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銀翹散(《温病条辨》)

[組成] 金銀花・連翹・鮮葦根30 荊芥穂・薄荷・苦桔梗・牛蒡子18 淡豆豉15 竹葉12 甘草9
[用法] 作散,毎服30g;作湯,剤量酌減,水煎数沸,日服4次。
[主治] 温病の初起で,熱のみで不悪寒か,或いは微悪寒,頭痛,口渇,咽痛,舌尖紅,苔薄白或薄黄,脈浮数。
[証析] 肺の位置は最も高きにありて鼻に開竅し,外では皮毛と合さり衛気と相通ずる,故に一身の表を主る。
温邪が鼻より入り,肺を上犯すると,病因は熱なので,外証は但だ熱して不寒;肺気は被鬱され,宣発するべき衛気が達表できないと,微に悪寒を覚える;肺気が被鬱すれば,肺機能は障碍され,咳嗽を呈する; 頭痛は熱蒸が上ったためで,口渇は津液が微損した証候である。
喉は肺系の組成部分だから,風熱が襲肺すれば,津気不利となり,肺系は阻まれ,咽喉が疼痛する;熱が上焦にある故に舌尖は紅く;温病の初起なる故に舌苔は薄黄,脈象浮数である。
綜合すれば,此の証は寒熱咳嗽あるゆえに病が肺衛に在ると知れる;其の熱多寒少に因って病性は熱に属すと知れる;口渇あるに因って津液が微かに損傷を受けていると知れる。
審証求因すれば,此れは温邪上受すなわち,邪は肺衛に在る。
[病機] 上焦の風熱。
[治法] 辛凉解表法。
[方義] 温病初起で,邪が肺衛に在れば,法は疏散風熱するに宜し,清宣肺気されれば,肺衛は宣発して粛降を恢復するはずである。
本方は辛凉で解表し,軽清で宣達する,最も温病初起に宜し。
方中の金銀花、連翹は辛凉解表,清熱解毒の力が比較的に強いので,用量は重くしてある,重点は致病原因の消除にある,為に本方の主薬なり。
配伍の荊芥、薄荷、淡豆豉は宣発衛気,散熱出表; 桔梗、牛蒡子は開泄肺気,清利咽喉,主薬を協助して肺衛宣降を恢復する効能がある。
芦根、竹葉、甘草は清熱生津して,清熱の力量を増強し,また受損した陰津を補充する。
呉鞠通は此の方は"純然として上焦を清粛し,中下を犯さず,開門揖盗(戸を開けて盗賊を招き入れる)の弊は無く,軽きは以って実を去る事が出来る"と解説している。
此の方を学習するにあたり注意すべき四点:
①病機とは病因、病位、病性の三方面を包括するゆえ,治法もまた消除病因,調理功能,通調気血津液の三方面を包括していなければならない。
此の方が用いている金銀花、連翹は病因を消除し,桔梗、牛蒡子は肺機能を調理し,荊芥、薄荷は衛気を宣発し,芦根、竹葉は清熱と生津を,至れり尽せりで,構成は完全です。
②表証の初起なら,本来は解表をしなければならないのだが,此の方は荊芥、薄荷を主としないで銀翹を主としているのは,消除病因を温病治療の重点としているからである。
③用いている薬物はみな清軽の品なのは,呉氏が云うところの"上焦を治すは羽の如し,軽きに非ざれば挙らず"の用薬原則を実行しているからです。
④所用の薬物は久煮に耐えず,故に煎じて数沸すれば止めよ。
[応用]
1.本方の使用には,温邪を上に受け,それが先ず肺を犯し,発熱悪寒し,熱重く寒軽く,口渇して脈数なるを辨証の要点とする。
2.流感、麻疹、流脳、乙脳〈軽型)等の熱病初期で,上の如き証を現す者は,みな本方を基礎とし加減治療をする,但し注意しなければならないのは只 純熱で無湿の表熱証に用いること,若し湿熱があれば,本方ではない。
[加減] 以下の六方はみな《温病条辨》に出てくるが,前四方の方名は長過ぎるので,今は其の主要作用から方名を定めた。
1,銀翹宣湿湯
連翹・金銀花・葦根30 桔梗・竹葉・荊芥穂・杏仁12 薄荷・淡豆豉15 滑石18 甘草9,水煎服。
肺が暑邪を受け,舌白口渇,無汗なるを治す。
辛凉解表と、宣肺利湿の効能がある。
気分に夾湿の加減法である。
2,銀翹清気湯
金銀花・連翹・芦根(葦根)30 桔梗・薄荷・竹葉・淡豆豉・杏仁・黄芩12 石膏24 甘草10,水煎服。
肺が暑熱を受け,舌白、口渇、有汗,或いは大汗止らざるを治す。
清宣肺熱の効能が有る。
気分熱盛の加減法である。
3,銀翹透疹湯
金銀花・連翹・玄参・葦根30 桔梗・薄荷・竹葉・荊芥穂・細生地12 牛蒡子18 大青葉・牡丹皮・甘草9,水煎服。
温病発疹を治す。
透疹解毒,凉血救陰の効能が有る。
呉氏云く:"紅疹が盛り上がる,麻沙は皆同一類で,血絡に的中した病である,芳香透絡,辛凉解肌,甘寒清血を主とすべし。"
是れは営血有熱を兼ねた加減法である。
若し紫草10gを加えれば,小児の麻疹を治す。(麻疹には升麻葛根湯と一律には行かないところ)
4,銀翹凉血湯
金銀花・連翹・牛蒡子・葦根30 桔梗・竹葉・荊芥穂・淡豆豉・赤芍・麦冬12 薄荷・甘草・生地黄15 牡丹皮9,水煎服。
肺が暑熱を受け,舌赤口渇,無汗者を治す。
辛凉泄熱,凉血養陰の効能が有る。
是れは血熱を兼ねた加減法である。
5,加減銀翹散
連翹30 金銀花16 玄参・水牛角・麦冬10 竹葉6。
水煎去渣,加荷葉汁二、三匙,日3服。
熱入営分,熱多く昏狂し,譫語や煩渇があり,舌赤く中黄,脈弱くして数なるを治す。
清営解毒,泄熱救陰の効能が有る。
此の方と清営湯の構成は略同じで熱入営分の加減法である。
6,銀翹湯
金銀花15 連翹9 竹葉6 甘草3 麦冬・細生地12,水煎服。
温病を下した后,無汗で脈浮の者を治す。
辛凉解表,養陰増液の効能が有る。
是れは陰傷の加減法である。
上述の六方を綜合すると,銀翹散に兼ねること 気分熱盛,邪熱入営,熱盛傷陰,湿熱為患の四方面の加減である。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より

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