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玉屏風散(《丹渓心法》)

[組成] 黄芪10 白朮20 防風10
[用法] 水煎,温服。
[主治] 表虚自汗,風邪に感じ易い虚人に。
[証析] 本方は体に常に自汗あるか或いは風邪に感じ易い人に設けられたもので,表虚不固の証候である。
いわゆる表虚とは,実は衛気の虚損である。
衛気は腠理を行り,皮膚を外固し,邪侵を防御し,陰津を内固し,外泄せしめない作用がある。
表の衛気が虚すと,陰は陽の護りを失い陰津が外泄して自汗となる;衛気が虧損すると,腠理は不密になり,バリアが固らず,風邪は虚に乗じて侵襲し,体には常に自汗があり風邪に感じ易くなる。皆 表虚不固だからである。
機序:表虚不固とは,外では邪侵を防御不能になり風邪に感じ易くなり,内では陰津を固護不能になり体は常に自汗となる。
[病機] 表虚不固。
[治法] 益気固表法。
[方義] 自汗は止汗すべし,表虚による自汗は,固表して止汗すべし,表虚とは衛気虚損であるから,益気扶正しなければない,実衛固表の目的を達成してはじめて,治病求本の精神と一致する。
本方が益気固表の薬物を専用しても止汗の品は使用しない意はここにある。
衛気とは水穀の化生である,衛気を補わんと欲せば,先ず健脾すべし,故に白朮を重用して健脾益気を図る,脾運を健全にすれば営衛生化の源は満たされ,生化の源が満たされれば衛気は充実する!
白朮は益気するのみならず,又祛湿作用があり,水湿を前陰に下行させ,毛竅からは外泄させないので自汗は止る!
黄芪には益気固表の功があり,表衛の虚を固め,衛気の損を補う,白朮と同用すると,相輔相成の妙がある。
黄芪の固表とは,汗を外泄させず,白朮の祛湿とは,水液を下行させる,共に自汗のために働く。
黄芪、白朮の二薬は益気固表で,本より証に対応するが,何故また防風を配合するのか?
自汗は表虚不固に属するが,風邪が其の衛陽を擾乱すると亦自汗をなす,防風を配入して祛風泄邪し,邪を去らせれば衛陽は擾乱を受けず,黄芪は更に好く実衛固表作用を発揮する,これには相反相成の妙である。
三薬を同用すれば,黄芪、白朮は防風を得て固表して邪を受けず,防風は黄芪、白朮を得て祛邪しても傷正せず,補中に散を共存する方となる。
虚人が風邪に感じ易いのは,表虚不固に因る,此れを治すには駆邪し,御邪するしかない,則ち風邪が去らないのを畏れるのではなく, 風邪が復た来るのを畏れるのである。
如し益気固表法を用いず,ただ祛風解表だけに務めれば,去る者は去っても,来る者はまた来て,邪気は留連し,終に解ける日は来ない。
本方には防風の解表祛邪,黄芪の実衛固表,白朮の健脾益気があり,邪が去りて表が固まり,感冒を反復する心配は無くなる。
故に虚人が風邪に感じ易いなら,頼るべきは屏であり,屏こそが何者にも勝る宝玉である。
《医方類聚》に所載の玉屏風散は,黄芪の用量が白朮、防風の二倍である;《丹渓心法》の玉屏風散は相い反して,白朮の用量が他薬の倍量である,どれが主薬であるかは結論できない。
私なら若し自汗を治すのなら,白朮を重用し,易感風邪を治すのなら黄芪を重用する,其の目的に随って三薬の主従関系は決まるでしょう。
[応用]
1,自汗に悪風を兼ね、舌淡、脈緩なら,本方を用いるとよい。
汗多きには,浮小麦、牡蛎等の薬を加え,止汗の功を増強する。
此の外,使用時に注意しなければならないのは営衛不和の桂枝湯証との鑑別です。
2,反復して感冒にかかるなら,此の方を用いて益気固表せよ; 感冒が長期にわたり愈えなければ,亦此の方を用いて扶正祛邪せよ。
3,此の方は単に自汗を治すのみならず,養血調営、収斂固渋の薬物を加入すれば,亦盗汗をも治療できる。
王育群等は此の方に五味子、牡蛎、浮小麦、白芍、丹参を加えて盗汗44例を治療し,痊愈が41例だった。
自汗、盗汗は均しく実衛固表、斂汗潜陽するのが宜しい,此の方には黄芪があり五味子と合さると衛分の表を固め,五味子は牡蛎の斂肝潜陽と合されば,肝肺同治となる。
若し丹参を牡丹皮に改めれば血熱を清し,更に盗汗の機序に合う。
本方に辛夷花、蒼耳子を加えれば,慢性鼻炎、過敏性鼻炎を治すことができる。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より
※自汗には固表で、止汗の品は使用しない、また固表と散邪の反対成分が共存する妙方。

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