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麻杏甘石湯

《傷寒論》発汗后,不可更行桂枝湯,汗出而喘,無大熱者,可與麻黄杏仁甘草生石膏湯。(63条)
[麻黄+石膏=止汗作用] という説がありますが、これは上の文章を「発表剤を服用させて幸い汗が出て表熱が無くなったから、次は“汗出而喘”の状態を治すために麻黄杏仁甘草石膏湯を与えよう。(つまり麻杏甘石湯で汗と喘の両方が止まる)」と文字づらだけで解釈した結果です。
では、発汗により大熱(表熱)が無くなり表解したのに、何故まだ“汗出而喘”の状態が残っているのか、その理由を考えたのでしょうか?
これはまだ内熱が肺の中に残っている事を証明しています。
肺中に残された内熱とは何者か?
それを『中医証候鑑別診断学(2版)』では「太陽熱邪迫肺証」として次のように説明しています。
太陽病で発汗したにもかかわらず表邪が化熱し,熱邪が肺に迫り,肺気が上逆して喘す。
邪熱が肺に鬱し,津に迫れば外へ泄れ,汗となって出る,故に汗出して喘するの症となる。
さて『中医治法與方剤』(陳潮祖)ではどのように書いてあるか。
【本臓自病】のうちの「肺熱気逆」の項に麻杏甘石湯は収められています。
【病因】風寒束表,入裏化熱,或風熱之邪,自上而受;
【病機】熱飲壅肺,肺失宣降;
【辨証】発熱口渇,苔黄脈数。
発汗を経ても,邪は仍おも未解にして,皮毛より腠理を経て肺に舎り,肺衛宣降の機が阻まれ,気鬱化熱となり,津は凝して飲となり,熱飲が壅肺して,遂には喘咳を呈す。
舌苔黄にして津あり,或いは膩苔を見れば「飲」のあることが分かる。(熱盛津傷にはなっていない)
水飲と熱邪が合わさり“熱飲”を形成した。
麻黄は表邪を疏泄して病因を除き,肺気を宣降して功能を恢復する。
腠理が疏通し、気が降れば水道は通調する。
一薬三用で麻黄は主薬である。
然るに,気鬱化熱しているのに,辛温の麻黄を使うには,石膏の寒を配入して以って鬱熱を清しなければならない。
麻黄、石膏は相須相制の関系にある。
麻黄は石膏の監制を受けて,其の発汗力を減弱するが,宣肺降逆と行水滌飲の効力は充分に発揮する。
石膏は麻黄の辛散の助けを得て,はじめて肌腠と胸中に蘊結した鬱熱を発泄できるので,石膏もまた主薬である。
喘証には,たいてい咳吐稀涎を兼ね,舌苔は黄膩か津液飽満を呈する;
この処方が気喘で且つ鼻塞流涕あるいは小便頻数を治療できるのは,原因が水液壅阻だからである。
哮喘が久しく止まなければ,本方に半夏、瓜蒌、陳皮、枳実、生姜を加える。
もし喘が甚しければ,瀉白散《小児薬証直訣》(桑白皮、地骨皮、甘草、粳米)を合用する。
熱が盛んなら,金銀花、連翹、梔子、黄芩、黄連、七葉一枝花、魚腥草を加え,清熱解毒の功効を増強する。
※多くのの説明にあるような「粘調で黄色や緑色の痰がある」という事はない。

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