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臓躁と あくび

先日のこと、珍しい症状の相談を受けました。
普段は元気な中年の婦人ですが、一年半前からの症状。
月に2回ほど、生あくび、前頭痛、首から上が固くなる、やる気はあるのに何もしたくなくなる、特に計算が出来なくなる。
悪心、食欲不振、いつまででも寝ていられる、風呂へ入ると楽になる、舌ほぼ正常。
十日に一度ほどこうなり、それ以外の時はケロッとしている。
初めは冷や汗も出て発作が始まり体が固まってしまうと、職場の人にしばらくはそのまま放っておいてもらう。
他の人には鬱病のように見えるようだ。
医師からは更年期症候群ではないかと女性ホルモン剤が出ていますが余り良くありません。
「数々欠伸(しばしばあくび)」が出ると来たら、すかさず臓躁病の甘麦大棗湯が頭に思い浮かびませんか。
しかし条文にあるような「喜悲傷欲哭」ではないが、体が固まってしまうというのは「像如神霊所作」に似ていなくもない。
臓躁病のような精神異常ではなく、突発的に来る鬱病のようでもある。
試みに甘麦大棗湯を一週間飲んでもらいましたが、やはり昨日から首や肩が硬くなり、口の中が痛苦く、今何をやっていたのか分からなくなり、吐き気がして、軟便数回。
しまったー!
『中医症状鑑別診断学』では呵欠(あくび)にもうひとつ、肝鬱気滞臓躁というのがあり、逍遥散合甘麦大棗湯が挙げてあるのを忘れていた。
そこでネットを調べてみまると、ありましたね。
中医奇証新編』に 呃逆欠伸証・気鬱欠伸案 というのが。
邱xX,男55歳,干部。1976年9月13日初診。
患者は半月前から胸中に煩悶を感じ始め,驚悸失眠,嘔逆食少,やや口苦あり,時に欠伸をすると治る。
其の后,欠伸の発作が頻繁になり,毎回 30分から一時間も持続する,欠伸の回数は少なくとも数十回から多いと百回に及び,我慢ができない。
欠伸の発作時には,涕泪交流し,発作后は少気懶言,肢体瘫軟となり泥の如し,面頚部の肌肉は酸痛する。
患者の痛苦は異常なほど,曽つて某医の診治を求め,心腎不交と按じられ治したが,収効せず。
治を求められて脈象を診れば弦滑,苔は薄黄膩,面色は晦黯である。
脈症を合参すれば,乃ち肝鬱気滞,鬱して化熱,痰湿内生,内擾心神の証である。
治は当に疏肝解鬱,和胃化痰,清養心神すべし。
温胆湯合柴胡疏肝散加減(柴胡・白芍・香附・川芎・枳実・陳皮・半夏・茯苓・薤白・遠志3 竹茹4 瓜蒌・菖蒲5)44 六剤。
薬后に欠伸は明らかに減軽し,嘔逆も稍減り,胸部も舒びやかに,但だ睡眠はまだ良くない。
原方に再び 丹参、棗仁、梔子,夜交藤 を加えて,又服すること六剤,欠伸は已に止み:睡眠、飲食等も佳くなった。
又原方中に枸杞、桂圓肉を加入して滋肝腎、養心神,を図り善后とし,再進すること六剤,病は痊愈した。
     (山東傅炳炎,《千家妙方》上冊第492頁,戦士出版社,1982年7月)
また『感冒發燒不求人』という書物には 治臟躁散(《新中医》》)という処方が載っている。
(柴胡・白朮・半夏・薄荷・陳皮・琥珀3 当帰・竹茹4 白芍・茯苓・竜骨5 珍珠母10 枳実・甘草・朱砂1)54
【主治】臓躁。
證見精神恍惚,哭笑無常,呵欠頻作,語無倫次;或情緖抑制,神志呆滯,黙不作聲,全身僵直,四肢厥逆,兩手緊握;少寐易驚,多疑善感,心煩意亂,有一日發作幾次,有數日發作一次不等,舌質淡,脈弦。
【按語】本方治精神恍惚,哭笑無常;呵欠頻作,語無倫次之臟躁病。
本方證伴見少寐易驚,多疑善惑,心煩意亂,均為肝經鬱滞,失於條達,心神不寧,甚則氣結不行而突作僵直,肢厥,握掌等,證類氣実之氣厥,治宜採用疏肝解鬱,鎮心安神之法。

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