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小柴胡湯3

懲りもせず続いて『中医治法與方剤』(陳潮祖)より引用紹介します。
加減方が14処方もあります。
[加減]
小柴胡湯の構造は扶正祛邪,表裏同治,寒温共用,升降并調である。
本方を基礎として,表・裏・寒・熱・虚・実・升・降・上・中・下・気・血・津・液の各方面に変化させることが出来る。
1.柴胡桂枝湯(«傷寒論») 柴胡15g,黄芩7g,半夏12g,生姜7g,炙甘草5g,大棗6 枚,桂枝7g,芍薬7g。 水煎,温服。
小柴胡湯証で肢節煩疼を兼ねる者;芍薬の量を加重して,肝胃不和にて,上腹部が痛むのを治すのに,療効あり,小柴胡湯と桂枝湯の合方なり。
調和営衛と和解少陽を合用した配方で,少陽兼表の変方である。
日本の漢医は此の方を用いて癇証を治療している。
此の方と五苓散を合用し,さらに牡丹皮・牡蛎を加えて,婦女の更年期で頭面に時に熱気上衝するを覚え,胸部以上に汗が出るのを治療した。
2.柴胡加芒硝湯(«傷寒論») 柴胡12g,黄芩5g,半夏4g,生姜5g,人参5g,炙甘草5g,大棗4枚,芒硝10g。前七味水煮,湯成去渣,芒硝を入れて,微煮一沸,分2次服。 1剤で愈えなければ,再び1剤を服す。
小柴胡湯証にして苦満難解者;或いは脇下に堅塊ある者;或いは潮熱が去らず,大便不通の者を治す。
芒硝には軟堅散結,瀉熱通便の功がある。これは裏に重点を置いた変方である。
3.柴胡桂枝干姜湯(«傷寒論») 柴胡24g,桂枝9g,干姜6g,天花粉12g,黄芩9g,牡蛎6g,炙甘草6g。 水煎,分3次温服。
汗下した后に,胸脇満し,小便不利,口渇心煩,但だ頭汗のみ出,往来寒熱する者を治す;«金匱要略»では此の方で瘧疾を治している,其の証は寒多く熱が少いか,或いは但だ寒くて熱がない。
此の方は瘧を治す,桂枝を肉桂に改めれば,療効は更に佳し。1972年に我院の科研処は楽山で瘧疾を防治した。一小学教師が献じた一単方は,肉桂30gとし,3~5次に分けて,研末にして服した。余も曽つて之を用いて,確かに截瘧の功効があった。これは寒に重点を置いた変方である。
4.鎮青丸(«素問病機気宜保命集») 柴胡15g,黄芩15g,半夏12g,生姜12g,甘草6g, 人参10g,青黛10g。為細末,姜汁浸蒸餅為丸,毎次服20g。亦可作湯剤,分3次服。
嘔吐・頭痛して,有汗,脈弦を治す。 此れは小柴胡湯から大棗を去り,青黛を加えて清肝・凉血解毒とする。用治は肝胆火旺・上攻頭痛・犯胃嘔吐の証で療効がある。血熱妄行して出血するのにも用いる,但だ大棗は減去しないほうが良い,大棗は能く血小板減少の出血を兼顧するから。これは血分有熱に重点を置いた変方である。
5.柴胡陥胸湯(«通俗傷寒論») 柴胡5g,黄芩10g,半夏15g,黄連5g,瓜蒌仁25g,枳実10g,桔梗5g,生姜汁4滴。水煎服。
少陽証が具わり,胸膈痞悶して,按じて痛むを治す。此の方は滌痰泄濁・開結寛胸の功がある,痰熱結胸の証に,投ずれば有効なり。これは痰熱に重点を置いた変方である。
6.柴胡芪附湯(陳沛祖方) 柴胡12g,黄芩9g,半夏12g,生姜9g,甘草6g,大棗9g,人参9g,黄芪30g,白朮12g,制附子15g。水煎服。
反復感冒,経久不愈を治す。これは腠理不密,籓籬(編んだ篭の目が粗いように)不固だからである。 此の方の人参・甘草・大棗は本より大補元気で,能く表衛の気を充実させる,黄芪を加入すれば益気実衛して,十分に衛気の外泄を防止ぐ;白朮は健脾運湿し,附子は温陽化気して,能く穀気・元気の源を旺盛ならしめ,水源を開発して水の流失を抑制して、両方から同時に進めます,用治は表虚不固,反復感冒で,能く祛邪扶正,実衛固表の効を収める。 其の作用は玉屏風散と較べて犹お一層勝る。 これは気虚に重点を置いた変方である。
7.柴胡四物湯(«素問病機気宜保命集») 柴胡9g,黄芩9g,半夏9g,生姜9g,甘草6g, 当帰12g,生地黄15g,白芍24g,川芎9g。水煎服。
邪が厥陰に陥り,寒熱すること瘧の如く,胸脇がシクシク痛み,夜になると更に酷くなるのを治す。 此の証は婦女経期に多見する,故に四物湯の養血調経と,小柴胡湯の和解少陽を用いて,臓腑同治の法則を行う, これは血虚に重点を置いた変方である。
8.参胡清熱飲(«太平聖恵方») 柴胡12g,黄芩12g,半夏12g,生姜9g,人参15g,甘草10g,大棗20g,麦門冬10g,五味子10g。水煎服。
脈虚弱,発熱,口渇しても飲水を欲しない者を治す。これは小柴胡湯と生脈散の合方で,清解邪熱・益気生津の功があり,熱病津虚・心力衰竭の証に対して,投ずれば有効。 脈虚とは心気虚損の辨証根拠である。 これは津気両虚に重点を置いた変方である。
9.加減小柴胡湯(«温熱経緯·外感温熱篇»)柴胡10g,黄芩10g,半夏10g,生姜6g, 甘草6g,桃仁12g,生地黄24g,犀角6g(現以水牛角代),牡丹皮12g,山[木査]肉12g。水煎服。
熱入血室,経水たまたま来り,瘀熱搏結し,腰脇及び少腹が牽引作痛して,拒按する者を治す。余は此の方から水牛角を去り,青黛・芒硝・大黄を加えたものを用いて,瀉熱逐瘀の功を増強し,神志錯乱した狂証を治療して有効だった。 これは熱・実・血分に重点を置いた変方である。
10.柴胡加芦根湯(«張氏医通»)即本方加芦根60g。水煎服。
胆咳,咳して胆汁を嘔くのを治す。咳は主証で,咳して胆汁を嘔吐するのは,病の標が肺に在る事を説明しており,病の本は胆に在る。 治病求本の原則を根拠として,当に胆経より論治して,胆経を無病ならしめれば,津気は和調となり,咳嗽は止む。 故に本方を用いて和解少陽し,芦根を加えて清熱滲湿,降逆止嘔し,兼ねて肺胃を和す, 肝胆肺胃同治の方なり。これは上焦を兼ねる変方である。
11.柴平湯(«医方考») 柴胡12g,黄芩9g,半夏9g,生姜6g,甘草6g,蒼朮12g,厚朴12g,陳皮9g,茯苓15g。 水煎服。
寒熱往来,四肢倦怠,肌肉煩痛;或いは食欲不佳,脘痞腹脹, 嘔悪便溏,また往来寒熱する者を治す。此の方は燥湿・芳化・淡滲薬物を加入した,和解少陽陽明・湿重熱軽の良剤で,これは津気壅滞中焦に重点を置いた変方である。
12.清脾飲(«済生方») 柴胡12g,黄芩9g,半夏12g,生姜9g,甘草6g,青皮9g,厚朴12g,草果仁6g,白朮12g,茯苓15g。 水煎服。
寒熱往来,寒重熱軽,胸膈満悶,不能飲食, 苔白滑,或いは白膩,脈弦緩を治す。此の方は運脾化湿の力量が大変強い,これは湿濁阻于中焦を兼ねた場合の変方である。
13.柴苓湯(«金鏡内台方議»)柴胡20g,黄芩12g,半夏12g,生姜9g,人参9g,甘草6g,大棗12g,白朮15g,茯苓15g,桂枝15g,沢瀉20g。水煎服。
発熱煩渇,脈浮弦而数, 小便不利,大便泄利する者を治す;熱に偏るものは,協熱下利と名づけ,炒黄連・白芍を加える。此の方は五苓散を合わせたもので,疏暢三焦気機,通調水道の功がある,これは下焦水湿塞滞に重点を置いた変方(原方には赤茯苓があり,桂枝は無い)である。
14.柴胡枳桔湯(«通俗傷寒論») 柴胡7g,黄芩7g,半夏7g,生姜5g,枳殻7g,桔梗5g,陳皮7g,雨前茶5g。 水煎服。
邪在少陽,往来寒熱,胸脇痞満,或いは痛み・或いは嘔し・或いは噦するのを治す。 扶正の力量は不足し,宣暢気機作用が増強されている。これは気滞に重点を置いた変方である。

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