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逆伝心包について

『中医治法與方剤』の著者・陳潮祖 老師の説く「心包=大脳皮膜説」は次のようです。
「心包とは心の外包を指すものではなく、脳の外側を包み保護する膜を指している」
「少陽三焦の筋膜とは脳筋・脳膜の延展してきたものであり、手厥陰心包と手少陽三焦は表裏をなす」
ではその根拠は何だろうか?
『中医治法與方剤』の「三焦構造及其生理病理/脳外筋膜是其心神之主」の部分に次のような説明があります。
心肺は胸中に同居し,肺は心の上に在る,葉天士 謂く:"温邪を上に受ければ,先ず肺を犯し,心包に逆伝する"。若し心外の包に伝入するものなら,上より下に伝わるゆえ,これは順伝と称してもよく,"逆"と称する事は出来ない;だが温邪が肺を犯し,気鬱から化熱して,少陽三焦の腠より心主の膜(=大脳)へ上蒸するのを,逆伝と称するのは,理に合っている。
つまり葉天士の"温邪上受,首先犯肺,逆伝心包"という言葉から、上下の位置的に順逆を論じています。
そこで日本のネット上ではどのような扱いになっているかを調べて見ますと、
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外邪が相侵する経路  ( 2 )温熱の邪を口鼻に受け、肺衛から心営に内陥した場合。或は三焦から心包に逆伝した場合。これらは邪が上から下の心を侵犯するか、或は下から上の心包へ逆伝する第二の経路である。
温病伝変の別経路。病邪が強く、発病当初より重症で病変の進行が速く、邪が衛分(肺)から突然営分(心包)に陥入し、意識の混濁・譫語などの中枢神経症状が現れること。
温病の進行が衛分・気分・営分・血分という順伝の経過をとらず、衛分からすぐに営分に進行することなどをいう。
血分実熱証は、熱入心包、熱盛動血、熱盛動風の3証にわけられます。熱入心包は、熱性の邪が心包におよんだものであり、高熱と意識障害を特徴とします。治法は清熱開竅である。また熱入心包は、熱性の邪が営血におよんだ段階であるので、営分証の範疇に定義してもよい。多くは気分証から進展するが、衛分証から一気に熱入心包をおこすこともある。これを逆伝心包という。
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「下から上へ」だからというのと、「気分を飛ばして、衛分からすぐに営分へ」だからとか。
どうも納得のいくものではありません。
そこで中国のネットを調べてみました。
やはりここでも昔から色々な説があって定説はありませんがひとつだけ、これはと思われる解説がありましたのでご紹介します。
《臨証指南医案》の中に“順伝”と“逆伝”に関する論述があります。
“手太陰気分が先ず病み,治を失すると手厥陰心包絡に入り,血分も亦傷つく。足経の順伝は,太陽が陽明に伝わる如し。だれも皆知るところ,肺病の治を失すると,心包絡に逆伝するのは,幼科の多くは知らない”、“温熱時疫は,上行の気が血分へと漸及するのは,傷寒の足六経の場合とは異なる。”
傷寒の足経順伝とは,温病が手の太陰肺から手の厥陰心包へと伝入するのとは対照的である。
仮に傷寒が太陽より陽明へと伝入するのを“順伝”と称せば,温病の“逆伝”とは肺から心包へと到る伝変を指す。
但し人によっては“順伝”を広義に解釈して,温病が肺より胃に伝わるのを“順伝”としているが,これは葉天士の本意に合わない。
何故なら葉天士の著作中には温病順伝という論述は無く,只傷寒は太陽より陽明に到る伝変を順伝と称しているだけで,其の目的は温病の伝変途径と比較するためである。
病邪の性質という方面から見れば,温熱、暑熱の類の病邪は容易に逆伝を発生し易く,湿熱、燥熱の類の病邪は比較的に逆伝を発生する事は少い;むしろ患者の体質に関係する所がある。
素体の心陰が不足するか或いは心気虚弱に,痰熱を挾有すると,感邪過甚が加わると,最も逆伝心包を発生し易い。
葉天士の《温熱論》第14条に説く:“平素心虚に痰有れば,外熱は一陥し,裏絡は閉じる”。
最后に,葉天士の医案中から“風温乃ち肺が先ず受邪すれば,遂に心包に逆伝する”というのを除いた外にも,何度も温熱(春温)、暑温等の温病はみな逆伝心包の証を発生すると提示している。
如えば《臨証指南医案》温熱篇の王案に:“吸入した温邪は,鼻の肺絡を通って,心包絡中に逆伝し,君主を震動させると,神明は迷わんと欲す。”
暑篇の王案に:“舌白く煩渇し,心中脹悶し,熱邪内閉すれば,気分は阻閉する,当に治は肺経にあり,なお羶中に逆伝すれば,必ず昏厥を致す。”
これらにより筆者の結論は:“逆伝心包”とは専ら温邪が肺より直接心包に伝入する病変を指して言う。
“逆伝”とは,乃ち傷寒で “足経の順伝は,太陽から陽明へと伝わる”というのに比較して言い,温邪は手経を相伝し,手の太陰は手の厥陰に伝わる,故に逆という。
心包とは“君主之官,神明出焉”の心を代行して命令する心包を指し,実は脳の功能である。
※逆伝とは特殊な場合をいうのではなく、通常よくある病態である。

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