を改善させるには全身状況こそが重要である。
中医が整体観念より出発するのはこの理由による。

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