« 補腎は補脾に及ばない | Main | 当帰六黄湯 »

嚔気法(ロ畜鼻法)

中医学には上焦の病に対して、粉にした薬を鼻から吸い込ませくしゃみをさ せる方法があります。
『中薬の配合』丁光迪編著、小金井信宏訳 の解説では、「この方法には,気の通りをよく するだけでなく,緊急時の気つけ薬としての作用もあります。くしゃみを 10数回すれば,腠理がほぐれ解肌作用が発揮されます。また同時に涙・鼻水・唾液などが出てきます。これは吐法と同じです。つまり,くしゃみを させることで,汗法・吐法の効果が得られるわけです。葱豉湯を服用する 必要はありません。‥‥‥これは,上にある病は上から出すという方法です。」
また『中医伝統流派の系譜』によれば、汗吐下三法を強く提唱し、邪を攻撃した張子和は外治法としての〈吐法〉を得意としました。
それによれば薬物で嘔吐を促す方法のほかに、漉涎・嚔気・催涙などの方法も吐法に帰属させている。
漉涎法……漉とは、滲み込むという意味である。突然人事不省に陥り、牙関緊急し、水を飲ませることができない者には、三聖散を煎じて鼻から滲み込ませると、自然に口が開き、よだれが出てくる(第四巻八)。
嚔気法……薬物でくしゃみをさせる方法である。たとえば流行性の疫癘にかかったときには、不臥散を鼻から吸い込ませ、立て続けに二十~三十回くしゃみをさせる(第四巻七)。また目の充血や腫瘍にも青金散を吸い込ませて、くしゃみをさせる。鼻から出血すれば、さらに速く効果が現れる(第四巻三十九)。
催涙法……眼病治療として、錠子眼薬を目の中に入れる。薬が溶けて涙が出れば効果が現れる(第十四巻三)。
実例: 大頭瘟は、流行性の邪熱疫毒の気を人が感受したために発生する。
一名を時毒とも、疫毒ともいう。
大頭瘟は、鼻・顔面・耳・頸・咽喉に発生し、赤く平らに腫れるか、中に核や根っこがある。
はじめの症状は傷寒によく似ており、憎寒・発熱・頭痛・体の激痛・ぼんやりする・咽喉閉塞、などの症状が現れ、五日から七日の間に死亡することもある。
ただし十日以上生存すれば、治療しなくても自然に治る。
 これを治療するには弁証をしなければならないので、まずその脈を診る。
滑数浮洪沈緊弦渋などが、この証候の脈象である。
浮数の脈の者は邪が表にあるので、犀角升麻湯で発散させる。
沈渋の者は邪気が深部にあるので、毒が強ければ急いで化毒湯を服用させて邪を攻撃する。
 実熱で便秘のある者は大黄湯で下す。
高齢者で気鬱のものは、五香連翹湯で治療する。
また鼻から通気散《東醫寶鑑》 (延胡索1銭半、皀角・川弓各1銭、藜蘆5分、躑躅花2分半) を吸い込み、十回あまりくしゃみをさせる方法もある。
それでもくしゃみが出ない場合は治らないが、くしゃみとともに膿と血が出れば、必ず治癒する。
また看護人が毎日この薬を用いてくしゃみをすれば、病気の伝染を防げる。
患者自身も、この薬を毎日三回から五回用いて熱を除くとよい。
これは、時毒・疫毒を治療する効果的な方法であり、記憶しておくとよい。
※インフルエンザの予防に通気散でくしゃみをするのも一法!
facebook 漢方/中医学の10月26日には次のように書きました。
 中医治病八法とは「汗・吐・下・和・温・清・消・補」の八法です。
その内の「吐法」のひとつに朱丹渓が開発した、癃闭の気実証に用いる“提壷掲蓋”法があります。
『中薬の配合』では吐法(吐かせる事のほかに、噴<クシャミ>させる事も含む)とは強制的に気を上昇させることに他ならず、気が上昇すれば自ずと濁陰(尿)は降る、とあります。(目からウロコ)
昇降法とは面白い手段ですね。

|

« 補腎は補脾に及ばない | Main | 当帰六黄湯 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 嚔気法(ロ畜鼻法):

« 補腎は補脾に及ばない | Main | 当帰六黄湯 »